野球

5点目のスクイズ、智弁和歌山の狙い通りに 高嶋仁の目

智弁和歌山の高嶋は二回に本塁打を放つ(撮影・田辺拓也)

■高嶋仁の目

智辯和歌山・池田陽佑 歓声が聞こえないほど集中していた、星稜・奥川との投げあい

(26日、高校野球選手権大会 智弁和歌山9-1石見智翠館)

 智弁和歌山は準々決勝も、中谷仁監督が描いたとおりの試合運びだったのではないでしょうか。

 一、二回に先手をとり、四回に中押し。大きかったのは六回の3点です。先頭打者が死球で出塁すると、宮坂厚希君から3者連続でバントを仕掛けました。

 宮坂君は俊足を生かしてバント安打にし、大仲勝海君はきっちり送りバントで1死二、三塁。中谷監督は3番角井翔一朗君にスクイズのサインを送りました。この5点目には、調子が上がっていない4番徳丸天晴君を楽な気持ちで打席に立たせるという効果もありました。左中間二塁打で続いてくれたので、復調のきっかけにして欲しいです。

 1番の宮坂君も3安打しましたが、まだ本来の打撃はできていない。宮坂君も徳丸君も、タイミングの取り方が遅いんです。ほんの少しなんですが、一呼吸早めにトップの位置を作ることで、ボールがよく見えるようになると思います。

 先に点をとれたので、初登板の2年生、塩路柊季君も余裕をもって投げることができました。大きな点差がついたことで、エースの中西聖輝君と伊藤大稀君を使わずに勝ち上がることができたのも、準決勝を考えると大きいです。

 二回の2点目は、高嶋奨哉の本塁打でした。初戦で2安打が出たこともあり、打席で余裕を感じました。ええ待ち方をしていたので打つ予感はありましたが、完璧な当たりでしたね。おじいちゃんは甲子園で1安打しか打っていないので、孫の活躍はうれしい限りです。あとの打席も内容は良かった。準決勝でもチームに貢献するプレーをして欲しいと願っております。

 石見智翠館とは、江の川という校名だった頃からよく練習試合をしました。すごい打撃をする捕手がいるなあ、と思ったら、のちにプロ野球で活躍する谷繁元信選手だったという記憶もあります。今日は思うような試合ができませんでしたが、この経験を次に生かしてもらいたいです。ぼくもここで、何度負けたことか。甲子園は選手も監督も育ててくれます。

=朝日新聞デジタル2021年08月26日掲載

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