陸上・駅伝

連載:西村菜那子の大学陸上もっと推し活!!!!

特集:第102回関東学生陸上競技対校選手権

西村菜那子が見た関東インカレ 早稲田大・山口智規選手の追い込みに、思わず3度見!

男子1部5000mのラストで驚異の追い込みを見せてくれた山口選手!(左端、撮影・井上翔太)

皆さんこんにちは!

5月11日〜14日に相模原ギオンスタジアムで第102回関東学生陸上競技対校選手権大会(関東インカレ)が開催されました。

今年は最終日に現地観戦がかない、男子5000mを現地で応援しました。

会場に着くと、関東インカレ名物でもある応援団の力強い声援が聞こえたり、スタジアムを歩いていると、箱根駅伝を走ったランナーがあちらこちらにいらっしゃったり、関東インカレならではの光景に胸が高鳴りました。

青山学院大・鶴川正也選手の駅伝デビューに期待

この日は、いつ雨が降り出してもおかしくないどんよりとした天気でした。涼しい気温だったものの、風がとても強かったため、決して走りやすい天候ではなかったと思います。

天候は良くなかったですが、観戦はかないました!(©ILLUMINUS@CANVAS)

5000mの中で最初に始まったのは、男子2部。こちらには駒澤大学、青山学院大学をはじめ、箱根駅伝常連の強豪校が出場していました。

レースは3位に入った青山学院大学・鶴川正也選手(3年、九州学院)が日本人トップとなりました。創価大学のスティーブン・ムチーニ選手(1年、ミクユニ)とは最後の最後まで目の離せない展開を繰り広げ、ゴール直後は倒れ込んでしまうほど全力の走りを見せてくれました。

鶴川選手といえば高校時代、全国高校駅伝でエースがそろう花の1区で、区間賞を取るなど、カリスマ的な活躍をしていました。しかし、大学に入ってからはけがに泣かされ、3大駅伝出場はかなっていません。

今年こそ「鶴川選手が駅伝を走る姿を見られるのではないか」と心待ちにしている駅伝ファンの方も多いと思います。個人的には「大学駅伝デビュー戦で区間賞を取ってくれるのではないか」と密かに期待しています。

それほどのカリスマ的存在だと思っているので、彼のこれからのシーズンに注目していきたいです。

青山学院大・鶴川正也「僕が大エースになる」みんなの心を動かせる選手を目指す
青山学院大の鶴川選手(左)は駅伝出走に期待です(撮影・井上翔太)

1500m、5000mで自己ベスト更新の山口智規選手

男子1部5000mも熱いレースが展開されました! 男子2部よりも天候が崩れ、トラックの状態が悪い中でのスタートでした。私が最も注目して見ていたのは、早稲田大学の山口智規選手(2年、学法石川)です。

今年の箱根駅伝は直前の体調不良で、出場を逃しましたが、3月に香港で行われた香港陸上シリーズで1500mに出場し、自己ベストを更新する3分46秒40の走りで見事に優勝を飾りました。

また4月に行われた金栗記念選抜陸上中長距離大会では5000mでも自己ベストを更新するなど、今期のトラックシーズンで爪痕を残し、今回の関東インカレでもきっとすごいタイムをたたき出すのではないかと期待していました。

自己ベスト更新を連発した山口選手に期待していました(撮影・井上翔太)

レース序盤、先頭へ飛び出したのは山梨学院大学のジェームス・ムトゥク選手(2年、ンゴニ)でした。実力のある留学生の後に、早稲田大学の伊藤大志選手(3年、佐久長聖)、日本体育大学の漆畑徳輝選手(4年、山梨学院)、大東文化大学の西川千青選手(3年、九州国際大付属)が続きます。

そしてスーパールーキーとして注目を集める順天堂大学の吉岡大翔選手(1年、佐久長聖)も攻めの走りを披露していました。前回覇者の順天堂大学・三浦龍司選手(4年、洛南)はここでは先頭に出ることはなく、集団の中で前を走る選手の様子をじっくりうかがっていました。

順天堂大のスーパールーキー・吉岡大翔 4位にも満足せず、負けから学び将来の勝ちへ

「いやいや、どこから巻き返してきたの!?」

レース中盤になると先頭は、ムトゥク選手、伊藤選手、吉岡選手、三浦選手、東海大学の石原翔太郎選手(4年、倉敷)、山口選手に絞られ、有力ランナーが順当に上位争いに残りました。

ラスト2周に差し掛かったところで、これまで一度も先頭に立たなかった三浦選手がついにトップへ浮上。しかし伊藤選手が負けじと先頭を奪い返し、再び展開が読めない状態になりました。ここで山口選手が後れを取り、先頭集団は5人になります。

ラスト1周で誰が先に仕掛けるか。観客からの視線が集まる中、最初に勝負に出たのは、なんとルーキーの吉岡選手!会場が沸いた瞬間でした。

しかし、先輩たちも負けじと三浦選手、石原選手が温存していた力を発揮。最後の直線では三浦選手が持ち味である驚異の追い込みをかけ、見事2連覇を達成しました。

優勝の三浦選手(中央)2位の石原選手(右から2番目)に続き、山口選手が…(左端、撮影・井上翔太)

三浦選手に続いて、石原選手が2位でフィニッシュ。箱根駅伝は2年連続でシード権を逃している東海大ですが、エースの存在感を関東インカレでしっかりと見せつけてくれました

三浦選手のラストスパートのスピード感に目を取られ、後続の展開を見逃していてしまっていた私ですが(多分会場の皆さんも、配信でご覧になっていた皆さんも同じではないでしょうか)なんと3位に飛び込んできたのは、まさかの先頭集団から外れていた山口選手!!!

「いやいや、山口選手いつの間に!? どこから巻き返してきたの!?」と2度見、いや3度見くらいしてしまいました。

後にTwitterで少し調べてみたら、私と同じ気持ちだった方がいらっしゃって安心しました(笑)。注目していた山口選手が3位に滑り込み、大変うれしかったです。続く4位には吉岡選手、終始先頭を引っ張っていた伊藤選手が5位という結果に。個人的には、攻めの姿勢をレースの序盤から展開していた伊藤選手が、しっかりと入賞している姿に臙脂(えんじ)のエースとしての意地を感じました。

今シーズンも積極的に現地観戦します!

これまでけがで苦しんでいた選手が復活を遂げていたり、下級生が果敢にレースを動かしたり、会場が一体となって声援を送ったり。どこを切り取っても青春感あふれる関東インカレに、学生スポーツならではの良さを実感しました。

今シーズンも積極的に現地観戦を行なっていきたいと思います!

西村菜那子の大学陸上もっと推し活!!!!

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