ラクロス

日体大が10大会ぶり学生日本一、藤井真由は山田千沙先輩のようにいつかは日本代表へ

全日本大学選手権に2回目の出場となった日体大が、10大会ぶり2度目の優勝を果たした(撮影・全て松永早弥香)

第12回ラクロス全日本大学選手権大会 supported by Simplex Holdings, Inc.

11月28日@駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場(東京)
日本体育大 9-7 同志社大
日本体育大が10大会ぶり2度目の優勝

ラクロスの全日本大学選手権が2年ぶりに開催され、11月28日には男女の決勝が行われた。女子は第2回大会(2010年)で優勝して以来、10大会ぶりに全日本大学選手権に出場した日本体育大学と、前回の第11回大会(19年)に準優勝した同志社大学が対戦。9-7で日体大が勝利し、10大会ぶり2度目の優勝を成し遂げた。

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ドローは同志社大が優勢でも、「泥臭いプレー」を継続

日体大の砂川裕二郎コーチは試合前、「相手は積極的なプレーをするチームだから、まずは自滅しないこと。しっかり相手を見て冷静にプレーしよう」と選手たちに声をかけた。試合開始・再開時のドローは同志社大の方が有利かもしれないと踏み、ドローの周りにはディフェンスを得意とする選手を配置。選手たちも浮いたボール(グランドボール)をしっかり取り切る「泥臭いプレー」を意識し、試合に臨んだ。

試合開始のグランドボールをとったのは同志社大。そのままMF松田阿布羅(2年、同志社)がシュートを決め、同志社大が先制点を挙げた。試合再開のドローも同志社大が取り切り、日体大は守りの時間が続いたが、日体大のG(ゴーリー)三澤聖乃(2年、聖ドミニコ学園)が好セーブを見せ、日体大の攻撃へ。AT(アタック)山根萌奈(4年、横浜市立東)の1点目を皮切りに日体大は怒濤(どとう)の攻撃をしかけ、第1クオーター(Q)のうちに3点をあげた。第2Qの開始のドローも同志社大がとり、そこからMF井田ほのか(4年、同志社)がセンターからシュートを決め、3-2で追い上げを狙う。同志社大は固い守りを継続。日体大のファウルで攻守交代となるシーンもあり、日体大の得点は1点にとどまり、4-2で試合を折り返した。

日体大が我慢の時間帯になっても、ディフェンス陣が固い守りを続け、2年生のG三澤(右端)が好セーブを連発した

第3Qに入ってから同志社大のMF村田奈穂(4年、同志社)が右からランニングシュートを決めて4-3。今度は日体大がドローを取り切ってすぐに攻め、MF藤井真由(4年、座間)が2人のDFに囲まれながらもシュートを決め、5-3と再び2点差へ。同志社大も積極的な攻撃で日体大のゴールを狙うが、三澤がクリアを連発。7-4で最終Qを迎えた。

日体大のAT花本ふたば(2年、飛鳥)に続き山根が自身3点目となるシュートを決め、9-4と5点差に。残り3分、同志社大はディフェンスからプレッシャーをかけ、同志社大のベンチからも「まだまだ行けるよ!」という声援が飛ぶ。そこから一気に3点をもぎ取り、流れは同志社大へ。日体大も持てる力を全て振り絞り、守りを固める。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、日体大のベンチメンバーはフィールドの選手たちの元に駆け寄り、円陣を組んで喜びを爆発させた。

学生自身が戦略を考え、チームを作る

日体大が優勝した10年は、砂川コーチが男子ラクロス部4年生だった時のこと。10大会ぶりの優勝の勝因として、「これまではコーチがあーしろこーしろということが多かったんですが、『自分たちで判断できないと強くならないよね』と話してきました。学生たち自身が戦術を考えるミーティングを行い、それを重ねるうちに試合でのパフォーマンスが上がっていき、結果、優勝に結びついたんだと思う」と砂川コーチは言う。

4年生の藤井はディフェンスリーダーとしてチームを支える立場ではあったが、「今年のチームは誰かに任せるのではなくて、みんなが自分がやってやるという気持ちがありました。だから私も特にリーダーだからと気負うことなく、みんなを頼りにしながら自分も思いきってできたので、それがこのチームのいいところだと思います」と笑顔で応えた。

バスケで鍛えた足腰が今のラクロスにも生きているという

藤井はオフェンスでは起点となり、ディフェンスをずらしてフリーの選手を作り、シュートチャンスを生み出すことを意識してきた。ただ個人としてはディフェンスの方にやりがいを感じており、「バスケをやっていた時からディフェンスをしてきて、特に高校で足腰を鍛えてきたので、そのフットワークを生かせるかのがディフェンスだと思っています」と言う。

大学から始めて日本代表になったファイさんのように

藤井は小学生の時から高校までバスケットボール一筋だった。大学でもバスケをすることを考えたが、強豪校から選手が集まる日体大で自分が1年生から活躍できるのかには疑問があった。「小学生の時からずっとやってきたこともあって、限界というか、これ以上伸びるのかなと思い、あまりワクワクをしなかったんです」。そんな中、大学から始める人が多いラクロスに出会い、自分ののびしろにかけてみたいという気持ちが湧いてきたという。

オフェンスもディフェンスもできるMFを希望して1年目を過ごしている中、同じくバスケ出身者で大学からラクロスを始め、日本代表を目指している4年生の山田千沙が、チームを牽引(けんいん)する姿に刺激を受けた。山田はその後、クラブチームのNeOに進み、21年女子日本代表にも選ばれている。「ファイさん(山田のコートネーム)を見て思ったのが、大学から始めたからといって臆することなんてないんだなってことでした。日体から日本代表になっていて、すごくかっこいいなって思いました」。山田は日体大のコーチとして後輩たちの指導もしており、藤井も山田から多くのことを学んできた。藤井は卒業後も働きながらラクロスを続ける予定だ。

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藤井(左)はこれからもラクロスを続け、日本代表を目指す

その前に、12月19日には学生チャンピンオンとしてクラブチャンピオンとの全日本選手権がある。全日本クラブ選手権決勝は12月5日、NeOとMISTRALが対戦する。NeOには山田だけでなく日体大のコーチ陣も多く所属しており、全日本選手権がNeOとの対戦となれば先輩と相まみえることになる。「先輩やコーチだからと気持ちで負けるんじゃなくて、コーチやファイさんにもガンガン攻めたいです」と藤井は意気込む。夢は「10大会ぶりの学生日本一」では終わらない。

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