中大・柴田大地が1部3000mSC2位 今後は「継続した練習」で安定感と爆発力を
第103回 関東学生陸上競技対校選手権大会 男子1部3000mSC決勝
5月12日@国立競技場(東京)
優勝 村尾雄己(順天堂大3年)8分40秒43
2位 柴田大地(中央大2年)8分42秒90
3位 湯田陽平兵(法政大2年)8分43秒75
4位 山﨑颯(順天堂大3年)8分45秒71
5位 山口月暉(日本大3年)8分47秒90
6位 草野洸正(早稲田大4年)8分56秒12
7位 伊藤要(山梨学院大3年)8分56秒24
8位 岡元快生(国士舘大1年)9分00秒14
5月12日の関東インカレ最終日にあった男子1部3000m障害(SC)で、中央大学の柴田大地(2年、洛南)が8分42秒90の自己ベストをマークして2位に入った。今季の3000mSCはひとまず今回で区切りをつけ、悔しい結果に終わった箱根駅伝での雪辱を期すため、これからは安定したフォームを身につけるべくトレーニングを積む。
「何もせずに負けるのは嫌だった」
3000mSCには中央大から柴田に加え、今年の箱根駅伝で6区区間5位の力走を見せた浦田優斗(4年、國學院久我山)がエントリー。しかし、浦田は「コンディション不良の中でうまく走れなかった」(柴田)ため、決勝には柴田だけが残った。「中大にとってサンショー(3000mSC)は得点を稼ぐ種目。浦田さんの分まで自分がチームに貢献する」という思いを持ってスタートラインに立った。
東京オリンピックで7位入賞を果たし、今夏のパリオリンピック代表にも内定した三浦龍司(現・SUBARU)が順天堂大学を卒業した今季、この種目の第一人者は、三浦の大学の後輩にあたる村尾雄己(3年、佐久長聖)だ。柴田にとって村尾は中学の先輩。「予選のときから同じ組で、3年前のインターハイでも一緒に走って、そのときも負けているんです。4、5年勝てていないので、そろそろ勝ちたいと思っていました」
決勝は終始、村尾が引っ張った。柴田は法政大学の湯田陽平兵(2年、関大北陽)らとともに5~6番手につけ、残り600mあたりでいったんは村尾の前に出た。しかし水濠を越えて残り500mとなったところで村尾がスパート。柴田はついていくことができず、2位でゴールした。レース後は村尾とタッチを交わし、抱き合ってお互いをたたえる場面もあった。
「ずっと後ろにつき続けて、何もせずに負けるのは嫌だったので、一矢報いるじゃないですけど、勝負してみました。きつくなってスクリーンもあまり見えてなくて、自分がどの位置にいるのか分からなかったんで、確実に入賞ラインをつかむために、他の選手を振り落とそうとも思いました。攻めた走りをしたつもりだったんですが、村尾君が強かったです」
箱根駅伝後、3月前半までは調子が上向かず
直前に体調不良者が相次ぎ、総合優勝の一角と目されながら13位で終えた箱根駅伝から5カ月あまり。最終10区を任された柴田にも風邪のような症状があり「満身創痍(まんしんそうい)の箱根だった」と振り返る。
その後はしばらく休み、2月上旬に出場した香川丸亀国際ハーフマラソンは「練習ができていない中での1本だった」。1時間01分41秒の自己ベストを出したものの、「走れた、というより『走れちゃった』という表現の方が正しいと思います」と柴田。秋に予定される箱根駅伝予選会の下見も兼ねて出場した3月の日本学生ハーフマラソンは、1時間09分38秒だった。
3月の前半まで体調が優れなかったり、調子が上向かなかったりした影響で、ポイント練習を継続できないこともあった。加えて関東インカレの約3週間前にはハムストリングスを肉離れ。一度は今大会への出場を諦めかけたが、トレーナーに助けてもらいながら状態を上げ、何とかこぎつけた。
やっているだけのトレーニングではダメ
駅伝シーズンで再び悔しい思いをしないため、柴田は今シーズンの3000mSCに区切りを付け、これからは「継続した練習」をテーマに掲げる。「単発でタイムを出すというだけでは正直、駅伝だと起用されないと思いますし、意味もないので、これからは継続して練習を積む中で、安定感や爆発力をつけていきたいです。そういったところが自分にはまだ足りていないと思っています」
そのためにはまず、安定したフォームを身につける必要があると考えている。「やっているだけのトレーニングではダメで、それによって動きやフォームが変わらないといけないです。自分はまだまだ、体への負担が大きい走りになっているので、改善しないと離脱にもつながってしまいますから」。これからは5000mや10000mにも取り組み、トラックでも安定した結果を残すことで、「本当に力がある」と言える選手をめざしていく。ひいてはそれが、たとえ想定していない展開でもしっかりと力を発揮する「駅伝力」につながると信じている。
今度は自分がチームを引っ張る立場に
チームは吉居大和(現・トヨタ自動車)や中野翔太(現・Honda)といった強力な世代が抜け、新たなスタートを切った。後輩ができた柴田も、チームの中心となっていく自覚は十分にある。「それまで自分は、先輩たちについていくだけの存在でした。でも今年、苦しい箱根駅伝を経験させてもらったことで、今度は自分がチームを引っ張っていけるような立場にならないといけないと感じました」
ルーキーイヤーから一緒に合宿をこなしてきた本間颯(2年、埼玉栄)と「2人で引っ張っていく」と力強く宣言した柴田。秋の箱根予選会ではチームとしてトップ通過をめざし、リベンジに燃える本戦では「主力として走るべき」と、往路での出走を狙っている。