同志社大・本田ルーカス剛史 世界ジュニアの悔しさを来シーズンへ「新しい自分を」
4月上旬にエストニア・タリンで行われた世界ジュニア選手権。男子シングルに同志社大学2年の本田ルーカス剛史(つよし、木下アカデミー)が出場した。急きょ決まった代打出場で結果は14位。「自分の実力不足」と悔しさをにじませた。気持ちを切り替え、新シーズンに向けて動き出した本田に今後の目標や大学生活について聞いた。
世界ジュニア14位、もっと強く上手な選手に
本田は2020年全日本ジュニア選手権王者で、同年GPシリーズNHK杯3位に入った実力者。22年4月の世界ジュニア選手権は、明治大学1年・佐藤駿のけがの影響による代表辞退で急きょ出場が決まった。連絡を受けたのは3月末で新しい靴を作っている最中だった。前の靴で調整したが苦戦、練習を十分に積めなかった。来年大会の枠取りへのプレッシャーも重なり、ショートプログラム(SP)は9位につけるもフリーで崩れ合計196.83点で総合14位。不本意な結果で大会を終えた。
「自分の実力不足でした。悔しいです。自分の悪いところがでてしまった試合でした」。今シーズン最後の大舞台。チャンスをものにできず自信を失った。
だがシーズンを振り返れば収穫もあった。「新しく4回転トーループジャンプを習得し、自分も跳べるという思いを持てました。来シーズンは日本代表として、もっとしっかりした選手に、強く上手な選手になっていたいなと思います」
オリンピック、日本勢の活躍に感激
21-22年シーズンはオリンピックがあり特別な1年だった。12月にさいたま市で行われた全日本選手権では、北京オリンピック代表最終選考会の雰囲気を肌で感じた。「ピリピリしていて独特のものでした。それ以上のさいたまスーパーアリーナで滑れたのが楽しかったです。自分が4年後どうなっているかわからないですが、できるだけ上位で演技できるようにしたいなと思いました」と語る。
スケートを見るのも好きな本田はオリンピック観戦を堪能した。「幸せそうに滑っている選手を見ていいなと。そういう意味で感動もしますし、試合だな、すごいなって思う選手もいました。(女子シングルで銅メダルを獲得した)坂本花織選手(シスメックス)を見て感激しましたし、身近な選手で河辺愛菜(まな)選手も出ていて、より一層親近感が湧きました」
海外選手ではアダム・シャオイムファ(フランス)に注目した。本田が理想とする「表現で見せられるスケーター」の一人で、「SP『スター・ウォーズ』のステップはこれ以上ないくらいの踊りだった。あの爆発力、外に発して見せていくスケートっていまの選手の中では少ないと思います」と評する。ほかにもエモーショナルな演技で魅了するケビン・エイモズ(フランス)にも心を動かされた。
他競技の選手と交流、アスリート同士の共感も
大学ではスポーツ健康科学部に所属し、スポーツを多角的な視点から学んでいる。とくに興味がある心理学や、栄養学の授業などを受講している。
学生アスリートも多く在籍し、他競技の選手との交流も刺激になっている。新体操男子で世代のトップ選手、東本侑也と親交が深く、曲の中で要素をこなす点や芸術的なスポーツという点でフィギュアスケートと共通点があり、理解し合えるところがある。「同じ競技ではないので楽しいですね。新体操の映像を見せてもらってすごいなって思いました」。ほかにもラグビー選手と話す機会があり、試合におけるメンタルとパフォーマンスの関係などアスリート同士で共感できたという。
全日本最終グループ目指す
来シーズンに向けて着々と準備を進めている。SPの得点85点以上、フリーの得点165~170点を掲げる。グランプリ(GP)シリーズ、とくに日本開催のNHK杯出場を狙う。もちろん全日本選手権フリーで最終グループ(6人)に入ることが大きな目標だ。
そのために4回転ジャンプとトリプルアクセルの安定は「最低ライン」と言う。「大きなスケート、伸びるスケートをオフシーズン中にしっかり身につけたいです。サルコーやルッツなど他の4回転ジャンプの習得にも取り組んでいきたいです」と意気込む。
世界ジュニアで味わった悔しさを胸に再起を誓う。「来シーズンは新しい自分をつくっていけたらいいなと思っています」
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