陸上・駅伝

連載:西村菜那子の大学陸上もっと推し活!!!!

特集:第55回全日本大学駅伝

西村菜那子が見た全日本大学駅伝関東地区選考会 選手のお父様やOBの方とも交流!

4年ぶりに全日本大学駅伝の関東地区選考会を現地で観戦しました!(©︎ILLUMINUS/CANVAS)

みなさんこんにちは!

全日本大学駅伝関東地区予選会が6月17日、神奈川県の相模原ギオンスタジアムで開催されました。私は4年ぶりの現地観戦! 当然のことながら、今は全選手が年下で、大学駅伝を走るランナーとどんどん年齢差が開いていく事実に、改めて気付かされた日でありました(笑)。誰もが通る道ですね……。

日大・片桐禅太選手のお父様が、新潟から応援に

1組が始まる前に、私に声をかけてくださった陸上ファンの方がいらっしゃいました。お話を聞くとその方は、1組に出場する日本大学・片桐禅太選手(1年、中越)のお父様でした。この日は新潟県から応援に駆けつけたそうです。

他にも私が座った席の周りには、明治大学を応援している方、帝京大学を応援している方、全大学を応援されている方、地元の相模原に住んでいるため観戦に来た方、選手のご家族がいらっしゃいました。

会場に来たきっかけはそれぞれ。ですが、全日本大学駅伝の本戦出場がかかった選手たちを応援したい気持ちで集まった今回のご縁が、とてもうれしかったです。

終始強さが際立っていたのは、城西大学でした。どの組も満遍なく上位でゴールし、予選トップ通過で本戦出場を決めました。チーム全体の走力で言うと、他のチームより頭一つ抜けていたように感じました。

城西大学が全日本大学駅伝関東地区選考会トップ通過 「最高の状態」で臨んだ選手たち
トップ通過を果たした城西大の山本唯翔選手(7番)、どの組も満遍なく上位でした(以下すべて撮影・藤井みさ)

続く2位には大東文化大学が入りました。2組に出場したピーター・ワンジル選手(3年、仙台育英)は、出場した選手全員を周回遅れにする圧倒的な強さを見せつけました。現地で観戦していましたが、ピーター選手が2位集団を周回遅れにした瞬間、観客席は感嘆の声であふれていました。

チームを代表して出走する8人のランナーのうち、誰か1人でも棄権があれば、その時点で伊勢路への道が途絶えてしまう今回の選考会。何人かOBの方のツイートを見かけましたが、1人のミスも許されない状況のため、選手は他の大会にはない重圧を感じるそうです。

今回の選考会では、選手の皆さんの「絶対に走り切る」という強い思いを肌で感じました。

いきなり役立った服部翔大さんの事前情報

最も注目を集めたのは、やはり最終4組でした。

東海大学の石原翔太郎選手(4年、倉敷)や法政大学・松永伶選手(4年、専大松戸)、中央学院大学の吉田礼志選手(3年、拓大紅陵)など、各校のエースがエントリー。年始の箱根駅伝では「山の妖精」と話題を呼んだ城西大学・山本唯翔選手(4年、開志国際)も最終組に出走しました。

エースが集う4組は、走力のある留学生選手たちが先頭集団を形成していきました。そんな中、集団に果敢に加わっていったのが東京農業大学の前田和摩選手(1年、報徳学園)です。今回の選考会で一番爪痕を残したといっても、過言ではありません。

序盤から先頭集団でレースを進めると、徐々に離されていく選手も多い中、最後まで留学生たちとの戦いを繰り広げ、なんとラスト1周に入る直前では一時先頭に立ちました。会場を熱狂させ、結果は3位で28分03秒51。こちらの記録は、なんとU20日本歴代2位の好タイムでした。

ラスト1周を前に先頭に立ち、会場を熱狂させた東京農業大の前田和摩選手

さらに驚くことに、この日が初の10000mレースだったそうです。

私が前田選手の存在を知ったのは、今年の関東インカレでした。男子2部5000m決勝で、青山学院大学の鶴川正也選手(3年、九州学院)に続く、日本人選手2位でゴールしたのが前田選手でした。

関東インカレでは会場で偶然、元箱根駅伝ランナーの服部翔大さん(日本体育大学OB)と遭遇し、少しの間一緒に観戦していました。服部さんが「前田はいいですよ、絶対あの子は今後きます!!」とおっしゃっていて、今回前田選手の活躍を目にしたとき「わ……本当にきた……!!」と思いました(笑)。

前田選手とチームの中心・並木寧音選手(4年、東京実業)の活躍もあり、3組終了時点では暫定12位だった東京農業大学が、最終結果で5位までジャンプアップし、見事に14大会ぶりの本戦出場を決めました。

東農大が14大会ぶりに伊勢路へ スーパールーキー・前田和摩が日本人トップで貢献
東農大ルーキー・前田和摩がデビュー戦で好走 箱根駅伝出場のためにチームの力になる

立教大学の進化を目の当たり!

そして私が驚いたのは東海大学の石原選手でした。スタート直後は集団後方につき、レース中盤も先頭集団で走ることがなく、「もしかしてあんまり調子が良くないのかな」と思っていた矢先、レース終盤でギアを上げ、いつのまにかどんどん順位を上げていて、日本人選手2位に入りました。

「いつの間に!?」と思うと同時に、東海大学のエースとしてきっちりと結果を残す姿に、最終学年としての意地を見ました。石原選手をはじめ、出場選手全員が安定した結果を残した東海大学が3位通過となりました。

日本選手2位に入った東海大の石原翔太郎選手、最終学年の意地を見ました

伊勢路への最後の切符をつかんだのは国士舘大学で、7大会ぶりの全日本大学駅伝復帰です。そして惜しくも出場を逃したのが立教大学。差はわずか14秒でした。ですが、立教大学は昨年の合計タイムから1分以上縮めています。

今回は次点という結果に終わりましたが、立教大学は確実に進化していることが分かりました。

今年の全日本大学駅伝関東地区選考会では、アクシデントも少し見受けられましたが、久しぶりに本戦出場をつかんだ大学があったり、ルーキーが活躍したりと、間違いなく伊勢路を盛り上げる前哨戦になったと思います。

本戦は11月5日!

各地区の選考会を通過した精鋭たちの戦いを楽しみにしています。

最終組を走った立教大の関口絢太選手(右)、チームの進化を目の当たりにしました

西村菜那子の大学陸上もっと推し活!!!!

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