西村菜那子が振り返るホクレンDC 駅伝シーズンは3強による「つばぜり合い」の予感
「ホクレン・ディスタンスチャレンジ2023」が、7月1日の士別大会から7月15日の千歳大会まで計5戦、開催されました。天候不良の日もありましたが、選手の皆さんは悪条件にもかかわらず、自分の力を存分に発揮されていました。
かつて箱根駅伝を沸かせ、今は実業団などで活躍するランナーとともに、大学生も交ざって戦っていくこの大会。今年は例年よりも多くの大学生が自己ベストを更新していたり、上位に食い込んでいたりしたように感じます。
平林清澄選手が國學院大學記録を更新!
8日の網走大会では男子10000mAで、國學院大學の平林清澄選手(3年、美方)が27分55秒15で日本選手2位、全体8位に入りました。OBの藤木宏太選手(現・旭化成)が持つ10000mの國學院大學記録を大きく更新。
今年の前半シーズンでけがを負い、このレースが復帰戦となりましたが、久しぶりのレースとは思えないくらいの堂々とした走りで、本人のインスタグラムの投稿を拝見すると、「楽しいレース」だったとのことです。
そして投稿の続きには、「今回のレースはペースメーカーと8000mすぎで前に出てくださった吉田祐也さん(現・GMOインターネットグループ)の力を借りて出させてもらったようなものだと思います」と100点満点だったレースにもかかわらず、謙虚な姿が印象的でした。
平林選手のレース後のインタビューやSNS、雑誌記事を見ると、今の自分の素直な気持ちとともに、最後には必ず前向きな言葉がつづられており、まさに「応援したくなる選手」を体現しているように感じます。
復帰を遂げた平林選手が3大駅伝でどんな活躍を見せてくれるのか、とても楽しみです。
そして國學院大學は平林選手だけでなく、網走大会の男子5000mAで山本歩夢選手(3年、自由ケ丘)が13分34秒85でフィニッシュし、こちらも國學院大學記録を更新! 主将の伊地知賢造選手(4年、松山)も復帰戦にもかかわらず、深川大会で男子10000mAに出場して日本人2位の走りを披露しました!
ここ最近は下級生の活躍が目立っていた國學院大學ですが、チームを支える上級生の三本柱もホクレンディスタンスでしっかりと存在感を見せました。
「自己ベスト祭り」となった中央大学
同様に頭角を現したのは、中央大学でした。
千歳大会男子5000mCで溜池一太選手(2年、洛南)が13分39秒85をマークして3位。自己ベストを更新しました。5位には吉中祐太選手(2年、豊浦)が13分44秒09でこちらも自己ベスト。同じく千歳大会男子5000mFでは、浦田優斗選手(3年、國學院久我山)が13分52秒77で自己ベストをマークし、1位となりました。
まさに「自己ベスト祭り」だった中央大学は、圧倒的エースの吉居大和選手(4年、仙台育英)だけでなく、チームの順調な仕上がり具合が見られました。
実力とキャプテンシーを兼ねそろえた鈴木芽吹選手
もちろん、昨年度の3大駅伝三冠を果たした駒澤大学も強さを発揮しました。
15日の千歳大会では男子5000mAで鈴木芽吹選手(4年、佐久長聖)が自己ベストを更新する圧巻の走りを披露。レース序盤は集団の真ん中で、留学生や実業団ランナーの動きをうかがい、慎重にレースを進めていきました。
5周目を終えると徐々にペースをアップし、留学生が形成する先頭集団に合流。果敢に前へ攻めました。ラスト1周では離されてしまったものの、日本を代表する実業団ランナーを抑え、結果は見事に日本選手トップ。13分24秒55をマークしました。
2年生のときはけがが度重なり、思うように走れない日々が続いていましたが、3年生の出雲駅伝でアンカーに抜擢(ばってき)され、区間賞の走りで完全復活。その後、全日本大学駅伝の出走はなかったものの、箱根駅伝で4区区間3位と結果を残し、昨年度の主将・山野力選手(現・九電工)からキャプテンを引き継ぎました。
いよいよ今年度は大学ラストイヤー。昨年度チームを引っ張った、エースの田澤廉選手(現・トヨタ自動車)とチームを支えた山野選手、その両方を兼ねそろえているのが、今年の鈴木選手のように感じます。
1年生からチームの中心で活躍し続けた鈴木選手が、今年こそ3大駅伝すべてを走りきる姿を楽しみにしています。
駅伝シーズンに期待!
今回のホクレン・ディスタンスチャレンジを見て、國學院大學、中央大学、そして昨年度3大駅伝三冠の駒澤大学「3強のつばぜり合い」が今年度の駅伝シーズンで起きる予感がしました!
選手の皆さんはここから夏合宿が始まりますが、また夏合宿で一皮むけ、けがなく秋の出雲駅伝に備えてほしいです。
改めて、ホクレンディスタンスチャレンジ、お疲れ様でした!