ラグビー

埼玉パナソニックワイルドナイツが厳しい防御で「開幕戦」白星発進、好調の横浜下す

マン・オブ・ザ・マッチの埼玉SO松田。後半のトライを演出したWTBコロインベテを祝福(撮影・全て朝日新聞社)

ラグビーのリーグワン1部第3節で1月23日、最後のトップリーグ(TL)を制した埼玉パナソニックワイルドナイツが「開幕戦」を迎え、横浜キヤノンイーグルスを27-3(前半10-3)で下した。コロナ禍で埼玉は2試合中止になったが、分厚い防御で好調のチームをノートライに封じた。マン・オブ・ザ・マッチには日本代表のSO松田力也(帝京大)が選ばれた。

試合前には海底火山が噴火したトンガの被災者へ黙禱が行われた

坂手淳史主将は「2試合できなかったので、僕たちの開幕戦が迎えられたのがすごくうれしかった。ファンの方がホームゲームでたくさん青い服を着てグラウンドで応援してくれたのはすごく力になった。熊谷でのホームの良さかなと改めて思った」と振り返った。埼玉は本拠を群馬県から移して初めての熊谷スポーツ文化公園ラグビー場でのホストゲーム。試合前にはトンガの海底火山噴火で被災した方々へのチャリティー活動や黙禱(もくとう)が行われた。

「僕らのディフェンスはなかなか崩しにくい」

前半は勢いがある横浜に攻め込まれる場面もあったが、トライは許さなかった。後半11分に坂手と交代するまでHO(フッカー)でFWを引っ張ったベテラン堀江翔太は「試合を通して(失)トライがなかったのはすごくうれしい。今年初めての試合でアタックはいろいろポロポロしたり、ミスも多かったりしたが、何とかチームで我慢して、後半につなげられた」。

埼玉のHO堀江(2)とPRミラー(1)は厳しい防御をみせる

ゴールラインを割られても、ボールは地面につけさせずにぎりぎりのところで粘った。チームとして2週間ほど活動ができなかったが、「基本的なことをまずやろうと話をしていた。それが崩れない限り僕らのディフェンスはなかなか崩しにくいかなと思っている。まだ、100点ではないが、またここからどんどんよくしていきたい」と語った。

前半36分にFB野口竜司のカウンターアタックからCTBディラン・ライリーがチーム初トライ。後半16分には新加入のオーストラリア代表WTBマリカ・コロインベテの突破からCTBハドレー・パークスがトライを挙げた。劣勢の中でもしっかり試合を組み立て、5本のゴールキック全てを決めた松田は「小さなミスで苦しい展開になることもあったが、しっかり勝ちきることができた。次につながるいいスタートが切れたと思う」。

再三、力強い突破をみせた埼玉WTBコロインベテ

あうんの呼吸の帝京大コンビ

ボーナスポイントを得る3トライ目は後半35分、松田からWTB竹山晃暉へのキックパスだった。昨季、TLで新人賞に輝いた竹山は「(帝京)大学から一緒にプレーさせてもらっていて、あうんというか、もう、トークをしなくてもそこに蹴ってくれるというのが(松田)力也さんの強み。僕としても蹴ってもらったボールをトライまで持っていくというのは、すごくチームとしても必要になると感じています」。

最後のトップリーグ新人賞はパナの竹山晃暉とクボタの金秀隆
後半35分、松田のキックパスを捕りトライするWTB竹山

引退したWTB福岡堅樹さんの後継者としての期待も大きい。後半開始のキックオフでは横浜のWTBに迷わずタックルへ入った。「体をどんどん当てていって、ディフェンスでタックルでチームに貢献できれば、アタックとともにチームとしても必要な選手になれるかなと思ってプレーしています」

後半途中出場し試合を締めた埼玉の坂手主将

A組の埼玉はこの後、神戸、浦安と対戦する。最後のTL王者に続く初代リーグワン王者を目指す坂手主将は「いいスタートは切れなかったが、あとは上がっていくだけ。2週間の『ロックダウン』中にやることを明確にしたし、コミュニケーションもたくさんとれた。(不戦敗の)ルールはしょうがないですし、さらにここから上がっていくために必要な時間だったと思っています」と前を向いていた。

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