陸上・駅伝

立教大・道下美槻、“無心”を貫き日本選手権3位「私は日本で無敵になりたい」

これまでの日本選手権で9位、5位を経て、初の表彰台をつかんだ(撮影・すべて藤原伸雄)

第106回日本陸上競技選手権大会 女子1500m決勝

6月10日@ヤンマースタジアム長居(大阪)
3位 道下美槻(立教大3年) 4分16秒55

日本選手権の女子1500mに出場した立教大学の道下美槻(3年、順天)のテーマは「無心」だった。「最近のレースは力んでしまって、自分の思ったレースができていなかった。だから、今回は『無心』で走ろうと思って」

立教大・道下美槻、目指すはパリ五輪! 夢への挑戦へ走り続ける

東京五輪代表と勝負

9日の予選では東京オリンピックで日本女子初の8位入賞を果たした田中希実(豊田自動織機)と一緒の1組目に入った。その田中が序盤から先頭に立ち、どんどん後続を離していく展開に。道下は冷静に2番手集団の前方でレースを進めた。ラスト1周でも大きく崩れることなく、余裕を持ちながら、4分18秒22の3着で決勝進出を決めた。

レース後、道下は「無心で走れました」と笑顔。そして、「明日の決勝の予行練習のようなことはちゃんとできたかなと思います」と自信を見せていた。

翌10日の決勝は田中のほかに、東京オリンピック代表の卜部蘭(積水化学)や後藤夢(豊田自動織機)ら実力者がそろった。残り2周となり、道下は集団の真ん中あたりの位置取り。残り1周でスパートをかけると、田中、後藤に次ぐ4分16秒55で僅差の3位に入った。

この日も「無心、無心……」と心で唱えながらスタートラインに立ったという。この大会で一昨年は9位、昨年は5位。道下は「今回のレースも無心を意識して、リラックスした状態でいけたので良かった。表彰台を目標にしていたので、すごくうれしい」と満面の笑みを見せた。その後、道下は「最近はうまくいかないことが多すぎて、どうなることかと思ったんですけど……」と苦悩を明かした。

田中希実のように自分でレースを作る

昨年は5月の関東インカレでは女子800mを制し、7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会では1500mの学生記録となる4分12秒72をマークするなど飛躍の年になった。ただ、今季はケガの影響や筋力をつけたことによる体形の変化によって思うような走りができない日々が続いた。

今年5月の関東インカレでは1500mで優勝が期待されたが、表彰台を逃す4位に終わった。そこから日本選手権に向けての直前合宿を通して体の動きなど手応えをつかんでいき、今大会は東京オリンピック代表の卜部に先着する奮闘を見せた。

「田中さん、蘭さん、後藤さんと力が抜けている方の中に食い込むことができたのは素直にうれしい」

田中(中央)とのレースで、道下(左)は世界”を近くに感じられた

予選と決勝で日本記録保持者の田中と走ったことは、“世界”を近くに感じることもできた。「やっぱり『行くな、違うな』と思った」と言い、「世界で8番目の田中さんはメンタル的にも果敢に攻められるのがすごかった」

目線は2年後のパリオリンピックにある。そのためには田中らと日本代表の座を争うことになる。道下は言う。「私は日本で無敵になりたい。田中さんのような積極的に自分でレースをつくっていくスタイルが理想なのかなと思う」

今回の3位をステップアップにして、さらに上を目指していく。

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