陸上・駅伝

特集:2022日本学生陸上競技個人選手権大会

東海大・飯澤千翔、個人選手権1500mで復活示す優勝 3分35秒切りで世界陸上へ

優勝に「思った通りの結果」と話した飯澤(撮影・すべて藤井みさ)

2022日本学生陸上競技個人選手権大会 男子1500m決勝

4月15日@レモンガススタジアム平塚(神奈川)
優勝 飯澤千翔(東海大4年)     3分44秒54(大会新記録)
2位 溝口仁(東海大3年)      3分46秒49(大会新記録)
3位 高橋佑輔(北海道大学大学院1年)3分46秒78

4月15日の学生個人選手権1日目で、東海大学の飯澤千翔(4年、山梨学院)が1500mで3分44秒54の大会新記録で優勝した。この結果を経て4月18日、飯澤は6月末に中国・成都で開幕予定のFISU ワールドユニバーシティーゲームズの日本代表に内定した。

冷静に状況を判断し、最後は独走

季節外れの寒さとなり、北風が吹きつける中で行われたこの日の大会。1500mは予選と決勝を1日で行う日程だった。飯澤はまず、予選2組に登場。集団の後方からのスタートとなったものの、すぐに前方へと積極的に出る。ラスト1周で前を行く北海道大学の高橋佑輔(院1年、兵庫)をとらえると最後は余裕を持って1着でゴール。決勝に進んだ。

決勝ではスタートするとまず、飯澤の後輩の松本颯真(1年、伊賀白鵬)が先頭に立ち積極的にレースを引っ張った。飯澤は集団の中盤から徐々に前方へ。残り1周手前で先頭に立つと、ラストの直線で後続を引き離し、早々に「1」のポーズ。最後は両手を広げてゴールし、再び「1」を掲げて喜びを表現した。2位には後輩の溝口仁(3年、創世館)が入り、ゴール後に2人はがっちりと抱き合った。

ゴールしてすぐに、飯澤(右)は溝口と喜びを分かち合った

頼もしい後輩の走りに「負けられない」

飯澤はルーキーイヤーに関東インカレ1部、日本インカレ1500mで優勝し、一気に学生トップに駆け上がった。しかし2年生になってからはけがに苦しんだ。3年生でも関東インカレ1部1500mでまさかの予選落ちなど、不本意なレースが続いた。日本インカレでも1500mでは勝てなかったが、800mで優勝しホッとした表情を見せた。いま苦しい時間を振り返ると、その時間があったからこそこうして戻ってこられたのだと話す。

3月29日に行われたTHE MIDDLEでシーズンインした飯澤だが、この時は最後まで走り切らなかった。4月9日の金栗記念では3分42秒54で組10着。同じ組で走った三浦龍司(順天堂大3年、洛南)が3分36秒59と日本記録にあと1秒ほどと迫る好走を見せた。だが飯澤の狙いは今回のこのレースで、ユニバーシアードの出場権を確実に獲得することにあった。そのため通常はレースに出る際は走行距離を落として調整するが、THE MIDDLE、金栗記念の時は走り込んで体がきつい中で出場。その状態で速いペースを経験し、このレースに合わせてきた。

飯澤(先頭)はスタートする前から「自分が一番強い」と確信を持っていた

スタートする前から「自分が一番強い」という思いを持って走り、「思った通りの結果が出せた」と話す。「今日は本当にリラックスして、冷静に状況を把握しながら進められていました。仕掛けどころも良かったと思いますし、臨機応変に対応できたレースかと思います」。スローペースになることは想定できたが、その中でも3分45秒を切れて、大会記録を更新できたことに「悪くないなと思います」と口にする。

レース前には松本、溝口と「東海で1・2・3(ワンツースリー)したい」と話していた。序盤から松本が積極的な走りをしたことで「負けられない」という思いもあった。飯澤の中では、1・2・3でも1・2でも、自分が1番だというのは変わらないと思っていたという。その上で後輩の活躍に顔をほころばせた。

3分30秒切りできるポテンシャルがある

飯澤が今シーズン目指すのは、ワールドユニバーシティーゲームズの出場、7月にアメリカ・オレゴンで開催される世界陸上への出場。前者は今回で決まり、次は世界陸上への挑戦となる。世界陸上の参加標準記録は日本記録の3分35秒42を上回る3分35秒00と、高い目標となる。

(3分)35秒切りは見えているか? との質問に飯澤はこう返した。「(自分の)ポテンシャル的には(3分)30秒切りも絶対いけると思っているので、タイミングだと思います。ペースメーカーや気象条件などがそろった時に絶対に35秒は切るっていう確信があります」。そう言えるだけの練習を積み重ねてきた。三浦の記録にも焦ったりしない。1500mを専門としない三浦があそこまでできるのだから、1500mを専門としている自分は30秒を切れるという思いを強くした。

積み重ねてきた練習に自信を持っている

まずは4月29日・30日の木南記念でタイムを狙って走るつもりだ。「そういう(タイミングが)良くなるためにも日頃から徳を積んでいきたいし、日本の中距離界のためにもいい条件がそろうように願っています」。レースまでの2週間、スタミナ面での改善を中心にさらにレベルアップをはかる。そしてその先には、日本選手権での優勝を見すえている。

主将としてチーム全体にも目配り

4年生になり、飯澤は陸上部中長距離ブロック全体の主将に就任した。それまでは自分の競技のことだけを考えていたが、部全体を見る立場になり、目線も変わった。「自分たちから士気をあげていくようにしたい」と考えてふるまうことで、気持ち的な部分が成長し、それが競技の成長につながっていくのではとも考えている。妹がいてもともと面倒見がいいタイプだという飯澤は、部員に目を配ることで自分もやる気が出て、モチベーションアップにもつながると話す。

東海大は昨シーズン、出雲駅伝9位、全日本大学駅伝12位、箱根駅伝11位とふるわず、全日本、箱根のシード権を落としてしまった。一時期はチームが沈んだ雰囲気になることもあったが、全体、学年でのミーティングを何度も繰り返し、目標を「全日本・箱根の予選会通過、本戦で3位以内」と定めた。「みんなで頑張っていこうと、いい雰囲気になってきているかなと感じてます」。この日、レースを終えた飯澤を駅伝主将の宇留田竜希(4年、伊賀白鵬)が笑顔で迎えていた。チームのために、自分のために。飯澤の大学ラストイヤーの快進撃がここから始まる。

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