陸上・駅伝

大阪教育大・冨岡凌平 自らの人生を振り返ることで、日々の課題を見つけられた

冨岡の専門は200m。100mと合わせて短距離の魅力を感じている(写真はすべて本人提供)

大阪教育大大学院2年の冨岡凌平(南宇和)は陸上200mを専門として取り組んでいる。中学で陸上に出会い、「陸上が好き」という気持ちを失わないままここまで来ている冨岡。これまでけがなども多かったが、その都度自らの課題をどのように見つけながらここまできたのだろうか。

人生をすべて書き出し、1から振り返る

愛媛・南宇和高校から大阪教育大学にすすんだ冨岡。陸上をはじめる前はサッカーをしていたが、その頃からねんざぐせがあった。「けがをして強くなる」という高校生のころの考えをひきずってしまい、大学でも毎年のようにけがを繰り返してしまった。そんな中でも、「いつか日本一になりたい」という大きな目標があり、そこから落とし込んで行動。モチベーションを落とすことなく競技に取り組んできた。

日々みずからと向き合い目標を目指していく上で重要になるのは、自らの課題を認識し、それを解決していくことだ。冨岡は今年、学生ラストイヤーとなりより自分に向き合うために、過去をいちから振り返ってみた。「直近の過去を振り返ることはあっても、幼少期を振り返ることってほとんどないと思うんです。この機会にやってみようと」

長い取り組みが一瞬に凝縮されるのが短距離の魅力だと語る

さかのぼるのは自分が覚えている限り小さい頃まで。保育園の頃に何があったか、そのできごとに対してどういう感情だったのか、覚えている限りとにかく細かく書き出してみたという。「しっかりと思い出そうとしてみると、なんとなく考えていたときとは全然違うな!と思いました」。『あのときこんな気持ちだったな』と、感情の整理にもつながっていった。

競技も生活も直結している

振り返る中で特に、けがをした年について振り返った時に、気持ち的に浮かれていたところがあったと気づいたのだという。「陸上に集中できていないところもあっんだなと改めて気づけました。それまで、競技は競技、生活は生活となんとなく分けているところがありましたが、陸上競技以外の面も直結してきているんだなと改めて気づけました」と口にする。「競技をしている人でなくても、こうやってしっかり一度振り返ってみることは、誰にでも役に立つのではないかなと思います」。アスリートのみならず、社会人にも役に立つのではないか、時間を取ってでもやる価値があると思う、とも話す。

自らのこれまでを振り返ることは、大きな財産となった

冨岡の直近の課題は、けががずっと続いてることだ。「そこへのアプローチをどうやっていくか……頭ではわかっていても難しいこともあります。結局自分の体なので、自分が課題を見つけてやることが重要なんだと思っています」特に練習をやりすぎてしまうことで、足首への負担が大きくなっているという。

だがけがのことをネガティブにとらえているわけではない。「けがの数が多いぶん、後輩に未然に防ぐ方法や復帰へのアプローチなど、伝えられることがたくさんあると思います。それから自分でもけがが続くということは、まだ見えていないことがあるんだと思っています。けがともしっかり向き合って、アプローチの仕方や今後のビジョンを考えていかないといけないと思っています」

社会人になっても、ずっと陸上を楽しみたい

自分の経験を伝えたいという思いもあり、マイナビのアスリートキャリアアンバサダーにも応募した。サッカーや野球など、陸上以外の選手と話す機会が増え、世界観を広げることもできた。競技が違うと、考え方もまったく異なるというのは改めて面白い発見でもあった。

大学を卒業しても競技に全力で取り組みたいと笑顔で語る

大学ラストイヤーは、延期となった関西インカレでしっかりと成績を残すことを目標にしている。大学で競技に区切りをつける選手が多い中、冨岡は陸上を続けるつもりだ。実業団ではなく、福祉事業に関連する会社で、競技との両立を考えて選んだ。「社会人になるので、仕事と競技、両方に全力を注げるようにしたいと思っています」。大学では日本選手権に出られなかったため、日本選手権出場をまず目標としている。

「今後も体が動く限り陸上をやりたいと思います」と笑顔で話す冨岡。マスターズにも挑戦したいという思いも持っている。大好きな陸上を長く続けるために、自らの課題と向き合いながらこれからも進む。

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