帝京大学が10度目のV、主将不在を乗り越え関東対抗戦全勝で3年ぶりの復活

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関東大学ラグビー対抗戦は12月４日、東京・秩父宮ラグビー場で帝京大学-慶應義塾大学が行われた。開幕から唯一の6戦全勝だった帝京大は勝てば優勝が決まる大一番で、見事なアタックを見せ計9トライを重ねて64-14で快勝。3年ぶり10度目の対抗戦優勝を飾った。

苦手の慶應義塾大に快勝

今季、春から調子を上げてきた帝京大は、早稲田大、明治大を接戦で下し、すでに4位が決まっている慶大戦を迎えた。ただ、帝京大は慶大に昨季は27-30と2019、20年と連敗中、ディフェンスとモールが強く、自分たちの形を持っているチームだけに、決して簡単な相手ではないことは十分に承知していたはずだ。

岩出雅之監督はこの試合のテーマを｢徹底｣と掲げた。そして指揮官は｢対抗戦の優勝がかかっていたし、負けると組み合わせが厳しくなる。しっかりやっていこうと（選手を）送り出しました｣と話した。

立ち上がり、帝京大はキックオフから攻撃を継続し、最後はFB（フルバック）二村莞司（3年、京都成章）が力強いランでノーホイッスルトライ。だが、慶大の反撃にあい、得意のモールを起点に2トライを奪われ、20分には7-14とリードされた。

帝京大はボールを大きく動かし、23分にはけがで欠場したキャプテン細木康太郎（4年、桐蔭学園）の代わりに出場した右PR（プロップ）奥野翔太（4年、常翔学園）が、37分にはCTB（センター）志和池豊馬（4年、日向）がトライを挙げて21-14として折り返した。

「後半、大丈夫かな」岩出監督の確信

ハーフタイム、岩出監督がロッカールームに行くと、ゲームキャプテンのFL（フランカー）上山黎哉（4年、大阪桐蔭）らが中心となりチームをまとめており、｢後半、大丈夫かな｣と思ったという。その上山は｢後半、グレーなプレーをなくそう、クリーンにプレーしよう｣と選手たちに声を掛けた。

すると帝京大は後半、反則やミスが減ったことでより攻撃の精度が上がり、5分、PGで3点を重ねた後、20分までに4トライを挙げて、一気に勝負を決めた。特にWTB（ウィング）高本とむ（2年、東福岡）は相手キックオフのボールをキャッチし、そのままライン際を80m走り切る豪快なトライをみせた。

さらに2トライを重ね、守備でも後半は相手を零封した帝京大が64-14で快勝、対抗戦を全勝で駆け抜けて優勝を決めた。スクラムで相手にプレッシャーをかけただけでなく、前半にトライも決めた帝京大の奥野がプレイヤーオブザマッチに輝いた。

細木キャプテンは｢岩出監督から『徹底』、ゲームキャプテンの上山から『今までやってきたことを信じてやり抜く』というテーマがあった。自分たちの立ち返る言葉あったことが、後半の点差につながった｣。上山は｢（全国）大学選手権へもつながるいいゲームになった｣と満足げに振り返った。

岩出監督が｢今日まで2週間、フォーカスしてきたことは出せた｣と振り返ったように、ボールを大きく動かしながら、FW、バックス一体となったアタックは目を見張るものがあった。前人未踏の9連覇した2017年度以来10度目の優勝を狙う全国大学選手権に向けて、老練な指揮官は｢我々のできることを徹底してグラウンドで出していく試合にしたい。もっと精度を上げて、よりたくましくなったチームで臨みたい｣と意気込んだ。

｢（自分たちの代で）勝ちたい！｣という強い気持ちで、チームを牽引してきた細木キャプテンは｢僕たちの目標は大学選手権優勝です。対抗戦を全勝で優勝できたことはいいモチベーションになる。この経験や僕たちのマインド、考え方が大学選手権優勝につながっていったらいいな｣と先を見据えた。

4位慶大は関西2位の近畿大と対戦

慶大は栗原徹監督が｢（後半）メンタルが切れたことが非常に残念です。フィジカル（の差）はすぐに埋められないですが、チームディフェンスを構築しなおして（大学選手権に）臨みたい｣と言えば、キャプテンHO（フッカー）原田衛（4年、桐蔭学園）も｢後半は1対1で負けてしまった。前半はいい形でできていたので、大学選手権で継続したい｣と前を向いた。

関東対抗戦1位となった帝京大は全国大学選手権では12月26日の準々決勝（＠秩父宮）から登場となった。一方、対抗戦4位が決まっていた慶大は12月18日に関西大学リーグで2位に躍進した近畿大学と秩父宮で対戦する。