中央大・中野翔太、5000m2位に「やっぱり悔しい」　吉居大和を追い越せるように

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日本学生個人選手権最終日の4月17日に男子5000m決勝が行われ、1～3位が1秒以内という接戦となった。その2位に入った中央大学の中野翔太（3年、世羅）は「優勝、最低でも2番が目標だったので、やっぱり悔しい気持ちはあります」と振り返った。その一方で、これまでにやったことがないレースプランに挑んだことでの収穫もあった。

勝負どころを見極め、ラスト600mでしかける

今大会は6月26日～7月7日（陸上は6月30日～7月5日)に中国・成都で開催予定のFISU ワールドユニバーシティゲームズの選考も兼ねていたが、棄権者もあり、出走者は7人に絞られた。中野が選考対象者になるには、参加標準記録（13分45秒00）を切った上で少しでも上位に入ることが求められた。中野の自己記録は13分45秒19。「人が減ったことでチャンスが増えたし、絶対出場権をとろう」と心に決めた。

藤原正和監督からは「藤本選手（珠輝、日体大4年、西脇工）が動いたらついていって、自分でタイミングを決めていけ」と言われていた。その言葉を受け、中野はレースの流れを見ながらラスト1500～600mでロングスパートをかけて逃げ切るレースを思い描き、スタートラインに立った。

最初に前に出たのは藤本。その後ろに青山学院大学の若林宏樹（2年、洛南）、順天堂大学の石井一希（3年、八千代松陰）と続く集団でレースが進み、最初の1000mは2分45秒。2000mでは2分53秒ペースとなった。2500m過ぎに集団の中ほどから青山学院大の山内健登（3年、樟南）がスッと前に出ると、駒澤大学の篠原倖太朗（2年、富岡）と中野も後ろに続く。

3000mでは2分51秒のペースを刻む。ラスト1300mほどで若林がギアを上げて一気に先頭へ。その後ろに篠原がつき、2人が集団から離れ始めると中野もすぐに後を追った。4000mでのペースは2分44秒に上がる。

ラスト600mを前にして、3番手につけていた中野がぐっと加速。若林は反応しなかったが、篠原と後続から追い上げてきた青山学院大の鶴川正也（2年、九州学院）が食らいつく。中野を先頭にしてラスト1周へ。バックストレートで中野は篠原と鶴川に抜かれて3番手になったが、最後まで粘り、ホームストレートで鶴川を抜いて2位でゴール。1位でガッツポーズをする篠原の後ろで悔しさをかみしめた。

5000mで13分30秒切りを

中野はレース中、どのタイミングでしかけたら抜け出せるかを考えていたという。先に若林がしかけてからはその流れについていき、他の選手の様子を見た。そしてラスト600mで前に出た。「まだ余裕があったのでいったけど、後ろをつき離せるくらいの力はまだまだなかったです」と中野。ラストで勝ちきれるロングスパートを自分の武器にできるよう、ここからスピードを磨いていく。

ワールドユニバーシティゲームズには届かなかったが、トラックシーズン中は5000mをメインにし、4月29日の織田記念を経て、5月19～22日の関東インカレに照準を定めている。「関東インカレではしっかり入賞し、いつかは13分30秒を切って、吉居（大和、中央大3年、仙台育英）に少しでも追いついて追い越せるような結果を出していきたいです」

同期でU20日本記録保持者（13分25秒87）ある吉居は心強い仲間であり、負けたくないライバルだ。吉居は昨年に続き、今年も2月から米オレゴン州にてプロチーム・バウワーマントラッククラブのもとでトレーニングを積んできた。吉居は学んだことをチーム内にも還元し、中野もまた、吉居から刺激を受けたという。

ルーキーたちに刺激を受けて

今年の1年生には吉居の弟・駿恭（仙台育英）もおり、駿恭は今大会の初日に行われた10000m決勝で積極的なレースを展開。28分56秒95での8位入賞を果たした。「弟は兄と結構似ているところもあるけど、弟だけの雰囲気もあって面白いです」と中野は言う。

そんな1年生たちが加わり、自分も上級生になったことで、中野はチームの中で自分が果たすべき役割を感じている。「練習でも自分が引っ張らないといけないなと思うようになりました。1年生にすごく元気な子が多いので、そこに刺激を受けながら、上級生も負けられないぞという気持ちで挑めていて、チームの雰囲気はすごくいいです」

中野は昨シーズンに学生駅伝デビューを果たし、全日本大学駅伝では3区区間9位、箱根駅伝では4区区間5位だった。特に箱根駅伝は距離への不安もあり、前半から攻められなかったが、後半は後ろから追い上げてきた創価大学の嶋津雄大（4年、若葉総合）についていくことでペースを刻めたという。「単独走だといい結果がでなかったのではないかと思い、単独走でもいい結果を出せるような強さをもっと出していきたいです」

学生3大駅伝すべての出場権をすでに得ている今、中野は区間賞の走りで「強い中央大」を示す覚悟だ。