陸上・駅伝

明治大・富田峻平「箱根までに1秒でも」 他大学のエースに貪欲な姿勢で挑む

1年生だった時の全日本大学駅伝で富田は大きな後悔を残していた

11月7日に行われた第53回全日本大学駅伝。明治大学は箱根駅伝予選会から2週間というハードなスケジュールながらもチーム力を発揮し、7位でシード権を手にした。箱根駅伝予選会トップ通過に次いで、全日本大学駅伝での2年連続シード権獲得。今年度の明治大も盤石な強さを見せている。その強さを支える主力の1人、富田峻平(3年、八千代松陰)は「実力が他の大学のエースと比較しても大きく劣っているなというのを痛感」と油断を見せない。彼をそう思わせる理由とは?

初の学生3大駅伝で「全部において劣っている」

加藤大誠(3年、鹿児島実)、小澤大輝(3年、韮山)、櫛田佳希(3年、学法石川)らをはじめとした明治大3年生は層が厚く、トラックでもロードでも着実に結果を出してきている。富田はそんな中でも1年生当時、唯一全日本大学駅伝に出場した選手だ。「うれしかったのと同時に責任感がついてきたので、結構プレッシャーは感じた」。学生3大駅伝デビューを同期内で一足早く果たしたが、明治大は15位でのゴール。富田自身は6区区間15位という歯をきしませる結果に。「経験、精神面、走力など全部において劣っている」と自分の弱さを痛感した。

2年生ではコロナ禍の中、自分を見つめ直すことに意識を向け、体調管理や体幹補強といった基礎の強化に専念。昨年度の全日本大学駅伝で明治大は3位という好成績をたたき出したが、「自分自身、前年度に走ったにもかかわらず、走ることができなかった。その悔しさをばねに大会に臨んだ」と、その後の早大競技会10000mで28分35秒41と自己ベストを大幅更新。努力が結果に結びついた瞬間だった。

今年度の全日本大学駅伝の直前にも、「1年生の時に悔しい思いが残ってしまった分も含めて、一生懸命頑張りたい」とコメントを残している。全日本大学駅伝という舞台は富田にとって大きいモチベーションであり、その悔しさをいつだって力に変えてきた。

箱根駅伝の悔恨、予選会欠場を糧に

そうして主力として申し分ない力を身につけ、前回の箱根駅伝では9区に出走。明治大は往路14位と出遅れたが、8区の大保海士(現・西鉄)が区間賞の走りで12位に追い上げ、富田もシード権内まであとわずかの11位で襷(たすき)をアンカーの長倉奨美に託したが、最終的に順位を上げきれず、明治大は総合11位でシード落ち。「実感があまり湧かないような感じ。これから予選会などで厳しいスケジュールになってくるので、しっかりと自分自身強くなるために頑張りたい」とショックを受けながらも前向きな姿勢を見せた。

富田(左)は着実に力をつけ、前回の箱根駅伝では力強い走りを見せた(撮影・佐伯航平)

そして10月23日の箱根駅伝予選会、明治大は2位に4分以上の差をつけての1位通過を果たしたが、富田はけがのために出場できなかった。「同じ舞台に立てなかったことに関してはとても悔しく思う」とここでも唇をかむことに。それでも何とかコンディションを戻し、全日本大学駅伝の舞台に戻ってきた。「1年の時に比べて、自己ベストや、試合経験も増えてきたので、そういった面で自信がついた」と話していた。

富田は各校のエースがそろう3区に当日変更で出走。区間10位ではあったが、4位で受け取った襷を6位でつなぎ、流れを次の走者につないだ。ただ富田自身は「区間記録10位で、あと数秒早ければ区間上位のタイムで走れた」と反省点を常に模索し、上を目指す姿勢を曲げない。常に課題を残してきた全日本大学駅伝だが、1年生の時と比べてより力強い走りをエース区間で見せた。来年度はこれまでの課題を克服した激走が見られるに違いない。

更なる高みを目指し、箱根駅伝に臨む

箱根駅伝まで残り2カ月を切った。前回のリベンジもそうだが、実力をつけた今だからこそ、他大学のエースと渡り合う気持ちを崩さない。「箱根までに1秒でもその差を埋められたら」。常に自分自身と戦いながらも、全日本大学駅伝終了後には競争相手を意識するその姿勢。箱根駅伝の舞台で他大学の強者と競り合う富田の走りに期待が高まる。

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