ラグビー

追手門学院大女子・西村克美監督 コロナ禍乗り越え6年ぶりの「大学日本一」

追手門学院大女子ラグビー部の西村監督。選手の持つ力を大切にする(撮影・全て朝日新聞社)

ラグビー7人制女子の全国大会「第8回大学女子交流大会」(7月、埼玉・熊谷)で追手門学院大学ビーナスが6年ぶりに優勝した。コロナ禍が続く中、就任2年目の西村克美監督(61)が選手たちと一緒に関西の強豪チームを復活させた。

高校教諭から転身

西村監督は早稲田大学を卒業後、京都府の高校教諭を30年以上務めた。母校の亀岡高や伝統ある山城高などで一貫してラグビー部を指導してきた。縁があって2020年春から追手門学院大の女子ラグビー部の監督になったが、大学生と女子だけを教えるのは初めてだった。「門外漢が入った感じで、不安もありました」と振り返るが、そこに新型コロナウイルスの感染拡大が重なった。「しばらくは部員ともあえず、練習もできなかった。外部からの流入もシャットアウトでした」。練習が再開されても、最初はコンタクトプレーやボールは使えず、基礎トレーニングで時間も1時間ほど。結局、対外試合はゼロで昨年の4人の4年生は1年間、試合をできずに卒業していった。

今年の部員数は14選手。7人制を中心に取り組んでおり、元々、部員数は多い方ではないが、これまでは追手門学院高の女子部員と合同練習で、チームプレーなどを磨いてきた。しかし、コロナの影響で合同練習ができなくなり、けが人をのぞいて10人を切るメンバーでの練習が続いた。トレーニング場は使えず、体力強化などは個人に任された。

「力をうまく引き出したい」

西村監督は高校生への指導との違いを次のようにみている。「大学生は大人です。高校生はある程度、指導者の力で引っ張るところもありますが、大学生には、練習にしても、こちらが伝えることを理解してもらった上で、練習に入る。学生は自分たちでやる力もあるので、そこをうまく引き出す、そんな感じで指導できたら一番いいと思っています」

初めて追手門大の練習を見た時、練習からガンガン体をぶつけ合うその厳しさに驚いたという。元日本代表選手で長年、指導してきた辻本つかさコーチの存在も大きかった。

チームは6年ぶりに優勝し、選手と記念撮影

2021年に入っても練習試合の許可はおりず、5月からの国内強豪チームによる太陽生命女子7人制シリーズにはぶっつけ本番で臨んだ。12人を出場選手登録できるが、けが人もいて登録できたのは11選手。4大会をほぼ同じメンバーで戦い続けた。6位、10位と苦しんだ後、熊谷大会では4位に入れたが、最終戦では8位に。どのチームも十分な練習が積めておらず、大きな差はない中、強豪と互角に戦ったかと思えば、同じ大学チームに取りこぼす。好不調の波が大きく総合成績は7位に終わった。

選手が考え、行動した

大学交流大会まで半月ほどしかなかった。土井望愛(みちか)主将(4年、追手門学院)は「上下関係なく常にコミュニケーションを取り続けよう。どれだけ強いチームでもコミュニケーションがないときっちり防御はできない。試合ができなかった先輩の分もやり切ろう」と呼びかけたという。

今年のチームを引っ張った土井主将

大会ではプール戦を2連勝で1位通過。決勝トーナメントでは優勝経験のある日本体育大や立正大を破って6年ぶり2度目の優勝を果たした。西村監督は「キャプテンが引っ張りました。3人の最上級生は最後の大会だったので、『頑張ってやろう』とまとまった部分があった」と言い、続けた。

「辻本先生の指導もありましが、選手でミーティングを持って意見交換していた。1日目が終わったらみんなで集まり、自分らで『こうしよう』『ああだったね』と、それから私や辻本先生が話しをするという感じでした。私たちが言うというよりも、自分たちで試合をしていく、ゲームを作っていくというのが最後はできたので、ものすごくよかった」

コロナ禍のいろいろな制約を乗り越えられた。追手門学院大に限った話ではないが、その上で結果を残すことができた。

「高校で教えていた時に、自己実現ということを言ってきました。目標がなければそこに行き着かないし、目標を設定してもそれを達成することは難しい。今回は目標を達成でき、一つ自己実現を果たせたということでしょう」

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