陸上・駅伝

連載:西村菜那子の大学陸上もっと推し活!!!!

特集:第35回出雲駅伝

田澤廉選手のトークで「#芽吹が強すぎる」爆誕! 出雲駅伝の副音声、完走しました

今年も出雲駅伝中継の副音声とYouTube配信を担当しました!(撮影・齋藤大輔)

皆さんこんにちは!

10月9日に第35回出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)が開催されました。今年は昨年に引き続き駒澤大学が優勝し、2連覇を達成。1区篠原倖太朗選手(3年、富里)からアンカーの鈴木芽吹選手(4年、佐久長聖)まで1度も先頭を譲らない完全優勝となりました。

私は、ありがたいことに今年も当日に副音声とYouTubeライブ配信を担当させていただきました。ご一緒したのは2代目山の神こと、柏原竜ニさん(東洋大学OB)、そして昨年度の学生3大駅伝で三冠を達成した駒澤大の大エース、田澤廉選手(現・トヨタ自動車)。レジェンドお2人とお伝えする運びとなりました。

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意外と甘党「ルマンドが好き」な田澤選手

柏原さんとは昨年も副音声でご一緒したことがあり、これまでもよくお話しさせていただいたのですが、田澤選手とはしっかりコミュニケーションを取るのは今回が初めてのことでした。

今年の3月にテレビ東京で放送された「昼めし旅〜あなたのご飯見せてください!〜」で私が駒澤大の寮を訪問した際、少しだけ田澤選手とお話ししたのですが、「すごく気さくな方」という印象を受けました。

勝手ながら思い描いた「寡黙な人なのかな?」というイメージとの違いに驚いたことを覚えています。

昨年の全日本大学駅伝で7区区間新を打ち立てた田澤選手(撮影・福留庸友)

今回のYouTubeライブ配信が始まる前の打ち合わせで、柏原さんと田澤選手と私の3人で少し雑談をしていたのですが、話を深掘りすればするほど、田澤選手の新たな一面に気づき、このYouTube配信を通じて田澤選手のあまり知られていない人間性もお伝えできればいいなと思いました。

ちなみに、本番前の控室にはフジテレビさんがたくさんのお菓子を用意してくださっていました。私は「田澤選手ってお菓子とか食べるのかな、いや食べないか」と思っていたので、ふと「田澤選手、あの、お菓子とか普段食べます?」と、しょうもない質問をしてしまいました。

すると田澤選手からは意外な答えが返ってきました。

「食べます!!!!! この中にあるものだとルマンドが好きですね!」

意外にも甘党であることが発覚しました(笑)

一番気にかけていた山川拓馬選手の走りに一安心

レース前に順位予想をしたのですが、柏原さんも田澤選手も私も、優勝チームとして名前を挙げたのは駒澤大でした。圧倒的な走力に、「順当にいけば駒澤が優勝だろう」と予想されていた方も多いと思います。

盤石な駒澤大のオーダーを見て、田澤選手が一番気にかけていた区間は、自身が昨年走った3区でした。今年任されたのは山川拓馬選手(2年、上伊那農業)。山川選手はもちろん走力のあるランナーですが、スピード駅伝とも言われる出雲駅伝において、3区は後続との差を広げたい重要なエース区間。必要な爆発力を山川選手が発揮することができるのか。先輩として少し気にしていた様子でした。

ところが、その心配は無用でした。

レース本番、山川選手はエース区間を走るプレッシャーを抱きながら2区の佐藤圭汰選手(2年、洛南)からトップで襷(たすき)を受け取りました。

序盤からいいペースでレースを展開し、その後もスピードを落とすことなく、トップを維持したまま4区の伊藤蒼唯選手(2年、出雲工業)へ襷リレー。2位とは57秒差。後続をさらに引き離すエースの走りを披露しました。

この走りには田澤選手も思わず笑みがこぼれていて、優勝を確信した様子でした。

駒澤大学・山川拓馬 中学時代から山に囲まれた競技生活、次の「山の神」になるために
エース区間を担った山川選手(前列左)の力走で優勝を確信(撮影・藤井みさ)

「中学生のときに陸上人生のビジョンを考えていた」

レース中は視聴者の方からのコメントを読んだり、レース展開の感想をトークしたりしながら、副音声とYouTube配信を進めてまいりました。

一番私が驚いたことは、柏原さんが田澤選手に「学生時代に一番悩んだことは?」と質問をした時のこと。全日本大学駅伝では4年連続の区間賞、さらにトラックでも数々の成績を残してきた田澤選手は当時どんな悩みを抱いていたのか、私もとても気になるところでした。

しかし、田澤選手の回答はまさかの「悩みはなかった」。

ないんかーーい!! と思わず突っ込んでしまいそうでしたが、私が驚いたのはここではなく、次に田澤選手がおっしゃった言葉でした。「中学生のときに自分の陸上人生のビジョンを考えていた」

中学の時に?!!?!? とこれには柏原さんも私もかなり驚いたのですが、田澤選手はいたって冷静でした。「高校、大学では抑えめにいって、実業団に入ってから爆発させたかったが、大学で爆発したのは少し誤算だった」とのこと。

田澤選手の強さの秘訣(ひけつ)は多くの理由が存在していると思いますが、その一つに自分の競技人生を俯瞰(ふかん)しつつ、冷静に判断をする能力の高さがあるのだなと実感しました。

まだまだパワーアップしていく田澤選手の競技人生が、より楽しみになりました。

自然と進行を助けてくださる柏原竜二さんに感謝

その他にも、アンカー区間になると「練習積んでる芽吹は強すぎる」と鈴木芽吹選手の強さを絶賛し、X(旧・Twitter)では「#芽吹が強すぎる」というハッシュタグが爆誕。レース前は普段多めに食事を取る田澤選手ですが「10000mくらいならそんな食べなくても走れる」と常人離れしたトークも披露し、田澤選手のパーソナルな部分が全国に発信された副音声とYouTube配信になったのではないかなと思いました。

出雲駅伝優勝の駒澤大学 鈴木芽吹が主将・エースとして引っ張り「2年連続三冠」へ
スタートから独走だったアンカーで区間賞を獲得「#芽吹が強すぎる」(撮影・藤井みさ)

今回の出雲駅伝も豪華なレジェンドのお2人とお届けし、貴重なお話を聞くことができて、私にとっても幸せな時間でした。田澤選手のレアな話はもちろん、個人的にすごく勉強になったのは、柏原さんの解説者としての立ち振る舞いでした。

私が未熟でなかなかうまく進行できない場面が多くありましたが、とっさに手を差し伸べてくださる柏原さんに何度も助けていただきながら、副音声を終えることができました。視聴者さんが知りたいことを瞬時に察し、田澤選手に質問。その対応力の高さはすごく勉強になりました。

柏原さんとは何度かご一緒させていただいたことがありますが、本番中はいつも周りを客観的に見られていて、誰も気付かないようなところでも自然に助けてくださいます。

私も柏原さんのように、駅伝の面白さをもっとよりわかりやすく発信していくため、これからも精進していきたいと思います!

副音声とYouTubeライブ配信をご覧くださり、ありがとうございました。そして選手の皆様、関係者の皆様お疲れ様でした。全日本大学駅伝も楽しみにしています。

西村菜那子の大学陸上もっと推し活!!!!

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