2年連続出場の信州大学、個々で高めた走力を結集して記録更新を
全日本大学駅伝に2年連続出場する信州大学は前回22位だった。中長距離陣主将の石川寛大(かんた、3年、長野)は「去年は5年ぶりの出場で、誰も経験者がいなくて手探りだった。ノウハウがある分、去年よりいい成績をとりたい」と意気込んでいる。昨年は5時間36分25秒で北信越地区記録を更新するなど収穫もあったが、途中で無念の繰り上げスタートになった。
手探りだった前回大会
6区を走った石川も「初めての全国の舞台だったので、すごく緊張した」と振り返る。「周りに人がいなくて、ひたすら遠くの前にいる選手を追う展開でちょっとオーバーペース気味になった」。区間24位に終わった。「テレビで見たような選手と一緒のところでウォーミングアップとかストレッチをやれた。すごくいい経験だった」と同じ失敗は繰り返さない。
部員は中長距離部門で53人と多いが、キャンパスがある長野、松本、上田、伊那に分かれて活動している。普段でも全体で集まるのは月1回程度だが、代表を決めた7月の北信越地区選考会の後はコロナ禍で大学全体の部活動が休止になったこともあってなかなか集まれず、それぞれのキャンパスで個人練習を中心に大会を見据えてきた。
集大成の走りみせるか坪井響己
そんな中、上田で鍛えて満を持してきたのがエースの坪井響己(ひびき、修2年、狭山ケ丘)だ。8月は月間約850kmを走り込んだという。普段は朝、晩に計20kmほどを走り、月間平均600kmだからかなりの距離をこなした。「関東と差があることは明白で、どうやって縮めていくかと言ったら、根本的に陸上と向き合う時間をしっかりしないといけない。長い距離を走ることで自分の体と向き合え、一人で密度の濃い中身のある練習ができた」
9月には初めて日本インカレの5000m(14分41秒00、21位)と10000m(29分35秒26、13位)にも出場した。出雲駅伝では北信越学連選抜のキャプテンを任された。もちろん、学会での発表や修士論文の取り組みの間を縫っての活動で、忙しいラストシーズンを送ってきた。
坪井は1浪して繊維学部に入った。浪人時代は予備校と自宅の往復でほぼ走っていなかったという。大学で初めて5000m走った時は16分40秒ほど。「まったくかなわない選手として入学したので、徐々に成績を伸ばしてきた。6年目にしてようやく実力がついていきた」。半導体メーカーへの就職も決まっている。陸上競技部はあるが、技術職として働きながら市民ランナー的に活動を続けるという。
前回2区を走った坪井は今回、1区で起用される。力のある松林直亮(2年、県西宮)へつなぎ序盤で勢いをつかみたい。3区に入ったのが1年生の上甲和樹(宇和島東)。3組に分かれた地区選考会(10000m)の1組目でトップ(32分48秒52)を奪った力を持つ。石川主将は「緊張したと思うが、中盤からレースを引っ張り非常にいい流れを作ってくれた。全日本でも信州大学にいい流れを持ってくると感じる」と期待をかける。
7区には石川主将が待つ。例年は春から新体制になるが、今のメンバーは半年早めて昨冬からスタートを切り、中長距離陣は「今年も信大!」をスローガンに掲げてきた。記録を塗り替えるなど好調だった昨シーズンを上回ることが今回の目標だ。