アメフト

高知大・池田拓朗、地方国立大の自分が「アメフトをやってて良かった」と思う理由

アメフトは「誰でも輝ける場所がある」と池田は言う(写真は全て本人提供)

高知大学でアメリカンフットボールを始めたWR(ワイドレシーバー)/DB(ディフェンスバック)の池田拓朗(3年、須磨学園)は、3年生になる時に4年生たちからポジションリーダーに指名され、ラストイヤーの新シーズンでも引き続きリーダーとして仲間を引っ張っていく。特にリーダーになってからは、「自信を持つこと」を大切にしてきたという。

喜びを共有できるのがアメフト

高知大アメフト部の部員は毎年15人前後で、大学で初めてアメフトに触れる選手がほとんどだ。池田も中学校・高校は陸上の長距離をしており、「中四国1部リーグ優勝」を本気で目指している先輩たちを見て、入部を決意した。

駅伝強豪校でもある須磨学園高校(兵庫)時代は大会に出ることも難しかったが、部活動に情熱をもって取り組み、継続して努力してことは今にも生きていると感じている。またアメフトならではの特長も、池田にとっては魅力的に見えた。

「アメフトは足が速い、体が強い、頭がいいなど、いろんな人が活躍できるスポーツ。どんなスポーツよりも専門性が高いと思ってて、自分に合うポジションが絶対あると思う。コンタクトスポーツなので最初は怖いだろうけど、でも誰でも輝ける場所があると僕は思ってます」

特に陸上をやってきた時は、個人競技ゆえに自分1人で戦っているような気がしていたが、アメフトでは全員のプレーがつながり、仲間の成功をみんなで分かち合えるという魅力があると池田は話す。「自分が成功した時のうれしさもあるけど、僕が点をとるんじゃなくても、教えた後輩が点をとった時もやっぱりうれしいです。それぞれのポジションでそれぞれが最高のプレーを見せてくれた時のあの高揚感はすごいです」。大学ではアメフト以外の部活動からも勧誘されたが、今では未経験ではあったが「アメフトをやってて良かった」と素直に思えている。

アメフトを選んだことに後悔はない(左が池田)

リーダーとして自分に自信を持ち、不安を見せない

3年生になってからリーダーを任されるようになったが、それまで池田は主将やリーダーというような役目を担ったことはなかった。特に昨シーズンは同じポジションに先輩もいた状況だ。自分の思いを伝え、手本となる姿を見せるためにも、池田は普段の練習から自信をもって選手たちに接することが大切だと考えるようになった。「これで合っているのかなと不安になったこともあったけど、リーダーが不安だとみんなも不安になると思ったので、不安なところは見せないようにしていました」。その分、練習する時間を増やし、新しい練習にも積極的に取り組んできた。

池田自身、自分の考えや思いを言語化するのはあまり得意ではないという自覚があり、言葉だけでなく自分が手本となる姿を見せるようにしてきた。何より、自分ができなければ説得力が伴わない。例え相手が上級生であっても、リーダーの責任を胸に、「こうやったらもうちょっと良くなりますよ」と指摘をしてきた。

初めから自信が持てたわけではない。リーダーになってすぐの頃は、自分に教えてくれた先輩に「ここで困っているんです」と伝えて助言を仰いできた。困った時には1人で悩まず、先輩たちの力も借りて一つひとつ前に進む。「僕は決してめちゃくちゃうまいレシーバーではなくて、練習を頑張ってきたような選手です。うちの大学ではそういう選手が大半です。だから自分が頑張ってできたのであれば、信じよう、やってみよう、と他の選手たちに伝えられたらいいなと思っています」

本気でスポーツをやることに意味がある

先輩たちの多くは大学で競技を終え、池田もラストイヤーでアメフト人生にピリオドを打つ予定だ。周りを見ると大学生活を謳歌(おうか)している学生も多く、「『地方の国公立大学まできてアメフトをするのか?』と感じている人もいると思うんです」と池田は言う。ただアメフトに情熱を注いできたこれまでの大学生活を経て、感じていることがある。

高知大アメフト部の大半は大学でアメフトを始めた選手だ(2列目左から5人目が池田)

「アメフトに限らず、本気でスポーツをやることに意味があると思ってます。『受験を経て大学に進んで、勉強する場所なのになんで部活をするのか』という葛藤があってもいいと思う。スポーツは自分との勝負でもあるので、大学4年間を通じて自分に打ち勝ち、自分に自信をもつ。それも部活に一生懸命取り組む意義だと僕は思っています」

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