ラグビー

連覇を目指すながとブルーエンジェルスの最年少は医学部生、太陽生命女子7人制

ながとブルーエンジェルスの大内田優月。山口大学医学部で学ぶ(撮影・全て朝日新聞社)

7人制ラグビー女子の日本一を決める太陽生命ウィメンズセブンズシリーズで、総合連覇を狙う「ながとブルーエンジェルス」にチーム最年少の医学部生がいる。SHやSOで活躍する山口大学医学部の大内田優月(3年、修猷館)は、試合途中から交代出場してチームに勢いをもたらしている。シリーズ第2戦は5月15、16日に静岡県小笠山総合運動公園エコパスタジアムで行われる。

「チーム知らなかった」大内田優月

山口県長門市のながとブルーエンジェルス(NBA)は2017年に誕生した新しいチーム。外国人選手と日本選手の連携が深まり、シリーズ参戦2年目の19年に総合優勝を果たした。「長門にそういうチームがあるのを知らなくて」と振り返る大内田がチームを紹介してもらったのは、NBAが優勝した後の19年夏前だった。山口大に現役で合格し、医学部ラグビー部に入った。男子に交ざって1チーム(15人)そろうかどうかの人数で練習していたら、関係者から「女子ラグビーをするなら」と教えてもらった。

シリーズ総合連覇を目指すながとブルーエンジェルス

山口大学医学部と掛け持ちに

NBAの村杉徐司監督は「最初、『こういう選手がいる』と言われた時、正直、あまり期待していなかった。ただ、ラグビーをちょっとやった選手で国体に出られたらいいな、ぐらいと思っていた。非常に上手でびっくりした」。医学部ラグビー部でも練習を続けながら、医学部がある宇部市から約1時間、車を運転して長門へ通う大内田の掛け持ち生活が始まった。

ゲームメイクなどで貢献する大内田

九州大学医学部でラグビーに魅了された父の影響で小学1年生からだ円球に触れた。廃部になるコカ・コーラなどの芝生のグラウンドで練習する「かしいヤングラガーズ」(福岡市)は女の子も少なくなかった。東京オリンピック日本代表を狙う日本体育大学の永田花菜(3年、福岡)らと一緒に楽しんだ。日体大の大内田夏月(1年、筑紫)ら3人の妹と弟もラグビーに親しんでいる。

実力をつけ、高校3年生の夏には全国高校女子合同大会(15人制)で九州ブロックの主将を務め優勝に貢献、秋には福岡レディースで全国U18女子7人制大会で準優勝した。この後、大学受験に専念、女子ラグビーチームも多い関東の大学の医学部を目指したが、現役で山口大学に進むことになった。

秩父宮でトライも

トップレベルでの活躍はあきらめていたが、思わぬ形で実現した。第1戦の東京大会(5月1、2日)ではあこがれの秩父宮ラグビー場でプレーした。プール戦では後半出場して決勝トライを奪った試合もあった。大内田は「体も違うし、ボールを持った時に取られることが多かった。考えないと」と反省したが、村杉監督は「賢く、ゲームメイクしてくれる。途中から入りチームを落ち着かせてくれる」と期待する。

東京大会のプール戦で決勝トライを挙げた大内田

NBAはけが人もおり、登録12選手のうち10人で戦っている。総合連覇には厳しい戦いが続くが、「学校があり、試合にはチームとは別でぎりぎりの合流になる」という大内田は欠かせない戦力になっている。医学部は5年目から実習などで忙しくなる。「4年生までは同じ感じでラグビーができるかな」。多忙な20歳は充実のシーズンを送っている。

シリーズの第3戦は6月5、6日に埼玉・熊谷スポーツ文化公園ラグビー場、第4戦は6月26、27日に三重交通Gスポーツの森鈴鹿サッカー・ラグビー場で行われる予定で、NBAなど12チームで総合順位を決める。

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