中央学院大・近田陽路が学生ハーフ2位　吉田礼志に続く「準エース」の役割に向けて

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3月10日に東京都立川市内のコースで開催された第27回日本学生ハーフマラソン選手権大会で、中央学院大学の近田陽路（こんだ・ひろ、2年、豊川）が2位に入った。前回大会では1学年先輩の吉田礼志（3年、拓大紅陵）が同じく2位に。エースに続く存在として、名乗りを挙げた。

速い選手たちと走ることに慣れるために

800人以上の選手たちが一斉に陸上自衛隊立川駐屯地をスタートする今レース。近田は「最初から先頭集団についていって、どれだけ粘れるか」と振り返る通り、前から2列目でスタートし、大集団の前方からレースを進めた。目標とする順位は特に定めず「自分の走りをしよう」と無欲で臨んだ。

「学生ハーフには速い選手がたくさん出てくる。箱根駅伝のことを考えると、速い選手たちと走ることに慣れておかないといけない。その速い人たちがどんな走りをするのか、間近で体感したかったんです」

大集団はスタートから約12km地点の国営昭和記念公園に入ったところで、縦長に。14kmあたりで國學院大學の青木瑠郁（2年、健大高崎）が1人抜け出した。「周りしか見てなかったんですけど、いつの間にか、ずっと前に（青木が）いて『ちょっと追いつきたいな』と思ったんですけど、さすがにあそこまで離されちゃうと、きつかったです。ついていけたら一番いいんですけど」と近田。残り約4kmとなったところで、早稲田大学の工藤慎作（1年、八千代松陰）、中央大学の白川陽大（2年、大塚）、國學院大學の辻原輝（1年、藤沢翔陵）らとの2位争いになった。

起伏のあるコースも平坦と同じ勢いで

「自分にはスピードがない。残り400mとかで仕掛けても、どうせ差されてしまう。できるだけロングスパートをかけたい。けど、周りの様子を見たらそんなにきつそうじゃないから、残り3kmから行くのは結構怖い」。近田は勝負どころを探っていた。

ラスト2kmぐらいで他の選手たちが遅れ始め、近田自身は残り1kmでペースアップ。最初はついてこられたが、さらにペースを上げて振り切った。3位の工藤に10秒差つけ、2位でフィニッシュ。「ラスト1kmぐらいまで結構余裕を持って走れていて、そこから仕掛けることもできた。思った通りのレースができて、今回は成功しました。2位を取れると思っていなかったので、これまで自分のやってきた練習が身になってきたのかなと思います」。走り終えた直後にもかかわらず、笑顔で取材に応じた。

このコースは、公園に入ってからのアップダウンがきついと言われる。ただ本人は「起伏の練習もしてきたので、そんなにきつくなく、平坦（へいたん）と同じぐらいの勢いでいけました」。合宿では朝練でメニューよりも2km多めに走ったり、近田が弱点と自己分析している体幹を鍛えるために補強したり、起伏のあるコースを走りきるためにお尻の筋肉をつけたり。常日頃「プラスアルファ」を意識して取り組んできたことが、一つの成果となって表れた。

エースだけに頼っていては駅伝を戦えない

同じチーム内には昨年の学生ハーフで2位となり、10000mで27分台の自己ベストを持つ吉田がいる。年始の箱根駅伝では各校のエースが集う2区を走り、新チーム結成後は主将に就任した。ただ、エースだけに頼っていては駅伝を戦えないと、近田は分かっている。「エースに頼りすぎると、エースの負担も大きくなってしまいます。そこはチーム全員で助け合いたい。自分を筆頭に中央学院の全員が速くなっていかないといけないですね」

ほぼ同じコースを走る箱根駅伝予選会では、個人の1秒がチームの1秒となってはね返ってくる。昨年の予選会で近田は吉田、伊藤秀虎（4年、四日市工業）に続くチーム3番手の1時間3分15秒。今回の学生ハーフは当時より1分近く上回り、「準エース」としての資質は十分にある。練習では吉田専用のメニューが組まれることもあり、全員で練習する際はついていけることもあれば、置いていかれることもあるという。「最終的には礼志さんと切磋琢磨（せっさたくま）して、強くなれたらと思います」

「やっぱり強い選手は単独で走れたり、飛び出してもペースが落ちなかったりする。それを今日感じることができたので、次の課題として、自分も1人で走れるようになりたいです」。2大会連続の箱根駅伝本戦をつかみ取るため、9区区間最下位に沈んだ年始の悔しさを晴らすため。すでに、近田の戦いは始まっている。