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特集:うちの大学、ここに注目 2022

駒澤大・千田蓮、3x3で開けた未来 ケガに苦しんだ日々を糧に躍動のラストイヤーへ

大学ラストイヤーは5人制だけでなく、3人制の3x3も力を注ぐ

駒澤大学の千田蓮(ちだ、4年、聖和学園)は、9月に中国・杭州で開催予定の第19回アジア競技大会(2022杭州)に向けた、2022年度の3x3男子U23日本代表候補選考合宿メンバーの一人。2月に行われた「3×3 Next College Monsters Festival 2022」でも関東1部の強豪チームを破った上でチームを優勝に導いた。長くケガに苦しんできた男は、ラストイヤーに2つの目標を掲げた。

「やめずに続けて良かったなと本当に思えた」

3月29日~4月2日にかけて行われた合宿メンバーは全12人。ほとんどの選手が関東1部リーグに所属するチームやクラブチームから選出される中、2部リーグの駒澤大から千田が抜擢(ばってき)された。「素直にとても嬉(うれ)しい。幼稚園生から現在に至るまで15年以上バスケットボールを続けてきた。途中で大ケガをしたが、やめずに続けて良かったなと本当に思えた」とこれまでの長いバスケ人生で最も感慨深い出来事になったようだ。

合宿では3人制を初めて経験する選手もいた。序盤は3x3の基本的な動きや、ファンダメンタル(基礎的な動き)を中心に練習。普段は主に5人制を競技している選手のために、頭と体で慣れるための動きを繰り返し、終盤はゲームを多くこなした。

今回の合宿では「3x3のディフェンスの距離の詰め方や、手の使い方は5人制でも使える技術だと感じた。オフェンスの部分でも、ボールをもらう時点で先のプレーを考えなくてはいけない。考える頭も5人制に必要だと感じた」と話し、得たものは十分。

1部リーグに所属する選手たちとの合同練習で「シュート力やフィジカルにそこまで違いを感じなかった」という千田。ホームで行っている練習は間違っていないという確信するとともに、今年度の駒澤大の目標の一つである1部昇格への気持ちを強めることになった。

ケガをしていた時もチームのために

幼稚園生の時に姉の影響で始めたというバスケ。「ボールをリングにいれる楽しさを今でも覚えている」と笑う。仲のいい友達に誘われたことがきっかけで初めて3×3を経験したのは高校生の時。「得意な2Pが多く打てる。またカバーディフェンスがあまりないため、点がたくさん取れて楽しい。自分に向いていると感じた」と当時から3x3に惹(ひ)かれていたという。

高校時代から大学だけでなくさらに先も見据えて、バスケに取り組んでいた(写真は本人提供)

千田は高校時代から、大学はもちろん、その先も見据えてバスケを続けていこうと考えていた。最もレベルの高い関東で競技をすると決心し、聖和学園高校(宮城)から駒澤大へ進学した。

希望に満ちあふれた大学生活が始動した矢先、大きな挫折を経験。前十字靭帯(じんたい)断裂という全治1年の膝の大ケガを2回繰り返した。1、2年生の時はリハビリだけでなく、マネジメントの面でチームに尽力。普段からよく遊ぶという今年度の主将を務める高橋世紀(4年、羽黒)から「ケガがなかったら、1年次から試合に絡めていた選手」と評されるだけに試合に出られない悔しさは想像をはるかに超えるものだろう。

「自分がコートに立って動き回れない。シュートが打てないというつらさを毎日感じていた。たくさん泣いて、バスケをやめたいと考えたこともあった」と膝(ひざ)の痛みもさることながら、精神的に苦しい状況が続いた。そこでバスケをやめなかったのは、苦しみ以上に復帰して活躍してやろうという闘志がみなぎっていたから。復帰した時に最高のパフォーマンスができるよう、リハビリとトレーニングに力の限りを尽くした。

大ケガを克服して迎えた昨年の秋季リーグ戦。「コートに立てたことにまず感激だった」と振り返る。点を取る感覚が戻りつつあり、チーム内で後れを取らない動きができた反面、シュートへの悪い緊張感からシュート率が良くなかったと反省点を挙げた。

貪欲に点数を重ね、チームを1部へ

最終学年になった今年度、千田は駒澤大の副将に就任。自分自身を「プレー面はもちろん、他の部分でも声を出して周りを鼓舞するタイプ」と評する。同期からも賛同の声が上がった。「副将になったからには、チームをまとめ、プレー面だけではなく、生活面でも選手同士で会話をたくさんしてメンタル面でもサポートしてあげたいと考えている」と意気込みを語った。試合に出る選手、控えの選手、ケガをしている選手。どの立場も経験した千田だからこそ、どんな選手にも寄り添えるだろう。

自分が得点源となり、チームを1部へ

今年度の目標は2つ。まずは試合で「コンスタントに点数を取っていくこと」。ケガの影響でシュート感覚がずれることを修正し、点数を取る貪欲(どんよく)さを取り戻す。1部リーグ昇格に必要なパーツとなれる自分を目指す。

次に「3x3を頑張ること」。「大学バスケでは5人制を中核に据えるのは変わらない。しかし3x3の大会で優勝して、日本代表合宿に呼ばれたことで、自分の中で考え方や感じ方がかなり変わった。3x3も先を考えてやっていこうと思う」と未来への展望を語った。

自らが考える持ち味は今回の合宿でも通用したという「外角からのシュート」。幼少期から現在まで大切に育ててきた武器を携えて、これからも着々と成長を重ねる。

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