サッカー

特集:うちの大学、ここに注目 2022

東洋大・前田泰良新主将「ダークホースのような存在に」、3年ぶりの1部でタイトルを

昨季、2部リーグ得点ランキング2位タイに輝いた東洋大のFW前田泰良(写真提供・すべて東洋大学体育会サッカー部)

昨シーズン、関東大学サッカーリーグ戦で3年ぶりとなる1部復帰を遂げた東洋大学。開幕戦から順調に勝ち点を積み上げ、見事シーズン目標であった昇格を実現した。夏の総理大臣杯では名だたる全国勢を相手に快進撃を演じ、創部初の準優勝も達成。そんな勢いの止まらぬチームの今季の主将を務めるのが、FW前田泰良(4年、鹿島Y)だ。入学当初から即戦力として活躍し、昨シーズンの2部リーグ得点ランキングでは、持ち前の攻撃力を武器に2位タイの成績を収めた。チームの2部降格から1部昇格まで、酸いも甘いも味わってきた新主将は今シーズンどんな活躍をみせるのか。

先輩の助言 同じ東洋大へ進学

前田は父とボールを蹴り始めたのがきっかけで、3歳の頃からサッカーを始めた。小学4年の時に鹿島アントラーズのジュニアに合格し、その後ジュニアユース、ユースと昇格。ユース時代について「みんなうまい子ばかりでついていくのが精いっぱいだった」と当時の厳しさを振り返るが、高校3年の時には高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2018EASTで優勝を経験するなど結果を残していった。

もともと高卒でプロを目指していたという前田だったが、大学進学も視野に入れ始める。鹿島アントラーズの一つ上の先輩で、当時東洋大でプレーしていた中村勇太(ヴェルスパ大分)からの助言もあり、「自分を高めていくことができるのでは」と東洋大への入学を決めた。

鮮烈デビューも 2部降格・コロナ禍

前田は期待のルーキーだった。入学早々、リーグ初戦からピッチに立ってシュートを2本放つ積極的なプレーを見せつけた。しかしこの1年、チームとしての勝ちは遠かった。全22試合ある中、勝利を収めることができたのはわずか5試合。「大学サッカーにおいても自分のサッカー人生においても、こんなに勝てないシーズンはなかった」。結局、東洋大は2部への降格を余儀なくされた。

2年生になっても苦しい時間が続いた。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により練習自体がストップに。練習ができたとしても、人数制限やマスクの着用が義務づけられるなどサッカーだけに集中することが難しくなった。「今までのように当たり前にできていたことが、当たり前でなかったことを知れた」。

2部降格、コロナ禍の苦しみを味わってきた

しかし、3年時にはこれまでの苦労が報われるかのように、リーグ戦では順調に勝ち星を量産。チームは目標としていた「1部昇格」を成し遂げ、個人としても先輩の横山塁(モンテディオ山形)に次ぐ2部リーグ得点ランキング2位タイに輝いた。さらに夏の総理大臣杯では全国勢を圧倒。決勝戦では惜しくも法政大学の前に敗れたものの、東洋大は創部初の準優勝を収めた。「チームとしても個人としても結果が出たシーズン」と振り返る。

「自分中心にチーム引っ張る」 自ら名乗り出た主将

今季、東洋大は3年ぶりに1部でのプレーとなる。これまで以上に厳しい戦いが予想される中、前田は「チームを自分が中心となって引っ張っていきたい」と自ら主将に名乗り出た。「コロナ禍という中で、サッカーが当たり前にできていることは簡単なことではないし、やりたくてもできない人もいる。感謝や喜びをしっかり持って、それをプレーで表現できるチームにしていきたい」と意気込みをのぞかせる。

昨シーズンは「チャレンジャー精神」を合言葉に、チームは試合に勝っても慢心することなく、常に目の前の一戦を謙虚に戦い抜いた。今年もその姿勢は変わるどころか、むしろ例年以上だという。「1部の中でダークホースのような存在に。チャレンジャーとして試合に臨み、最終的によい結果を残せれば」

大学ラストイヤー 狙うは個人タイトル

個人としては今年が大学ラストイヤーだ。狙うは入学以来まだ一度も経験していないタイトルの獲得。「最後笑って終われるように」。前田率いる東洋大サッカー部は、強豪ひしめく1部リーグでしたたかに牙をむく。

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