サッカー

「攻撃力+堅守」に進化 川崎フロンターレが2年連続4度目V

優勝が決まり喜ぶ川崎の選手たち(撮影・伊藤進之介)

 (3日、J1=川崎フロンターレ1―1浦和レッズ)

旗手怜央 順大の伝統“絆”で学び鍛えた日々を胸に、どん欲に成長し続ける

 引き分けに終わってまもなく静寂が破られた。2位横浜F・マリノスの敗戦を知り、川崎フロンターレに歓喜の輪が広がった。

 ユニホームで涙をぬぐう旗手怜央。その姿を見て抱きしめる小林悠。この夏に欧州に移籍した田中碧(ドイツ・デュッセルドルフ)の「25番」のユニホームを着てはしゃぐ脇坂泰斗。選手たちは思い思いに連覇の味をかみしめた。

 「ほっとしているのと、勝って終わりたかったなというのはありますね」。鬼木達監督はインタビューで苦笑いしつつ、等々力陸上競技場に駆けつけたサポーターと喜びをわかちあった。

 川崎と言えば爆発的な攻撃力だ。だが、今季は堅守も光った。

 昨季の川崎は88得点31失点。今季は同じ34試合を終え、71得点22失点。失点数はJ1無失点試合記録更新中の名古屋(失点26)を抑えてリーグ最少だ。無失点試合は16で昨季より5試合多い。黒星も3敗から1敗に減っている。

 この日も体を張って攻撃を防ぐ姿が目立った。前半26分には谷口彰悟がゴール前で浦和のシュートをはね返してピンチを救った。レアンドロダミアンやマルシーニョが前線から相手を追い回し、守備的MF橘田健人が果敢にボールを拾った。終了間際に同点に追いつかれたものの、最少失点で勝ち点1を手にした。

 攻撃の質の高い選手たちが守備で進化を見せてつかんだ4度目の頂点。試合後、鬼木監督は「選手には『おつかれさん、おめでとう』と伝えたが、『もうひとつタイトル(天皇杯)あるよ』とも言いたい」と笑った。どこまでも勝利に貪欲(どんよく)なチームの挑戦は続く。

(辻隆徳)

=朝日新聞デジタル2021年11月03日掲載

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