五輪

特集:いざ、東京オリンピック・パラリンピック

順大・橋本2冠など大学生は金6個、日体大の阿部と入江、日大・素根、早大・須崎も

体操で男子個人総合と種目別鉄棒の2冠に輝いた順大2年の橋本大輝(撮影・杉本康弘)

日本選手団が史上最多の27個の金メダルを獲得した第32回オリンピック競技大会東京大会(東京五輪)はコロナ禍での17日間の競技日程を終え、8月8日に閉会する。70人余りが出場した日本の大学・大学院に在籍するアスリートも躍動した。総メダル獲得数は12(金6、銀5、銅1)となり、金メダルは6個で前回のリオデジャネイロ大会を1つ上回った。

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体操男子は学生が引っ張る

リオ大会で白井健三(当時、日本体育大学)が団体金メダルと、種目別跳馬で銅メダルを獲得した体操男子は、5年後も橋本大輝(順天堂大学2年)、順大大学院の萱(かや)一磨(セントラルスポーツ)、星槎大学1年の北園丈琉(たける、徳洲会)と3人の学生アスリートが輝きを見せた。

体操男子団体で銀メダルを手にした左から橋本、萱、北園、谷川航(撮影・細川卓)

団体ではリオに続く連覇はならなかったが、銀メダルを獲得した。橋本は個人総合と種目別鉄棒で優勝し、体操では1984年ロサンゼルス大会の具志堅幸司以来となる日本選手として個人で2つの金メダルを手にした。萱も種目別あん馬で銅メダルに輝いた。

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橋本は共同会見で「楽しんでミスなく演技ができたことがメダルにつながった」と大会を振り返ったが、「団体で金メダルを取れなかったことが一番の悔いだ。これからは、その悔しさを成長に変えて3年後のパリ(五輪)では1つでも多くの金メダルを目指したい」と前を向いた。8月7日に20歳になった新エースは、内村航平(ジョイカル)の後継者として日本男子を引っ張っていく。

柔道女子の21歳は連覇を見据え

柔道では女子52kg級の阿部詩(うた、日本体育大学3年)と78kg超級の素根輝(あきら、日本大学1年)。21歳の同じ年の2人が金メダルを取り、新種目の混合団体にも出場して銀メダルに貢献した。阿部は日体大OBの男子66kg級の一二三(ひふみ、パーク24)と「きょうだい同日金メダル」を達成した。

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金メダルを手に笑顔を見せる阿部一二三(右)と詩(撮影・林敏行)

阿部詩が「3年後に向けてもうスタートしている。2連覇は簡単ではないが、努力していきたい」と言えば、素根も「パリ五輪に向けて目の前の一つ一つを闘っていきたい」とすでに3年後のオリンピックを見据えた。

女子78キロ超級で優勝し涙をぬぐう素根輝(撮影・長島一浩)
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初挑戦のボクシング女子でも金

ボクシングは2012年ロンドン大会から正式種目に採用された女子に日本勢が今大会初出場。フェザー級の入江聖奈(日本体育大学3年)は決勝で判定勝ちするとピョンピョンと跳びはね、「金メダリストになれたことを誇りに、これからの競技生活も頑張っていきたい」と喜びを語った。鳥取県出身者としても初の金メダリストに。連覇も期待されるが本人は大学を卒業したら競技は引退する意向だという。

ボクシング女子フェザー級決勝で判定勝ちした入江聖奈(撮影・細川卓)

低調な競泳陣で気を吐いた本多

競泳はリオ大会で、男子400m個人メドレーで萩野公介(当時、東洋大学)が金メダル、瀬戸大也(当時、早稲田大学)が銅メダルなど大学生が5個のメダルを獲得したが、東京大会では男子200mバタフライで日本大学2年の本多灯(ATSC.YW)の銀メダル一つにとどまった。競泳は学生に限らず自己ベストを出せた選手も少なく日本勢は低調だった。白血病と闘い戻ってきた日本大学3年の池江璃花子(ルネサンス)はリレー種目に出場し、次の目標へ決意を新たにしていた。

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リオ大会で112年ぶりに復活したゴルフでは、女子で日本ウェルネススポーツ大学4年の稲見萌寧(都築電気)がプレーオフの末に銀メダルを獲得、この競技の日本勢では男女を通じ初のメダリストになった。自転車トラック女子でも、1日に4種目で競うオムニアムで梶原悠未(筑波大大学院)が銀メダル。日本女子としては自転車で初のメダルの快挙となった。

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新風吹いたレスリング

リオ大会で男子フリー57kg級で樋口黎(当時、日体大)が銀メダル、女子63kg級の川井梨紗子、69kg級の土性沙羅(ともに当時、至学館大学)がそれぞれ金メダルを取ったレスリング。東京大会では、開会式で旗手も務めた女子50kgの須崎優衣(早稲田大学4年)が金メダルに輝いた。OGを含め至学館大勢がメダルを量産してきた日本女子に新風を吹き込んだ。須崎は「特別なオリンピックの中で、たくさんの方のご協力とご理解のおかげで、自分の夢をかなえることができて感謝しています」などとコメントした。

レスリング女子50キロ級で金メダルを獲得し、表彰式で笑顔を見せる須崎優衣(撮影・加藤諒)

楽しみな陸上の若手

前回大会では桐生祥秀(当時、東洋大学)が、男子400mリレーの銀メダルメンバーとなった陸上競技。東京でも10名ほどの大学生・大学院生アスリートが参加したが、残念ながらメダル獲得はならなかった。ただ、走り幅跳びで6位に入賞した日本大学大学院の橋岡優輝(富士通)、3000m障害で7位入賞の三浦龍司(順天堂大学2年)、女子1500mに日本勢で初挑戦し、予選、準決勝と日本記録を更新、初めて3分台に突入して8位入賞した同志社大学4年の田中希実(のぞみ、豊田自動織機TC)らが内容の濃い結果を残した。今年、東洋大学を卒業したばかりの池田向希(旭化成)も札幌で行われた男子20km競歩で銀メダルを獲得した。

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日本代表以外にも、日本の大学に通っているフィリピン代表のカルロス・ユーロ(帝京大学短期大学2年)が体操男子種目別跳馬で4位に入賞した。

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メダルを獲得して歓喜の瞬間を味わった選手もいれば、悔しい思いをした選手もいるだろう。パリ大会は3年後の2024年、ほとんどの選手が今回の経験を糧に、再び、オリンピックにチャレンジする意向を示しており、今後の活躍と成長に期待したい。

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