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「TSUKUBA LIVE!」初開催、筑波大学生らが作るホームゲームに託した未来

第1回「TSUKUBA LIVE!」の全体統括を担う(左から)筑波大ADの米原さん、バスケ部の杉本、院1年の酒井(撮影・松永早弥香)

3月26日、筑波大学ホームゲーム「TSUKUBA LIVE!」が初めて開催される。大学からも近いつくばカピオ(茨城県つくば市)を会場に、男子バスケットボールで筑波大と青山学院大学が対戦。筑波大学アスレチックデパートメント(筑波大AD)主催のもと、学生たちがそれぞれの立場で自分たちの専門性を生かした実践をしていく。

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3月24日追記
筑波大学男子バスケットボール部の一部メンバーが新型コロナウイルスに感染していることが判明し、3月26日に予定していた「TSUKUBA LIVE!」の開催は延期となりました。
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“学校にスポーツがあることの価値”を最大化

ホームゲームの構想は、2018年に筑波大ADが立ち上がった時からあったという。筑波大ADは「最高の学校スポーツプログラムを創り、日本社会の未来に貢献する」というビジョンを掲げ、学校が責任を持つスポーツ活動の確立と人材育成、“学校にスポーツがあることの価値”を最大化する貢献事業の創造、全国の学校に取り組みを広く共有し新たな学校スポーツをともに創り出すことを目指している。ホームゲームは地域の人々と大学を結び、学内の交流を促進させるきっかけになる。筑波大が開学50周年を迎える2023年10月1日に向けて、バスケやサッカー、野球などを軸にしてホームゲームを開催していく計画を立てていた。

硬式野球部の集中応援日など、各部はそれぞれの形で部の垣根を超えた取り組みをしてきた(写真提供・筑波大学アステチックデパートメント)

だが20年には世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るい、ホームゲームの構想も足踏みをすることになる。大学スポーツ界では様々な大会が中止・延期。男子バスケも20年は春季トーナメントと新人戦が中止となり、秋季リーグは代替大会となった。インカレこそは開催できたが、リーグ戦の1節を運用したホームゲームは20年だけでなく21年も実施できなかった。

そんな中、筑波大ADと連携協定を締結しているBリーグ・茨城ロボッツの西村大介社長から、21年3月につくばカピオで茨城ロボッツが予定している試合の前後に学生主体のホームゲームをしてみないかと提案を受けた。そこでコアメンバーになりそうな学生10人をすぐに集め、今年1月17日から議論を開始。1月26日にはコンセプトを定め、2月26日に情報解禁をして集客を始めた。ここまで急ピッチで進んできたが、「それだけ大学の中にはいろいろな可能性が眠っているということだと思います」と全体統括を担う筑波大ADの米原博章さんは言う。

エンタメにも力を注ぎ、様々な人に刺さる大会に

3月26日の茨城ロボッツとサンロッカーズ渋谷の試合後に、「TSUKUBA LIVE!」は17時30分に開演。18時30分から試合を行い、試合は「バスケットLIVE」でも配信される。試合の前後には筑波大のダンス部や体操部、舞踏研究会などによるパフォーマンスを行い、部活と学業でともに優秀な成績を収めた筑波大の学生を対象にした「TSA-ADアワード」の発表も予定している。

キービジュアルも学生が作成した(写真提供・筑波大学アステチックデパートメント)

第1回大会では「融合~FUSION~」をコンセプトに掲げ、キービジュアルを芸術専門学群の学生が作成。当日は黒をドレスコードに設定した。パフォーマーたちもそのコンセプトの元、それぞれがイメージしたフュージョンを披露する。米原さんは「ちみつで、爽快で、大人っぽく、でも元気ハツラツ、などといろんな要素を含んだ団体が1つになる。議論の中には『東京オリンピックの開会式を超えよう』という言葉も出てきましたし、いろいろな可能性を考えながら構想を深めてきました。どんなパフォーマンスになるのか自分も当日を楽しみにしています」と言い、スポーツファン以外の人にも刺さる演出を考えている。

観客は上限を1400人に設定。大学としての一体感を高めるためにも、筑波大の教職員や学生を優先的に案内した。無料(特設サイトからチケット必要)にしたのも、より多くの人に「TSUKUBA LIVE!」を楽しんでほしいという思いからだ。

筑波大バスケ部にとっては強化練習期間中にある試合だが、新主将の中田嵩基(3年、福大大濠)は「筑波大の学生が主体となって行うのは初の取り組みですし、その中でバスケ部が先陣を切れることは光栄なことです。トーナメントに向けて本格的な試合ができることは本当にうれしいですし、いろいろな方々の支えの中でできる試合なのでしっかり勝ちきりたいです」と開催を楽しみにしている。新シーズンを前にして、チームは4冠(トーナメント、新人戦、リーグ戦、インカレ)とともに、「大学の先駆者になる」という目標を掲げた。「TSUKUBA LIVE!」をその第一歩にしていくという思いが、筑波大バスケ部にもある。

ラストイヤー、中田は「キャプテンだと気張ると良くない傾向にあるんで、自分が出ている価値を考えながらプレーしたい」と言う(撮影・松永早弥香)

「TSUKUBA LIVE!」をきっかけに“その先”へ

現在のコアメンバーは30人ほど。その中で米原さんとともに全体統括を担っているのが、男子バスケ部2年の杉本章(2年、米沢興譲館)と大学院1年の酒井健吉だ。

理工学群応用理工学類で学ぶ杉本は、学業とバスケをともに高いレベルで両立できる大学を考え、筑波大に進学した。選手としてプレーする一方で、スポンサー対応などの部内活動にもやりがいを感じている。「高校生の時からバスケの大会運営や裏方に興味があり、1年生の時から先輩と一緒にホームゲームの開催に向けて活動してきました。自分自身はコロナでまだ一度もホームゲームを実施できていないんですが」。全体統括として「TSUKUBA LIVE!」に携わり、そこでの学びをバスケ部に持ち帰り、部主導で実施するホームゲームに生かしていきたいと考えている。

酒井は名桜大学で学んだ後に筑波大大学院に進学。スポーツを通した豊かな社会の構築を探求するスポーツ国際開発学を学ぶ一方で、23年にBリーグ参入を目指す福井県プロバスケットボールクラブのメンバーとして活動をしている。学部生の時はサッカー部に所属し、JICAの特別派遣生として熊本のサッカークラブ「玉東FC」のコーチもしていたが、「見るスポーツではバスケが一番面白いと思う」と今はバスケの普及に力を注いでいる。

「TSUKUBA LIVE!」への支援として茨城ロボッツは大会の運営や演出をサポートしており、酒井たち学生はプロの現場で活躍する人々から直接ノウハウを学んでいる。「どのような導線で観客を誘導しているかとか、実際にMCが話しているところもそばで見させてもらったんですが、福井のBリーグ参入に向けていろいろな気運を高めるためにも、これからに生かせそうだな、と思いながら学ばせてもらいました」

「TSUKUBA LIVE!」を通じて、学生たちは貴重な学びを得ている(写真提供・筑波大学アステチックデパートメント)

当日はバスケ部員も含めた50人ほどの学生が運営と演出を担当する。それぞれの立場でそれぞれが“その先”を見据え、「TSUKUBA LIVE!」に関わっている。

早ければ今春にも第2回大会が実施できればと構想している。バスケ以外にも様々な競技で展開し、学群も部活も超えて「あの試合、楽しかったよね」という会話が生まれるような未来をここから描いていく。

筑波大学ホームゲーム「TSUKUBA LIVE!」特設サイト

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