サッカー

FCグランスーマ長谷川涼平 サッカーも強く、クラブ運営も幅広く

異色のクラブ「FC GRAN SUMA」の副将を務める長谷川涼平(本人提供)

「大学サッカー界に革命を」と掲げて2018年秋に横浜で立ち上がった大学生限定のクラブチーム「FC GRAN SUMA(グランスーマ)」。様々な大学から集まった選手たちが神奈川県社会人リーグ3部から昇格を目指す。異色のクラブだけに副将の長谷川涼平(国士舘大2年、明秀日立)らはサッカーだけにとどまらない幅広い活動を視野に入れている。

FCグランスーマ、学生だけで挑む社会人サッカーチームで大切にするもの

それぞれが役割を考えるクラブ運営

「関わることのない大学とサッカーを通して関われ、そういったところでは友達の輪が広がっていく。それぞれのSNSのフォロワーさんにもチームの活動が広がっていく、チームにとってメリットを感じている」。長谷川が言うように設立当時、日本体育大の学生が中心だったメンバーは様々な大学へ広がっていった。

選手はクラブ運営を円滑に進めるため5つに分かれた部で活動している。広報部、企画部、分析部、営業部、施設部。月1回のミーティングでは各部から課題を持ち寄って検討、方向性を決めるとそれぞれの部へ持ち帰って具体的に実行へ移していく。幹部だけの運営にならないように、ミーティングに出席するメンバーは毎回代わることになっている。

明秀日立高では全国レベルのサッカーも経験した(本人提供)

この1年、広報部長だった長谷川はチームのTwitterやInstagramからの発信に力を入れてきたが、思うようにいかなかった。「伸び悩んでいます。どうやったらいろんな人に見てもらえるのだろうと、常に考えてきた。『今日はこういった活動をしました』と伝えるだけでは、変化があまり起きない。見てくれる人は常に一定でした」と振り返る。

FC GRAN SUMAは「マイナビアスリートキャリア」とパートナーシップ契約を締結している。月1回開かれるオンラインイベントに参加するようにLINEなどでチーム内に呼びかけたが、当初、積極的な選手は少なかった。フェンシング東京オリンピック日本代表のストリーツ海飛が貴重な体験談を語るなど参加すれば気づきは必ずある。「『参加して』と、ただこちらから一方的に連絡しても興味はわかないと思いました。自分から一人ひとりと向き合いコンタクトして、丁寧に説明すれば、それぞれわかってもらえました」と言う。

ビーチクリーン活動も

長谷川は企画部にも所属している。昨年11月にはNPO法人UMINARIと湘南海岸でビーチクリーン活動を行った。「シーズンではなくそんなにゴミは落ちていませんでしたが、いろいろ考えさせられました」。チームをさらに知ってほしいという思いがあり、サッカーだけでなくビーチでのスポーツなどにつなげられればと考えは膨らむ。チームの方針として毎年11月、運営の主体が2年生から1年生へ引き継がれることになっている。大学体育会と違うため、クラブとしての活動が後手、後手にならないようにするためでもある。長谷川も部長は後輩に譲り、サポートする側になった。

サッカーでは県社会人3部Sブロックで2位になり、32チームが参加する昇格トーナメント大会に進んだ。副将の長谷川は「2部でもやれるチームだとは思うが、(トーナメントは)一発勝負なので勝ちを引き寄せられるかが鍵になる」と見ていたが、PK戦で敗れてしまった。

チームの強みをパターン化

上を目指し、チームの強みであるサイド攻撃に磨きをかけている。「個々のドリブルから突破できる選手が多いので、そこを生かすトレーニング、そこからクロス入れて点を取るトレーニングを積んでいる。試合で出せるようにパターン化させている」。限られた練習時間で、誰が試合に出てもチームとして同じように戦えるように、どこまで浸透させられるか。

短い練習時間でチームプレーが浸透できるよう工夫が続く(撮影・朝日新聞社)

春に向けては、最も重要な新人選手勧誘や新体制発表会などが予定されている。広報、企画部として腕のみせどころでもある。3年生になれば就職活動も始まる。長谷川は「まだ、社会に出てからのことはイメージできないが、サッカーにはずっと関わっていきたい。スポーツと企業、スポーツとスポーツを結びつけるようなことに携われれば」。異色のクラブでもまれながら、自分探しが続く。

in Additionあわせて読みたい