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特集:2022年 大学球界のドラフト候補たち

指名待つ「100回世代」の逸材たち 二刀流に国立大の本格派右腕も

オリックスが1巡目指名を公言している白鷗大の曽谷(撮影・井上翔太)

 プロ野球の新人選手選択(ドラフト)会議が20日午後5時から開かれる。注目の選手を高校生と大学生・社会人の2回に分けて紹介する。

白鷗大・曽谷龍平 吉田輝星、山口航輝の指名に「すごいな」から4年 今度は自分の番

■ドラフト注目の選手 大学・社会人編

 4年前の第100回全国高校野球選手権記念大会では、春夏連覇を遂げた大阪桐蔭の根尾昂(あきら)(中日)や藤原恭大(きょうた)(ロッテ)、準優勝した金足(かなあし)農(秋田)の吉田輝星(こうせい)(日本ハム)らが甲子園球場を沸かせた。

 いまの大学4年生は、高卒でプロに進んだ彼らと同学年。大学で順調に力を伸ばした野手が目立つ。

 蛭間(ひるま)拓哉(早大)は西武が1位指名を公表している。

 走攻守そろった左打ちの外野手。広角に長打を打て、東京六大学リーグでは12本塁打をマークしている。

 埼玉・浦和学院高では3年夏に全国選手権で8強に入った。

 外野手では右打ちの森下翔太(中大)も評価が高い。

 神奈川・東海大相模高では3年春に選抜で4強に進んだ。スイングスピードの速さが魅力。

 大学では1年春から主軸を任され、今春の東都大学リーグでは3本塁打を放った。

 田中幹也(亜大)は、今春の東都リーグで1試合個人最多記録に並ぶ6盗塁を記録するなど走力が高い。6月の全日本大学選手権では、最高殊勲選手賞を獲得した。

 東京・東海大菅生高時代から高い評価を得ていた遊撃手としての守備力にも磨きがかかった。

 大阪桐蔭高の二塁手として春夏連覇に貢献した山田健太(立大)は、パンチ力がある右打ちの好打者に成長した。大学日本代表で主将を務めるなど、リーダーシップもある。

 強肩強打の捕手、野口泰司(愛知・栄徳高―名城大)や長打力が持ち味の外野手、沢井廉(愛知・中京大中京高―中京大)、俊足好打の遊撃手、友杉篤輝(島根・立正大淞南高―天理大)らも上位の可能性がある。

 好素材は投手にも。

 矢沢宏太(神奈川・藤嶺藤沢高―日体大)は二刀流で注目を集める。

 150キロ超の直球に鋭いスライダーを持つ左腕で、打者としても俊足が魅力だ。日本ハムが1位指名の方針を明らかにした。

 オリックスが1位指名を公表した左腕、曽谷(そたに)龍平(白大)は直球、変化球ともに切れがあり、高い奪三振率を誇る。

 秋田・明桜高では3年夏の秋田大会決勝で金足農高に敗れた。

 荘司康誠(こうせい)(新潟明訓高―立大)は188センチの大型右腕。3年まで東京六大学で未勝利ながら、最上級生になって才能が開花した。

 常時150キロ前後の直球を投げ込み、スタミナも豊富だ。18日には楽天が1位指名を公表した。大学日本代表では、エース格の働きを見せた。

 いずれも右腕の金村尚真(岡山学芸館高―富士大)は制球力が高く、大崩れしにくいタイプで、菊地吏玖(りく)(札幌大谷高―専大)はがっちりした体格で球威が自慢だ。

 本格派右腕の仲地礼亜(沖縄・嘉手納高―沖縄大)は、沖縄県内の大学から初となる指名が有力視される。

 国公立大にも楽しみな選手がいる。

 陸上経験者で大学ではアメフト部にも所属したことがある外野手、阿久津怜生(れお)(栃木・宇都宮高―東大)、最速151キロを誇る本田健悟(愛知・明和高―名古屋大)、やはり150キロ超の球威を誇り、医学部で学ぶ水口(みなくち)創太(滋賀・膳所高―京大)、捕手として評価を受ける愛沢祐亮(宇都宮高―京大)らが指名を受けるかも注目だ。

 社会人では、左足を振り子のように使って威力のある球を投げる吉村貢司郎(東京・日大豊山高―国学院大―東芝)、昨年の日本選手権で最高殊勲選手に選ばれた本格派、河野(かわの)佳(広島・広陵高―大阪ガス)の両右腕が即戦力として高い評価を受ける。

 都市対抗で活躍した益田武尚(福岡・嘉穂高―北九州市立大―東京ガス)、制球力が高い吉野光樹(てるき)(熊本・九州学院高―上武大―トヨタ自動車)の両右腕も注目だ。

 最速155キロの小孫(こまご)竜二(石川・遊学館高―創価大―鷺宮製作所)は過去3度、指名漏れを経験しており、名前が呼ばれることを心待ちにしている。

(安藤仙一朗)

=朝日新聞デジタル2022年10月19日掲載

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