特集:東京オリンピック・パラリンピック

はるな愛さんも君が代歌い手も主人公も公募 パラ開会式

開会式で君が代を歌う佐藤ひらりさん(撮影・西畑志朗)

 東京パラリンピック開会式のタイトルは「WE HAVE WINGS(私たちには翼がある)」。国立競技場を空港に見立て、13歳の車いすの少女が演じる「片翼の小さな飛行機」が、空へ飛び立つ過程を表現。様々な出し物があったオリンピック(五輪)開会式と比べ、「一つの背骨を作った」(大会組織委員会の中村英正・運営統括)。

順大・橋本2冠など大学生は金6個、日体大の阿部と入江、日大・素根、早大・須崎も

 式で演じるキャスト714人のうち、障害のある人は166人。キャストの75人は、5550人が参加した公募によるオーディションで選ばれた。カウントダウンのダンスを踊ったタレントのはるな愛さん、君が代を歌ったシンガー・ソングライターの佐藤ひらりさんも公募キャストだ。

 行進の最後は2028年大会のアメリカ、24年大会のフランス、そして今大会最多254人の選手団となった開催国・日本で締めくくった。会場のビジョンには五輪・パラリンピックを通じて初めて、式に参加できない全選手の名前が表示された。

 式で物語の主人公を演じた和合由依(わごうゆい)さんも公募で選ばれた。東京都内の中学2年生。学校では生徒会の役員を務めたり、吹奏楽に親しんだり。「よくしゃべる、よく笑う、友達が多い、コミュニケーション能力がある、などとよく言われます」。先天性の病気で左手や足を自由に使えず、演技経験もなかったが、彼女と面接して起用した演出家のウォーリー木下さんは「表現に貪欲(どんよく)で、純粋さと大人っぽさがある。彼女なら、大役を務めてもらえると思った」。

 終盤では、和合さん演じる飛行機が約20メートルの滑走路を車いすで走り、飛び立つシーンを表現。困難を乗り越えて戦いに臨むアスリートたちを重ねた。

(野村周平)

=朝日新聞デジタル2021年08月24日掲載

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