陸上・駅伝

特集:第54回全日本大学駅伝

新潟大学が3大会ぶりの全日本大学駅伝出場 佐藤樹「それぞれやるべきことは理解」

3年ぶりの伊勢路を決めた新潟大学は「自然体」で選考会に臨んだ(撮影すべて・藤原伸雄)

第54回全日本大学駅伝対抗選手権大会 北信越地区選考会

7月9日@長野市営陸上競技場
1位 新潟大学     4時間19分59秒18
----------ここまでが本戦出場------------
2位 信州大学     4時間21分8秒33
3位 新潟医療福祉大学 4時間25分16秒88
4位 富山大学     4時間26分32秒50
5位 金沢大学     4時間53分47秒49
(金沢工業大学は選考外)

7月9日に行われた全日本大学駅伝北信越地区選考会は新潟大学が制し、3大会ぶり13回目の伊勢路への切符をつかんだ。選考会には6校が参加。各校9~10選手が、3組に分かれて10000mを走り、上位8人の合計タイムで競われた。新潟大中長距離ブロック長の佐藤樹(3年、福島)は「自分が入学して過去2回は信州大学に負けていた。今年こそはと思って臨んだ」と振り返った。

「ボーダーライン」メンバーの走りで勢い

1組目の主役になったのは松野伊吹(2年、新潟工)だ。4000mを過ぎて、先頭集団は信州大3人を含む計6人になった。そこから徐々に人数が減っていき、松野は7600m過ぎにチームメートの新奥佑太(3年、南多摩中等教育)を振り切って、ロングスパートを仕掛けた。

「自分はより速い選手が集まる2、3組目でも十分に戦えると思っていた」と松野。さらに本大会を走るためには、8人に入らないといけない。ボーダーラインにいると感じていた松野は「インパクトがある走りに加えて、チームに貢献しないといけない」という強い思いで足を動かした。そのまま逃げ切って、1着でゴールした。

この松野の走りがチームに勢いをもたらした。続く2組目では、渡辺真大(2年、古川)が2着に入るなど、出場した3選手が1桁順位でつないだ。

ロングスパートを仕掛けた松野伊吹(右)が第1組の1位に入った

入学を決断した3年前の伊勢路

そして、最終3組目に登場したのが佐藤だった。スローペースで進む中、終盤に富山大学の3選手が飛び出したが、慌てなかった。レースが始まる前、2組目を終えて、マネージャーの手元の時計で2位の信州大と1分以上の差をつけてトップに立っているという情報を聞いていた。

「自分も含めて、最優先は大きな失敗をしないこと」と佐藤。チームトップの4着で走り終え、ほかの選手も大きく崩れることはなかった。最終的に2位の信州大に差をほとんど詰められることなく、合計タイム4時間19分59秒18で予選を通過した。

3年前、新潟大の選手が伊勢路を走る姿をテレビで見て、佐藤は「自分も新潟大に入って、全日本の舞台に立ちたい」と入学を決めた。だが、一昨年は3位、昨年は2位。2年連続で信州大に敗れていた。

第1組で3位に入った新奥佑太

順位より、自分の持てる力を最大限

今季、ブロック長に就任した佐藤が、チームメートに求めたのは自主性だった。佐藤自身も授業の関係で練習に顔を出す機会が減っていたという。全体の練習メニューは渡していたが、一人ひとりが足りない部分を考え、個人練習に力を入れていたという。

選考会前、佐藤はチーム全体に向かって声をかけることをあえてしなかった。「それぞれやるべきことは理解していると思った。自分は普段の記録会や大会のように自然体でいるのが一番と思った」

新潟大学は個人練習に力を入れている

佐藤にとって初めての伊勢路となる。目標としていた舞台にやっと立つことができ、「順位よりも、自分の持てる力を最大限発揮することに集中したい」と語った。

in Additionあわせて読みたい