競歩女子で立命館大学・柳井綾音選手が学生新! ホクレンDC北見大会を実況リポート
今年もこの季節がやってきました!「ホクレン・ディスタンスチャレンジ2024」が開幕。第1戦は北見大会でした。大会のYouTubeライブ配信では、今年も解説に河野匡さん。私、M高史は実況を務め、選手の皆さんの熱い走りをお伝えさせていただきました。
過去にはオリンピックや世界選手権の標準記録突破、日本記録・学生記録・高校記録の樹立など、数多くの好記録が誕生してきました。例年、ホクレン・ディスタンスチャレンジでのブレークを経て、駅伝シーズンで活躍する選手も多いですね。今回は大学生選手を中心に第1戦を振り返りながらリポートします。
夕方以降は風がやみ、走りやすいコンディションに
第1戦の会場となったのは北見市東陵公園陸上競技場です。昨年の北見大会では男子5000mで赤﨑暁選手(九電工)が強烈なラストスパートを披露し、当時順天堂大学の三浦龍司選手(現・SUBARU)を振り切って、13分28秒70でA組トップ。10月のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)快走へとつなげていきました。
昨年は雨の中でのレースで、今年は曇りのち雨の予報。競技開始の頃は曇りで風がやや強く吹き、現場でも「コンディションとしては厳しめかな」という声が聞こえてくる中、各組で自己記録を出す選手が続きました。
夕方以降は雨も降りましたが、それがあがると風もやみ、5000mを走る選手の皆さんにとっては走りやすいコンディションに。そして昨年に続いてウェーブライトが導入され、選手の皆さんのターゲットとなるタイムのペースに合わせて青、緑、赤、白のライトが足元を照らしました。
女子1500mでは北海道高校新記録が誕生!
女子1500mで快走したのは木田美緒莉選手(旭川龍谷高校2年)。社会人選手や大学生選手に果敢についていって、ラストは日本人トップとなる3位で4分22秒13をマーク。北海道高校記録を11年ぶりに更新しました。チームメートの合田安伽梨選手も4分25秒79の自己記録で7位に。両選手ともインターハイに向けて弾みをつけました。
レースはヘレン・エカラレ選手(豊田自動織機)が4分03秒65の自己ベストでトップに。エカラレ選手は先日の日本選手権女子1500mで、田中希実選手(New Balance)を1200mまで先導しました。今回は午後2時50分スタートとなった1500mで自己ベストを更新した後、午後6時20分スタートの女子5000mBのペースメーカーでも出場し、選手の記録をアシストされました。
男子1500mは出場者5人(うち1人はペースメーカー)と少人数での開催となりました。明治大学の加世堂懸選手(2年、仙台育英)が3分44秒13の自己ベストでトップ。神奈川大学の池田蓮選手(3年、科学技術)も3分49秒15と自己ベストをマークしました。
競歩は5年ぶり開催、男女同時にスタート
10000m競歩は男女同時スタートとなりました。競歩種目は5年ぶりの開催。日本陸連強化委員で競歩シニアディレクターの今村文男さんが、解説を務められました。
女子は立命館大学の柳井綾音選手(3年、北九州市立)が、自らの日本学生記録を更新する43分49秒85で優勝。従来の学生記録は44分21秒85でしたので、30秒以上も更新しました。ラストは帽子とサングラスを外して笑顔でのフィニッシュでした。
優勝インタビューでは「8月に行われるパリ五輪に向けて、良い弾みがつくようなレースができたと思います。(パリでは)チームジャパンでメダル獲得を目指していきたいと思います。応援よろしくお願いします!」と語られました。
男子は住所大翔(富士通)選手が自己記録を更新する38分46秒78でトップ。学生では東洋大学の逢坂草太朗選手(1年、川西緑台)が自己記録を約1分半ほど更新し、39分54秒42で5位になりました。
解説の今村さんによりますと、厚底カーボンシューズの登場で競歩界もトレーニング方法に変化が生まれ、シューズにうまく対応している選手も出てきているそうです。特に対応している選手としては吉川絢斗選手(サンベルクス)の名前を挙げられました。吉川選手は中盤まで住所選手と競り合い、38分59秒33と自己ベストを大幅に更新し、2位となりました。競歩種目はトラックレースでも、マラソンや駅伝などのロード種目と同じ厚さ40mmまでのシューズを履くことが可能ということで、他の中長距離種目のトラックレースと違いがあります。
ランニングをされている方にはわかると思いますが、男子は1km4分を切るペース、女子も1km4分前半のペースで歩いていくわけです。一般的に「駅から徒歩◯分」というのは分速80mで計算されるそうですが、1km4分ペースだと「分速250m」になります!
3000m、5000mでも次戦につながる好記録!
男子3000mではラスト1周で松岡竜矢選手(Kao)が一気にペースを上げて逆転し、7分58秒01でトップ。ラスト1000mからのロングスパートで途中のラップを61秒9(手元の計測)に上げるなど、積極的な走りが光った嶋津雄大選手(GMOインターネットグループ)が7分58秒34で2位。終始、上位でレースを進めた安原太陽選手(Kao)が8分01秒05で3位。いずれも自己ベストを更新しました。解説の河野さんは「(5000mで)13分30秒〜40秒が狙える今日の3000mだったのでは」とロングスパートを仕掛けた嶋津選手の走りを高く評価されていました。
またM高史の大学の後輩にあたります安原選手にはレース後、宿舎でもお会いしました。ホクレン・ディスタンスチャレンジはこの後も連戦する予定(次戦は10日、網走大会5000m)とのことで、次戦も楽しみです。
男子5000mCインターナショナルでは、実業団に所属する外国人選手や大学、高校の留学生選手が出場。記録を狙うだけでなく、トップを取りたいというのが伝わってくるレース展開でした。1周64秒というラップの中でも、細かくペースが上がったり下がったりするなど、めまぐるしい駆け引きで順位が入れ替わりました。サムエル・キバティ選手(トヨタ自動車)が13分12秒28でトップ。ダパッシュ・ラファエル選手(JR東日本)が13分12秒82で2位。アントニー・マイナ選手(トヨタ自動車九州)が13分13秒10で3位と、1秒以内に3選手が駆け込む接戦となりました。大学生では日本薬科大学のデニス・キプルト選手が13分27秒96の自己ベストで8位となりました。
男子5000mBでは高田康暉選手(住友電工)が13分44秒97でトップ。 大学生では京都産業大学勢が快走。小嶋郁依斗選手(4年、滋賀学園)が13分49秒54で2位。中村光稀選手(4年、和歌山北)が13分54秒03で3位。小嶋選手、中村選手ともに自己ベストを更新しました。
女子5000mAでは古川璃音選手(ニトリ)が日本選手権の申込資格記録(15分40秒00)を突破する自己ベストで15分38秒18で2位(日本人トップ)に。堀尾和帆選手(ルートインホテルズ)が自己ベストを10秒以上更新する15分42秒49で3位に入りました。
北見大会の最終レースとなった男子5000mA。レース終盤、先行する横田玖磨選手(トヨタ自動車九州)をラスト1周で逆転したのは九電工のルーキー山内健登選手でした。優勝インタビューでは後輩の青山学院大学・鶴川正也選手(4年、九州学院)の活躍が刺激になっていますとお話しされていました。やはり母校の後輩の活躍は刺激になっているんですね。
また、解説の河野さんの後輩でもある筑波大学・金子佑太朗選手(4年、横浜翠嵐)が13分45秒43で筑波大学記録を更新。今年から指揮をとられている木路修平男子駅伝監督のご指導のもと、今後のレースや箱根予選会にも注目していきたいですね。
さて、次戦は7月10日の網走大会です。注目の学生選手も多数出場しますので、応援よろしくお願いします!