中央大ルーキー吉居駿恭、大学初戦で入賞にも悔しさ 兄・吉居大和に「負けられない」
2022日本学生陸上競技個人選手権大会 男子10000m決勝
4月15日@レモンガススタジアム平塚(神奈川)
1位 葛西潤(創価大4年) 28分30秒65
2位 嶋津雄大(創価大4年) 28分38秒27
3位 篠原倖太朗(駒澤大2年) 28分43秒03
4位 小澤大輝(明治大4年) 28分50秒28
5位 野村優作(順天堂大4年) 28分51秒50
6位 中山雄太(日本薬科大4年) 28分51秒94
7位 藤木宏太(旭化成) 28分53秒01
8位 吉居駿恭(中央大1年) 28分56秒95
中央大学の注目ルーキーが4月15日の日本学生個人選手権10000mで大学初戦を迎えた。仙台育英高校(宮城)から入学した吉居駿恭(1年)。1月の箱根駅伝1区で、箱根最古の区間記録を15年ぶりに塗り替えた中大のエース、吉居大和(3年、仙台育英)の弟だ。
白地に赤のユニホームにあこがれて
中大への入学は、高校時代から夢見ていた。「兄がいたからというより、昔からの名門であこがれ。白地に赤のユニホームがかっこいいと思って」。仙台育英では、1年生の時に兄とともに全国高校駅伝で優勝した。
10000mの自己ベスト28分11秒96は高校歴代3位。兄にも劣らぬ十分な実績をひっさげて大学陸上に乗り込んできた。
レース中、大型の電光掲示板に写った兄に似た姿
期待通り、このレースでもルーキーらしからぬ走りを見せた。スタート直後から、堂々と先頭集団の前方についた。「スローペースだったので、いけるところまでいこうと」。4000m付近までは2番手を死守。目標の3位以内をめざし、絶好の位置取りで中盤を迎えた。
レース中、大型の電光掲示板で自分が走る姿を確認した。その姿に、これまで見続けてきた兄の面影を感じた。「遠目で見ると、兄を見ている感じがした。走りは似ていないんですけど、よく見ていたユニホームだなと。テンションが上がりました」。その気持ち通りにレースを進めたいところだったが、5000mを過ぎた当たりで後れを取り始めた。
徐々に集団から離され、一時は10位に。残り1000mで「8番以内はとりたい」ともう一度ギアを入れ替えた。28分56秒95。何とか8位入賞を果たした。
「考え方を変えて練習に取り組みたい」
レース後は、反省の言葉が相次いだ。
「本当はもっと最後までついていきたかったけど、できなかった。守りに入ってしまう、まとめようと走ってしまうところが自分の成長の障壁になっている」
「苦しい練習の中でも弱気な気持ちを出さず、考え方を変えて練習に取り組みたい。苦しい気持ちから逃げずに頑張りたい」
大学初戦。それも全国大会で入賞したにもかかわらず、悔しさがにじみ出る。言葉の節々から、並のルーキーではないことを感じ取れた。
兄と同じく真面目で、兄以上にストイック
中大の藤原正和監督も手応えを感じている。「1年生のこの時点で10000mはきついと思うが、良い練習はできていた。28分台で来たので、冬場の成果が出た。レベルの高いところでやる意識作りができ、大学に向けて一つの階段は上がれた」
藤原監督は兄弟の共通点を「真面目」と言う。それは、2人が育った家庭の影響が大きいと分析している。ただ、あえて違いを見つけるなら「弟の方がよりストイック」と話す。兄の大和はこの冬、2年連続でアメリカに武者修行へ出かけた。その兄を上回るストイックさがあるのなら、この4年間でどんな成長をするのだろうか。
2年後に迫る第100回箱根駅伝で優勝をめざす中大。他にも、洛南高校(京都)で全国高校駅伝2位をつかんだ溜池一太(1年)ら、強力なルーキーが集まっている。吉居はすでに同期らと「100回大会で優勝するために、まずは来年3以内を取りたい」と話し合っているという。
今年の箱根駅伝での兄の走りについては「最初から自分1人で抜け出した。自分はそういう走りはできない。すごく興奮したけど、競技者としては悔しい。負けられない」と対抗心を見せる。希望区間は往路の1~3区。兄のような活躍を1年目から見せたいと強い気持ちを持っている。
今年の駅伝シーズン。中大飛躍のかぎは吉居兄弟が握っているのは間違いない。