医学部初のプロ野球選手誕生へ 迷った京大・水口が決断できた理由は
プロ野球・福岡ソフトバンクホークスからドラフト育成7位で指名された京大の水口(みなくち)創太投手(23)が、プロ入りを決断した。
京都市内の同大施設で球団から指名あいさつを受けた11日、報道陣に明かした。
京大からのプロ野球選手誕生は2014年秋のドラフトでロッテから2位指名を受けた田中英祐投手(すでに退団)以来、2人目となる。
理学療法士の資格が取れる医学部人間健康科学科に在籍しており、医学部からは史上初の快挙となる。
当初、育成枠ではプロ入りしない意向だったが、実際に指名を受けて「どうするかしっかり考えて、自分なりの結論を出したい」と態度を保留していた。
何が決め手だったのか。
「育成(選手からのスタート)という中で、どう成長できるか思い描くことができた。野球に集中できる環境がすばらしかった」
ソフトバンクは福岡県筑後市にファーム施設があり、練習環境は12球団屈指だ。球団から環境面について熱心な説明を受けて、心を動かされた。
194センチの上背からの角度ある投球が持ち味だ。
自ら考えてトレーニングを地道に積み、入学時に140キロほどだった最速は152キロまでアップ。同校初の150キロ投手に成長した。
球団の福山龍太郎スカウトは京大医学部という肩書は関係なく、純粋に実力を評価したという。
「しっかり育成に2、3年をかけて、戦力として考えている。その原石という評価です」と期待を寄せる。
水口が目標とするのは育成枠出身ながら球界を代表する投手となった千賀滉大投手だ。「自分も同じ道を歩みたい」
来季から4軍制を敷く球団で支配下登録をめざす。競争は激しいが、厳しい学業との両立で養った持ち前のハートの強さがある。
「プロの世界に入ったら野球だけに集中できる。支配下をめざして頑張りたい」
(高橋健人)=朝日新聞デジタル2022年11月11日掲載