西村菜那子が振り返る世界陸上! 3000mSCで決勝進出の青木涼真選手に「誇り」
第19回世界陸上競技選手権大会が、8月19日から27日にかけてハンガリーのブダペストで開催されました! 皆さんはテレビでどのくらいリアルタイム視聴しましたか?
私は20日の朝早くに仕事で長野へ行ったのですが、その日の午前2時くらいにリビングで両親の話し声が聞こえてくると思ったら、2人とも世界陸上の男子100mを見るために起きていて、両親の陸上熱を改めて実感いたしました(笑)
今回も大学生や、過去に箱根駅伝で活躍されたランナーたちが出場を果たし、世界の舞台へ挑戦しました。
三浦龍司選手の力走は、チームにも大きな刺激
中でも大いに盛り上がったのは男子3000m障害(SC)です。
順天堂大学の三浦龍司選手(4年、洛南)と、Hondaの青木涼真選手(法政大学OB、春日部)が日本勢としては2003年パリ大会の岩水嘉孝選手以来、20年ぶりに決勝進出を果たしました。
スタート直後、集団の後方でレースを進めた三浦選手。徐々に順位を上げ、残り3周では8番目につけました。ラスト1周でさらにギアを上げ、8分13秒70で見事6位フィニッシュ。東京オリンピックに引き続き、日本人初の入賞を果たす快挙を成し遂げたにもかかわらず、レース後のインタビューでは「詰めの甘いところが出た」と悔しさをあらわにしていました。
近年、日本の3000mSCは三浦選手の「無双状態」が続いています。私は、三浦選手が今回感じた悔しさをバネに、さらなる成長を遂げていくことを確信しました。
そして三浦選手が所属する順天堂大学は、約1カ月半後に3大駅伝の開幕戦となる出雲駅伝に出場します。駅伝主将も務める三浦選手の活躍は、チームにとっても大きな刺激になったのではないでしょうか。
東京オリンピックから成長を遂げた青木涼真選手!
青木選手は、集団の真ん中付近でレースを進め、最後は持ち前の粘りで、入賞には届かなかったものの、8分24秒77をマークし、14位でゴールしました。
私個人的には三浦選手はもちろんのこと、同い年で大学時代から応援している青木選手が決勝に進んだことが、とてもうれしかったです。
青木選手は高校から陸上を始めました。サッカー部に入る予定が紆余曲折(うよきょくせつ)あり、陸上部に入って3000mSCに取り組むことになったそうです。
大学でも競技を続け、1年生のときの関東インカレでは、3000mSCで6位。2年時には優勝、3年時には連覇を果たし、着実に力をつけていきました。
駅伝でも活躍を見せました。1年時には、箱根駅伝8区を走り区間9位と、決して目立った成績ではありませんでしたが、2年時には箱根駅伝5区で区間賞と区間新記録(当時)を樹立、その後は3年連続で5区を任され、エースとしてチームに貢献しました。
東京オリンピックの日本代表にも選ばれた青木選手。そのときは男子3000mSCの予選2組で9着となり、決勝進出はかないませんでした。しかし、今回の世界陸上では見事ファイナリストに! 東京オリンピックから大きく進化した青木選手の活躍に、同い年として大変誇らしく思いました。
前回順位を上回った田澤廉選手
昨年まで大学陸上界のエースとして活躍した、トヨタ自動車の田澤廉選手(駒澤大学OB、青森山田)も世界陸上の代表に選ばれ、男子10000m決勝に出場しました。結果は28分25秒85で15位。前回のオレゴン大会で残した20位を上回り、たった1人の日本代表として力強い走りを見せてくれました。
同じく10000m決勝では、九電工に所属しているベナード・コエチ選手がケニア代表として出場し、見事に5位入賞を果たしました。コエチ選手は、あらゆる日本の大会でペースメーカーとしても参加してます。
世界の第一線で活躍しているコエチ選手が、日本で生活し、多くの大会を支えてくださっていること、日本の陸上界の底上げに貢献してくださっていることが、とてもうれしく、改めて誇りに思いました。
次回の世界陸上は東京! 多くの箱根ランナー出場に期待
今回の世界陸上には、箱根駅伝を走ったランナーで見ると5000mの塩尻和也選手(富士通、順天堂大学OB)、10000mの田澤選手、3000mSCの三浦選手と青木選手、マラソンの其田健也選手(JR東日本、駒澤大学OB)、山下一貴選手(三菱重工マラソン部、駒澤大学OB)、西山和弥選手(トヨタ自動車、東洋大学OB)が出場しました。
学生3大駅伝ももうすぐ開催され、さらに今年度の箱根駅伝は予選会に全国から出場できるなど、大学陸上界は例年以上に注目が集まっています。
次回の2025年世界陸上東京大会では、さらに多くの箱根駅伝ランナーが出場することを楽しみにしています。