サッカー

日本代表がドイツに歴史的な逆転勝利 途中出場組が躍動、総力戦制す

堂安(8番)のゴールで同点に追いつき、喜ぶ選手たち(撮影・伊藤進之介)

 (23日、W杯1次リーグE組 日本2―1ドイツ)

東日本大震災で転居、サッカーで生きていけると思えなかった 川崎F・山根視来(上)

 真っ向から、小細工なしに、優勝経験4度の強豪にぶつかった。果敢な姿勢と選手の持ち味。日本の良さを存分に発揮した。

 前半8分の攻撃は快挙への予兆だったか。中盤でMF遠藤航が相手を潰しにかかった。こぼれたボールをMF鎌田大地が拾い、右のスペースへ展開。MF伊東純也がスピードに乗って走り込み、相手最終ラインとGKの間へ低く、速いクロス。FW前田大然が合わせ、ゴールネットを揺らした。

 判定は、惜しくもオフサイド。それでも、それぞれが海外に出て、培ってきたものが詰まっていた。

 ドイツも本気だった。先発に現状のベストと思われる面々を並べた。決して日本をあなどることなく、慎重、かつ丁寧にボールを動かしてきた。サイドからのクロスに、ワンタッチパスを絡めた中央突破。PKによる失点につながった反則の場面で日本は左に寄せられ、逆サイドのスペースを空けざるを得なかった。

 それでも日本はひるまなかった。大一番を前にした記者会見で、森保一監督はいつものように淡々と、いつもの言葉を並べていた。「アグレッシブに、我慢強く。積み上げてきたものをベストの形で発揮する」。後半も布陣変更と相次ぐ選手交代で手を尽くし、攻める姿勢は失わない。

 迎えた後半30分。三笘薫が左サイドでドリブルを仕掛け、南野拓実へ。南野が左足で放ったシュートをGKノイアーがはじき、堂安律が押し込んだ。初の大舞台にも「優勝を狙っている」と堂々と宣言していた強心臓の24歳が同点ゴールを決めた。さらに38分、浅野拓磨がスピードと強さを生かして勝ち越しゴール。歓喜に包まれた。

 途中出場の面々が輝き、総力戦でドイツから勝ち点3をもぎ取った。新しい歴史を刻む戦いは続く。

   ◇

 森保監督 「チームの総合力、総力戦で戦うことを、選手たちがやってくれた。まだ1試合終わっただけ。今日のことを反省して次の試合の勝利を目指したい」

(藤木健)

=朝日新聞デジタル2022年11月24日掲載

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