陸上・駅伝

特集:第102回関東学生陸上競技対校選手権

青山学院大・宇田川瞬矢と山内健登が男子2部1500m2年連続ワンツーフィニッシュ

トップでゴールし、両手を広げ「1」を掲げる宇田川(すべて撮影・藤井みさ)

第102回関東学生陸上競技対校選手権 男子2部1500m決勝

5月12日@相模原ギオンスタジアム(神奈川)

1位 宇田川瞬矢(青山学院大2年)3分49秒24
2位 山内健登(青山学院大4年)3分49秒90
3位 鈴木景仁(國學院大4年)3分50秒70
4位 栗原直央(城西大3年)3分51秒33
5位 松尾悠登 (東京国際大1年)3分51秒68
6位 小林駿介(関東学院大4年)3分53秒08
7位 小島優輝(城西大4年)3分54秒03
8位 濱口直人(創価大3年)3分54秒43

5月12日の関東インカレ2日目に行われた男子2部1500m決勝で、宇田川瞬矢(2年、東農大三)が優勝、山内健登(4年、樟南)が2位となり、青山学院大がワンツーフィニッシュを飾った。前年は山内が優勝、宇田川が2位。宇田川は大きな笑顔を見せ、山内は悔しさを隠さなかった。

冷静なレース運びで抜け出した宇田川

決勝には宇田川、山内、片山宗哉(3年、愛知)と3人の青学勢が残ったが、「決勝前も話とかしつつでしたけど、僕は手の内をあまり明かさずに、2人の話を聞きながらみたいな感じでいました」と宇田川。この勝負にかけていた様子をうかがわせた。

前日の不安定な天候とは異なりスッキリと晴れたものの、ときおり強い風が吹き付ける中で行われたレース。スタートすると関東学院大の小林駿介(4年、三浦学苑)が先頭を引っ張り、宇田川はその後ろについた。1周目の400mは63秒。2周目からは山内が2番手を走り、ペースは67秒に落ちた。

宇田川はラスト1周でギアを上げ、他の選手を引き離しにかかった

800mの声を聞くと再びペースが上がり、集団が次第に縦長に。山内が前に出ると國學院大の鈴木景仁(4年、國學院栃木)、宇田川、片山も続いた。ラスト1周の直前で宇田川がさらにペースを上げて先頭に立つと、スパート合戦に。追ってくる鈴木、東京国際大の松尾悠登(1年、佐久長聖)、山内を最後はさらに引き離し、宇田川は笑顔で両手を大きく広げてゴールした。

昨年のリベンジを果たし「とにかくうれしい」

レース後、取材の場に現れた宇田川は「とにかくうれしい、ということだけで終わっちゃいます」と笑顔を見せながらまず口にした。昨年は中盤から山内が前に出て、宇田川はラストスパートで追ったものの追いつかずに2位。今年は風が強かったため、前に出てしまうとスタミナを消費してしまう。ラスト勝負になると予想した宇田川は、しっかり2番手付近を走ってラストで抜け出すタイミングをずっと狙っていた。

昨年はルーキーとして入学したばかりだったが、スピードには自信があった。しかし「1週間前にちょっと練習した山内さんに負けてしまったので、『長距離ランナーに負けた中距離ランナー』みたいに1年間ずっとあおられ続けてました」と苦笑する。「そう言われて本当に悔しかったので、今回勝ててホッとしてます」

山内に勝って「めちゃくちゃ気持ちいいです!」と素直に喜びを表現した宇田川

思いの強さはもちろんだが、宇田川自身の成長があってこその結果だ。1年間青山学院大の練習をこなし、じっくりと距離を踏み、スタミナがついてきて「強さ」がついてきたという実感もあるという。学生個人選手権でも2位に入り、今回の優勝。すっかり1500mスピードランナーのイメージがあるが、1500mの試合にも出場しつつ、徐々に距離を伸ばし、今後は短い距離でスピードが生きる出雲駅伝などから駅伝への出場を狙っていきたいと考えている。

宇田川は3月の学生ハーフからここまで、記録会も含めるとすでに六つのレースに出場。4月末にはチームメートとともにドイツのアディダス本社に招待され、「ADIZERO: ROAD TO RECORDS」5kmを走った。出場24人中22位、14分54秒の結果だったが、世界で活躍する海外の選手たちとのレースは大きな刺激になったようだ。「最初の1kmが2分34秒とかで、他の国の人達の強さを知れたので、それを生かして今後も頑張っていきたいなと思いました」

山内「悔しさもあり本望でもある」

一方、宇田川に負けて「悔しい〜!」と大きな声で感情を表現していた山内。2周は様子を見て、そこから前に出られたのは個人的には良かったと評価するが、練習からスピードでは宇田川に勝てていなかったため、弱い部分があると認めた。「ラストもうちょっと対応できると思ったんですけど、トップスピードが結構キツキツで。宇田川には負けて2番で悔しいですけど、表彰台に乗ったことについては良かったかなと思います」。悔しいといいつつも、「同じ大学の後輩に負けるのは本望な部分でもあるので」と先輩らしい面ものぞかせた。

昨年の優勝は「運が良かった部分もあります」と振り返る山内。優勝してから同期には「1500ランナー」と呼ばれていたといい、「1500m以上の距離を走れないという意味も込められてたのかもしれないですけど、やっぱり自分でも1500mは得意だなとも思ってたので、今回走ってよかったなと思います」という。原晋監督からも「5000mでもスピードが大事だから、1500mでのスピードを生かして5000mで13分30秒台、30秒を切ることを目標にして頑張っていこう」と言われて1500mに取り組んできた。

お互いをねぎらい合う(左から)宇田川、片山、山内。切磋琢磨する仲間だ

山内は「箱根駅伝で優勝したい」と考えて青山学院大に入学した。これまで駅伝を走ったのは、1年時の全日本大学駅伝のみだ。もちろん、ラストイヤーに自分が箱根駅伝を走りたいという思いもある。「最上級生として、去年の4年生が成し遂げられなかった『優勝』に向かって自分たちが担わないといけないという部分もあるので、そこに向けて下の学年の力も借りながらしっかり練習して頑張りたいと思います」

4年生になり、「後輩に背中を見せていかないといけない」という意識に変わったという山内。練習でも引っ張る側になり、「後輩を引っ張り上げる」という意識を持って練習できているという。4年生の責任感と、強い後輩たちとのチーム内での切磋琢磨(せっさたくま)が、青学をまた強くしていく。

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