野球

大阪桐蔭で春夏連覇を経験した同志社大・青地斗舞 「聖地」で初のレフト守備

同志社大の主将・青地斗舞のトレードマークは、この笑顔だ(撮影・沢井史)

2018年、大阪桐蔭高校のライトのレギュラーとして、春夏の甲子園を連覇した青地斗舞(4年)が、同志社大学の主将として聖地に戻ってきた。「高校のときは、お客さんが入っていたので、今日とは雰囲気が違いますが……。やっぱり甲子園は他の球場と違います」

トレードマークの笑顔は健在

大阪桐蔭時代、夏の甲子園は全6試合に出場し、2番打者として25打数10安打。打率4割をマークした。2回戦、南福岡代表の沖学園戦では、4打数3安打2打点と大暴れ。藤原恭大(千葉ロッテマリーンズ)、根尾昂(中日ドラゴンズ)ら注目度の高い打者が並ぶ中、しぶとく広角に打ち分ける打撃は、派手さはなくとも強力打線に欠かせない「役者」だった。同時に、時折見せる無垢な笑顔も、青地のトレードマークだ。

同志社大でも1年春からベンチ入りを果たし、早くからチームの中心になることを期待されていた。だが、なかなかレギュラーに定着できなかった。そのもどかしさは高校時代、ハイレベルな中に身を置いていたからこその「欲」をもたらした。「自分なら『もっとやれる、もっと打てる』と上を見過ぎて、スタイルを見失ってしまいました。それで調子を崩して、なかなか打てなくなって…」

2018年春の第90回記念選抜高校野球大会で、大阪桐蔭の一員として活躍した青地斗舞(撮影・朝日新聞社)

昨秋、打率5割2分でリーグ新記録を樹立

長打を求めすぎて、自分のバッティングができず、遠回りする日々が続いた。リーグ戦だけでなく、オープン戦すら起用してもらえないこともあり、心が折れかけたこともあった。心を入れ替えるため、昨夏のオープン戦前には、高校時代以来だという丸刈りにした。「もう一度、自分を見つめ直そう」と無心で挑んだ昨秋のリーグ戦で、首位打者を獲得。打率は5割2分で、関西学生野球リーグの最高記録を更新した。新チームから主将に任命され、今度は「自分が背中でチームを引っ張らなければ」と腹をくくり、大学でのラストシーズンを迎えた。

今春のリーグ戦。チームは第3節まで無傷の4連勝を挙げていた。甲子園球場で行われた4月22日からの第4節で対戦する近畿大学も4連勝中で、お互いに負けられない一戦だった。

ぎっくり腰で出遅れも、少しずつ本来の状態に

青地は万全とは言えない状態だった。3月末にぎっくり腰を経験。「前から腰に違和感があったので、気にはなっていたのですが、練習中に痛めてしまって…。針治療など、あらゆることをやりました」。リーグ戦の開幕には何とか間に合ったものの、本来の調子からはほど遠く、第2節の関西学院大学では、2試合とも先発から外れた。。次節の京都大学戦からスターティングメンバーに復帰し、第1戦で4打数2安打。状態は徐々に上がってきていた。

同志社大の主将として、甲子園の打席に立った青地斗舞(撮影・沢井史)

近大戦との第1戦は「5番・レフト」で先発出場。高校時代から本職はライトで、大学でもずっとライトを守ってきたが、この日は大学で初めてレフトを守った。

一回の打席は、2死一、三塁で回ってきた。「初回に打席が回ってくるとしたらチャンスなので、そこで何とか来た球をしっかり逆方向に打とうと思いました」。言葉通りに、左打席から左前に1点を先行する適時打を放った。

試合は1-2で敗れたが、翌日の第2戦は5-1で雪辱を果たし、勝ち点獲得へ望みをつないだ。第2戦も、試合開始時はレフトだった。高校時代から見慣れていたライトからの光景とは、違う角度からの景色も新鮮だった。「レフトはライトより(甲子園特有の浜風の影響で)打球が伸びますが、ライトより難しくないです。打球が飛んでこなかったし、守りにくさはなかったです」

2018年夏の第100回全国高校野球選手権記念大会で躍動した青地斗舞(撮影・朝日新聞社)

自身の貢献度が、優勝を左右

近大との第3戦は、予定されていた4月24日が雨で中止となり、5月7日に振り返られた。チームは2011年秋以来となるリーグ優勝を目指し、一戦必勝で戦っている。高校時代の春夏連覇から4年。今春の選抜高校野球大会でも、後輩たちが躍動した甲子園のグラウンドに立つと、特別な感情が生まれる。大学でも優勝を狙える位置にいるだけに、主将としてどれだけチームに貢献できるかが、優勝を大きく左右すると自負している。

「うちのピッチャーも状態がいいですし、自分も次に向けて切り替えたい。近大戦も何とか勝って、優勝したいです」

自分に言い聞かせるように言って、さらにはじけた表情は、高校時代に見せたときと変わらない笑顔だった。

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