新体制の中央大、岡井駿典主将「今まで以上に新しい風」 平尾拳士朗らと誓う1部昇格
関東大学リーグ2部に所属する中央大学サッカー部は、今季から新たにOBの宮沢正史監督、中村憲剛テクニカルアドバイザーが就任し、前監督の佐藤健氏はチームダイレクターとして指揮を執ることになった。新体制確立から4カ月。現在、関東大学リーグ2部9節を終え、4勝4分け1敗と安定した強さをみせている。
「勝利には4年生の力が必要」中村憲剛氏の助言
昨シーズンはリーグ戦5位で終わりを迎え、あと一歩のところで1部昇格のチャンスを逃した。今季は2年ぶりの1部復帰に向けて「リーグ優勝」と「昇格」を誓う。変革期を迎えているチームを牽引(けんいん)するのが、主将のDF岡井駿典(4年、市立船橋)と、今季10番を背負うFW平尾拳士朗(4年、藤枝東)だ。
高い守備力とリーダーシップで2年時から主力として起用されてきた岡井。昨シーズンは左サイドバックとしてチーム最多のリーグ戦22試合、フル出場を果たし守備陣の要として奮闘した。チームメートからの絶大な信頼により新主将に任命された岡井は、1部でのプレー経験を持つ者として強い覚悟を示す。「これからは1部の基準でやらないと強いチームにはなれない。その基準を自分がつくらなきゃいけないと思うし、チームのみんなにも要求していきたい」。また、試合数を重ねる中で、「一人ひとりのサッカーに対する向き合い方、より上を目指す姿勢は積み上げている。2部優勝には絶対、一歩一歩近づいている」と自信をのぞかせた。
直近5試合は負けなしと着実に勝ち点を上げているが、リーグ開幕から3試合は2分け1敗と勝利から遠のいていた。そんな状況を見て、中村テクニカルアドバイザーから「チームが勝つのには、4年生の力が絶対必要」だと何度も伝えられたという。中村氏は自身が3年次にチームが2部に降格、翌年には主将を務め1年で昇格を果たした。岡井は、境遇が似ている中村氏の言葉を受け止め、それを胸に次の試合に目を向けた。
関東学院大戦がターニングポイント
勝ちきれなかった状況を打破するきっかけとなったのが、延期開催された第2節の関東学院大学戦。前・後半それぞれ3点ずつ、かつ無失点で相手を抑え6-0の大量得点で勝利を収めた。岡井は「しっかり良い守備から良い攻撃というサッカーの原則を体現できた試合だった」と振り返る。その後の試合は3勝2分と、チーム全体を勢いづけるターニングポイントとなった。
新体制については「今まで以上に新しい風というか、チャンスをもらえる選手が増えたことで本当に誰が出てもおかしくないレベルでやれている。いろんな選手が出ている中で結果が出ているのは監督や憲剛さんが見ているから」と明かす。互いに刺激を与えつつ相乗効果でチーム力が向上しているのがうかがえた。
これからも主将としてチームを鼓舞し続け、守備では最終ラインに立ちはだかる岡井の姿が見られるだろう。
「強く、激しく」存在感増す新10番・平尾
リーグ戦が進み、ゲームの充実度が高まるにつれ、今季10番の平尾の存在感がひときわ増している。
昨シーズン時点での自身の課題は「フィジカルの部分」と話していたが、今季はそれを感じさせないほどにチームのために走り、前線からボールを追ってプレスをかける姿は頼もしい。
「昨シーズンは、決定機をつくれてはいたものの、点が取れない状況が多かった」と振り返り、オフシーズンでは特にシュート練習に力を入れたという。その成果が早くも表れ、第2節の関東学院大学戦で今季初スタメンに起用されると、華麗な先制ゴールを決めた。「(今まで10番を背負ってきた選手は)活躍している選手が多い中で、自分は開幕3節出られなくて、結果も残せていなかったので、きょう点が取れたのは大きかった」と話した。
最高学年として挑む今シーズンは、練習から「強く、厳しく」を要求し、目標を確実にするための努力を惜しまない。「ゴールへの意識が昨年に比べて格段に上がっている思う」と、責任感も一層伴った。下級生の選手とのコミュニケーションも意識的に図り、どの選手が試合に出てもプレーしやすい環境を生み出している。
「良い守備から良い攻撃を」宮沢新監督とともに進む変革
3年生の頃から「良いチームを作り上げよう」という気持ちで、週1回のミーティングを重ねてきた現在の4年生。新チームの始動直後は、今までと要求されることの違いに戸惑うこともあったが、監督とコミュニケーションを深めていく過程でチームが良い方向に進み始めた。宮沢監督については「サッカーに熱心で、チームのために働いてくれるし、選手にも要求してくれる。すごく良い監督」と平尾は明かす。
今年で創立95年を迎える中大サッカー部は、宮沢監督とともに復権への歩みを進めている。「良い守備から良い攻撃につなげられるような試合をしたい」と宮沢監督が話すように、チーム全員で勝利を摑みにいく。さらに強度を増した中大サッカー部は金茶のユニホームをまとい、1部復帰に向かって突き進む。