アメフト

近畿大学の中井琉来愛、急成長のQBは同期と2枚看板で負けられない戦いへ

近畿大のQB中井琉来愛。左利きでパスを得意とする(撮影・全て北川直樹)

関西学生アメリカンフットボールリーグ1部

11月13日@ヤンマースタジアム長居
12時 神戸大(Aブロック3位)- 同志社大(Bブロック3位)
15時 近畿大(A2位)- 関西大(B2位)
11月14日@ヤンマースタジアム長居
12時 桃山学院大(A4位)- 京都大(B4位)
15時 立命館大(A1位)- 関西学院大(B1位)

アメリカンフットボールの関西学生リーグは11月13、14日、順位決定戦がある。A、B両ブロックの2位同士が対戦する「3位決定戦」は勝った方が「甲子園ボウル」へ道がつながる負けられない戦い。Aブロック2位の近畿大学とBブロック2位の関西大学の顔合わせはともに司令塔の出来が鍵を握る。近大で急成長している中井琉来愛(るくあ、3年、開志国際)から紹介する。

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開志国際高、新潟初のアメフト部へ

近大のQB(クオータバック)といえば、1年生からレギュラーで出場してきた清水大和(3年、龍谷大平安)の経験が豊富で、切れ味鋭いランが魅力だった。そこへ、この春から同期の中井が台頭してきた。ランの清水に対し中井はパスのセンスに優れている。今季は2人の使い分けでオフェンスを組み立てており、10月30日には昨年敗れた桃山学院大に34-19で雪辱し、立命館大に続くブロック2位を決めた。

京都出身の中井は、2歳年上のQB愛寿希(あすき、立命館大-東京ガス)の影響で、小学3年生のときに琵琶湖ジュニアパンサーズでアメフトをはじめた。最初はQBとWR(ワイドレシーバー)をプレーし、中学でQBに定着。兄が通っていた大阪産大附高に進むことも考えたが、「親元を離れて新しい挑戦がしたい」とパンフレットで見つけた開志国際高へ進学を決めた。

パスへの動作は高校時代に須永・現中央大ヘッドコーチに教わった

開志国際は2015年に新潟県内の高校で初めてアメフト部を創部、社会人Xリーグのノジマ相模原ライズが技術指導などでバックアップしていた。当時ライズの須永恭通ヘッドコーチ(現・中央大ヘッドコーチ)が月に2回ほど練習に来てくれて、QBの基礎であるドロップバック(ボールを受けてからパスの体勢をつくるためのステップ)を徹底して教えこまれたことが、現在の中井の基礎となっているという。

不死鳥のように生き抜いた日大時代 中央大・須永恭通ヘッドコーチ

高校に入った時から大学でもアメフトを続けるつもりだった。2年生の春に近大附との合同練習があり、翌日に近大のクリニックに出た。1部でプレーしたい希望があったので、雰囲気が明るくて楽しそうだった近大を進学先に選んだ。

高校2年の秋には、創部3年目ではじめての関東大会にも出場した。開志国際は、複数の競技に取り組む「マルチスポーツ」を行っており、アメフトはラグビーとの掛け持ちでやっていた。関東大会の初戦の日にアメフトとラグビーの試合が重なってしまい、人数がギリギリの状態で臨まざるを得なかったこともあり、力を出し切れずに負けてしまったのは、高校時代の心残りだという。

タイプが違う清水大和と高め合う

近大に進学すると、入学直後から主力だった清水に気後れして「(自分では)勝てないかな」と思うときもあった。1年のときは中井に出番はなく、2年秋の桃山学院戦の後半にはじめて出場機会を得た。第4Qにはタッチダウンパスを決めて追い上げたが、14-17で敗れてシーズン全敗で終わった。今春から併用で出場するようになり、春の龍谷大戦、関西学院大戦とリズムよくパスを通すことができ「通用するな」と自信を得た。

ライバルであり学ぶことも多い同期のQB清水大和

中井の成長によって、大城健一監督も「(敵の守備が)守りにくい、バランスの良い攻撃ができるようになった。ずっと出てきた清水は、まさか自分がスタメンじゃなくなるという感覚はなかったと思う。中井のおかげで清水自身の取り組みも変わってきた」と、チーム力の底上げに手応えを得ているという。

3年生になりプレーに自信があふれる

「普段の練習の中では、お互いの得意なスタイルのアドバイスを聞きあうなど、良い雰囲気でできている」と中井。清水と切磋琢磨(せっさたくま)し、自分の持ち味であるパス一投にこだわって、関西大戦の勝利を目指す。

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