陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

中央学院大学に新しい寮が完成、洗濯機の数は訪問最多? 気持ち新たに更なる高みを

新しい寮が完成した中央学院大学駅伝部の皆さんを取材させていただきました(M高史撮影を除き、すべて提供・中央学院大学駅伝部)

今回の「M高史の陸上まるかじり」は中央学院大学駅伝部のお話です。箱根駅伝には第70回大会に初出場し、これまで23回出場。最高成績は第84回大会の総合3位、シード権は10回獲得ということで、川崎勇二監督のご指導のもと、年々激化する大学長距離界でコツコツと実績を積み上げてこられました。

エースで主将の吉田礼志選手(4年、拓大紅陵)は5000m13分30秒30、10000m27分47秒01、ハーフマラソン1時間00分31秒と3種目で大学記録を持ち、昨年のFISUワールドユニバーシティゲームズではハーフマラソンで日本代表になっています。

その中央学院大学駅伝部に「新しい寮が完成!」という話をお聞きしまして、早速伺ってきました。

早めに体を休めるためにも、洗濯機の台数は大事です

取材に伺ったのは7月下旬。歩いているだけで汗が噴き出るほどの猛暑の中、千葉県我孫子市にできた中央学院大学の新しい寮へ伺うと、千葉敬弘コーチがさわやかに出迎えてくださいました。千葉コーチは中央学院大学時代に主務を務め、母校のコーチに。M高史の一つ上の学年です。当時、僕は駒澤大学で3年生から主務をさせていただいていたので、当時から千葉さんにもよくお世話になっていましたし、今でも大会会場でお会いするたびに声をかけてくださいます。

寮のケアルームにて。左から福山良祐コーチ、石橋楽人マネージャー、千葉敬弘コーチ(撮影・M高史)

以前の寮も大学に自転車で通えるほどの距離だったそうですが、新しい寮は大学のすぐ目の前ということで、格段に移動しやすくなったそうです。

早速新しい寮の中を見学させていただきました!

まず驚いたのは洗濯機の数です。なんと18台! 取材で色々な駅伝チームの寮へ伺っていますが、洗濯機の台数は過去最多かもしれません(笑)。乾燥機も10台完備されています。

洗濯機、乾燥機も充実しているため、その分、早めに体を休めることができますね!(撮影・M高史)

駅伝チームに限らずですが、体育会系の部活の寮では洗濯機の台数がとても大事です。なるべく順番待ちすることなく、洗濯をサッと終わらせて早めに体を休めたり、翌朝に備えて早めに就寝できるのもうれしいですね。

部屋は2人部屋で、勉強机やベッドもあり、大学の課題にもしっかり取り組めそうです。とても広いので「掃除が大変ですね(笑)」などとお話ししていたところ、練習開始の時間が近づいてきたので、グラウンドに移動しました。

とても大切にされている各自ジョグ

中央学院大学のすぐ裏にあるグラウンドは1周350mの全天候型トラックです。外周には1周400mの人工芝のコースもあります。

この時期は暑さもあるので、朝練習で長めに距離を踏み、午後は質を上げてサッと終える練習が入ってくるそうです。取材に伺った日も朝練習で距離を踏み、午後は2000mを1本という練習メニューでした。

ウォーミングアップの後、三つのグループに分かれてスタート。M高史はCチームに参加させていただきました。1周350mということで、2周と300mを走ると1000mになります。2000mを走るには5周と250m。いつもは400mを5周で2000mという計算なので、350mトラックは新鮮ですね!

M高史もポイント練習に参加させていただきました!

日頃から部活訪問などで高校や大学の練習に参加させていただいているのですが、箱根出場校である中央学院大学の皆さんのペースは速く、結果的には1000mもついていくことができず……。集団から大きく後れて走り終えました。

あまりにキツかったため、トラックに手をついてうずくまっていたところ、千葉コーチと福山良祐コーチから「このあと、補強!補強!」と笑顔で連れていかれました(笑)。ポイント練習で追い込んだ直後に、補強トレーニング。出し切った直後に、さらに追い込み。これは効きますね!

ポイント練習直後の補強!これが効きます!

補強が終わると、今度はすぐに集団で5000mのダウンジョグです。

ダウンジョグといっても、フルマラソンをサブ3で走るより速いペースです。全力を出し切って、すぐ補強をしてから、良いリズムで走るこのダウンジョグが、本当にキツいです。選手の皆さんにお話を伺ったところ、練習後の補強やダウンジョグが地味ながらも強化につながっているそうです。こういったところが箱根駅伝連続出場にもつながっているんですね!

集団でリズム良くダウンジョグ。スタミナ強化にもつながりそうです

また、中央学院大学では各自ジョグをとても大切にされています。

たとえばエースの吉田選手について川崎監督に伺ったところ、吉田選手はポイント練習の強度はそこまで上げていないそうですが、各自ジョグがとにかく速いそうで「キロ3分15秒くらいまで平気で上げている」とのことです!

練習後はお風呂。ステンレスの浴槽がとてもきれいで、浴槽も洗い場も広く、一度で大人数が入浴できます。M高史も皆さんとお風呂もご一緒させていただき、陸上談義に花が咲きました。

ポイント練習前、選手にお話をする川崎勇二監督

入浴後は食堂で夕食もご一緒させていただきました。栄養バランスのとれたおいしい寮の食事が、選手の皆さんにとってはパワーの源です。また、寮内にはケアルームもあり、酸素カプセルや治療器もあって、選手の皆さんは練習で疲れた体のケアを入念に行っていました。

夏合宿を終え、新しい寮に帰る頃には選手たちも進化

選手、マネージャーさんにもお話を伺いました。

左から工藤巧夢選手、吉田礼志選手、近田陽路選手、安達奈央人主務、堀江峻介選手(撮影・M高史)

主将・吉田礼志選手(4年、拓大紅陵)
「箱根駅伝が終わってからは3月の学生ハーフ、トラックシーズンは全日本予選(全日本大学駅伝関東地区選考会)を目標にしていました。チーム目標はトップ通過でしたが、結果としては予選落ちということで、自分たちの甘さを実感しましたし、他の大学を見ていても自分たちは心の面でも弱いなと感じました。箱根予選会では、留学生にも勝たなくてはいけないと思っています。日本人トップではなく全体トップを目指していきたいです」

副将・工藤巧夢選手(4年、那須拓陽)
「箱根駅伝では7区を走らせていただいて区間12位ということで、他大学との力の差を痛感しました。普段の朝練習からプラスアルファで走るなど、練習を積むようにしてきました。全日本予選はけがでチームに貢献できず、走る予定だったのに走れず悔しい気持ちでした。この夏は箱根予選会に向けて距離を踏んで、起伏を走っていきたいです。全日本予選でチームに貢献できなかった分、箱根予選会ではしっかりチームに貢献したいです」

副将・近田陽路選手(3年、豊川)
「箱根駅伝はチームとしては出場できましたが、全く他大学と戦うことができず、出場しただけで終わってしまいました。これではいけない、全員が変わらないといけないと、練習量が増えて切磋琢磨(せっさたくま)するようになりました。全日本予選では直前に故障者が出たり、どこかしらの甘さがあったり、合わせる力がまだまだ足りないと感じました。夏以降はハーフマラソンに向けて練習量も増えていくので、夏合宿で進化したいです」

寮長・藤井陽平選手(3年、拓大紅陵)
「寮長をやらせてもらっています。4年生の助けやみんなのアドバイスもあって、過ごしやすい環境になっているかなと思います。学年に関係なく先頭に立って引っ張っていきたいですし、競技の面でも箱根予選会ではメンバーに入って出走できるように、夏合宿を超えて一皮むけて強くなりたいです。(新しい寮のイチオシは?)お風呂ですね! 癒されますし、疲れもとれます!」

寮長の藤井陽平選手は時間の都合で1人で撮影(撮影・M高史)

副寮長・堀江峻介選手(4年、松山商業)
「箱根駅伝では目標に届かず、チームの弱さを実感しました。今年は『勝負事に強いチームに』と取り組んでいます。全日本予選はふがいない結果でしたが、夏以降は箱根予選会に合わせて自覚と責任のある走りをして、背中で引っ張りたいです。新しい寮ができ、良い環境で過ごさせてもらっていますし、競技力向上につながると思います。寮完成に関わってくださった方々に感謝して、実績で恩返ししていきたいです」

主務・安達奈央人さん(4年、鶴崎工業)
「2年生の6月からマネージャーになりまして、2年生の11月から主務をしています。前回の箱根駅伝は19位という結果で、区間1桁だったのは4区だけでした。距離をしっかり踏んで、ハーフマラソンをしっかり走れるようにと取り組んでいます。(主務として)選手とスタッフの間に立って、コミュニケーションを大切にしていきたいです」

夏合宿を経て進化した選手たちの姿に注目です!

この記事が公開される頃には新しい寮からいったん離れて、夏合宿で鍛錬を積んでいる時期だと思います。この夏で現状を打破して、寮に帰ってくる頃にはさらに進化した姿になっていることでしょう。フラッシュイエローの旋風に注目です!

M高史の陸上まるかじり

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