東洋大・石田洸介「まだまだ弱点だらけ」、1年目の悔しさも「世界」を目指す力に
第105回日本選手権クロスカントリー
2月26日@福岡・国営海の中道海浜公園クロスカントリーコース(1周2km)
シニア男子10km
29位 石田洸介(東洋大1年) 30分15秒
石田洸介(東洋大1年)がクロカン日本選手権に挑むのは、東農大第二高校(群馬)2年生の時にU20男子8kmで優勝してから2年ぶりだった。初のシニア10kmで30分15秒での29位。疲労もあり、コンディションがよくないことを石田も実感していたが、きっかけになるようなレースをしようと割り切って出走した。「久しぶりにレースを走って、上には上がいるなと。後ろから見てこういう選手になりたいと思えたし、これから自分で作り上げていかないといけない」と、今はただ前だけを見ている。
箱根メンバー漏れに酒井監督「無駄にしてはいけないよ」
レースは坂東悠汰(富士通)を先頭に大きな集団で進み、石田はその集団にはついていかず、清野太雅(東洋大3年、喜多方)と併走しながら自分のペースを刻んだ。次第に清野は遅れ始め、石田は単独走へ。前の集団からこぼれた選手を一人また一人と追い抜き、最後は29位でゴール。すぐに膝(ひざ)に手を突いて立ち止まったが、ゆっくり歩きだし、コースをあとにした。
石田は浅川中学校(福岡)時代に1500m、3000m(当時)、5000m(中体連非公認)と3つの中学記録を打ち立て、東農大二高では5000mで高校記録(当時)をマーク。しかし東洋大でのルーキーイヤーはけがから始まり、本格的に走り始めたのは昨年の8月下旬になってからだった。10月の出雲駅伝には何とか間に合わせ、5区区間賞。11月の全日本大学駅伝で東洋大は10位で14大会ぶりにシード権を逃したが、石田は4区区間賞と結果を残している。
だが石田には20km級のレースに対する不安があり、全日本大学駅伝後も箱根駅伝に向けてスタミナ強化に取り組んできたが、疲労から走れない日もあったという。「酒井(俊幸)監督から箱根駅伝のメンバーから外すと言われる前に、自分でも走れる状態ではないことは分かっていました。悔しかったけど、外れるのが決まった以上、チームのために切り替えないと。酒井監督にも『この苦い経験を糧にしないと、無駄にしてはいけないよ』と言ってもらい、先を見据えてやるしかないと思いました」。箱根駅伝で石田は仲間のサポートに徹し、東洋大は往路9位から復路2位と追い上げ、総合4位となった。
箱根駅伝以降も石田は苦手意識のあるスタミナ練習に取り組み、継続して練習をしてきた。その疲労から今大会にベストコンディションでは挑めなかったが、「けがなく練習は積めているので、状態を戻せば大丈夫と思います」と言い切る。レースの距離が長くなればなるほど、自分の苦手とするところが見えてくる。「まだまだ弱点だらけなので、一つひとつ克服していきます」
2年目はトラックシーズンから結果を
石田自身、高校1年目も前半シーズンは苦しみ、12月には5000mで自己ベスト、翌1月の全国都道府県対抗男子駅伝では4区区間3位で群馬の過去最高の2位に貢献するなど、後半シーズンに盛り返した。だが2月のクロカン日本選手権U20男子8kmでは38位に沈んでいる。「高校もそうでしたが、大学も1年目は難しいことだらけ。でも1年目にいろんな発見ができて、まだまだ満足いく結果は1つも残せていないので、夢に向けて頑張りたいです」。出雲駅伝と全日本大学駅伝での区間賞という輝かしい結果にも、石田は満足していない。
石田には「東洋は全日本シード落ち、箱根4位に甘んじるようなチームではない」という思いがある。自分が苦しい時も支えてくれた先輩たちへの感謝を胸に、2年目こそはトラックシーズンから結果を出したい。目指すは「世界」。夢があるから、立ち止まってはいられない。