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特集:第77回甲子園ボウル

関西学院大・QB鎌田陽大 伸び悩むエース、「甲子園ボウル」までに求められる奮起

第2Q9分22秒、鎌田が3yd押し込みTD。この日はパスだけではなくランも意識した(すべて撮影・北川直樹)

全日本大学アメリカンフットボール選手権準決勝

12月4日@博多の森陸上競技場(福岡)
関西学院大学(関西代表)49-9西南学院大学(九州代表)

全日本大学アメリカンフットボール選手権の準決勝が、12月4日に福岡市の博多の森陸上競技場であり、関西代表の関西学院大学と九州代表の西南学院大学が対戦した。49-9で関西学院が勝ち、7年連続で決勝「甲子園ボウル」への出場を決めた。

今季最も「関学らしくない」内容

スコアの上では大差の勝利。しかし若手でメンバーを組んだ関学にとっては、まったくかみ合わない内容だった。この日のQBは前週の立命館大学戦で先発した星野秀太(1年、足立学園)ではなく、鎌田陽大(3年、追手門学院)が登場。パスで249ydを稼いだが、インターセプトを2回、自陣深くではエンドゾーン内で西南学院の選手にタックルを受けてセイフティも喫した。

攻撃は2回のファンブルをともにロストし、スナップが乱れて味方に当たるなどパントを蹴られないこと2回。手堅い関学としては極めて珍しい、キックオフリターンタッチダウンもとられた。登場したメンバーに主力を欠くパートもあったが、3回の攻撃でダウンを更新できなかったり、ロングパスを通されたりするシーンも散見。総括すると、今シーズンで一番「関学らしくない」といった内容だった。

QB鎌田が自陣でタックルを食らい、セイフティで2点を献上

持ち直したい気持ちが空回り

関学はリーグ戦での活躍が著しい星野を「温存」。守備もLBの浦野玄太(4年、箕面自由学園)ら数人を要所に残し、経験の浅いメンバーを中心に組んだ。

大村和輝監督によると、昨年からの「エース」QB鎌田の奮起に期待することも、テーマの一つだった。鎌田は試合前、大村監督に「ちゃんとパス通して点とってこい」と言われたが、思ったプレーができず。「考えすぎて(ボールを)持ちすぎてしまった」と暗い声色で振り返った。そして「3年にもなって、1年みたいなミスをしてしまった」とつぶやくように続けた。大村監督は、鎌田の出来について「内容的にはマイナス20点くらい、良いとこなしです」と厳しい評価を口にした。

イージーなパスを決めきれない。「エース」は迷いの最中にいる

昨シーズンは前田公昭、齋藤陸(ともに卒業)のダブルエースRBに支えられて、うまく攻撃をマネージメントできていた鎌田だが、今シーズンは司令塔として苦しんでいる。強みのパスを思うように決められず、ボールをうまく進められない。伸び悩み、天王山の立命戦では1年生の星野に先発を譲る悔しさも味わった。エースとして持ち直したいが気持ちが空回って、うまく繋(つな)げられていないのが現実だ。

甲子園ボウルの先発について話が及ぶと、「この調子だったらその可能性(星野が先発)が高いでしょうね。まあ当然、あと2週間で状況が変わることもあるでしょうが」と大村監督。厳しい評価ながら、鎌田の奮起によるスタート争いに期待を掛けている。

厳しい言葉で試合を振り返った大村監督は、甲子園ボウルにむけて奮起を期待している

新戦力の活躍にも注目

甲子園ボウルは、3年ぶりに早稲田大学と対戦する。早稲田の印象と試合の展望について、大村監督はこう考えている。「(早稲田は)OLがいつも良い。法政もランで倒したと聞いているので、ウチのディフェンスがちゃんとボックス内(DLとLBの間)で捌(さば)けるのかが勝負になる。若いDLがどんだけやれるのか、ですね」

この日登場したメンバーとしては、「練習から良かった」と終盤に登場した井上誉之(たかゆき、1年、関西学院)に加え、けがで今季初登場の吉田圭杜(けいと、4年、関西学院)を「小さいけど強い」と評価した。一方で、波田和也(3年、箕面自由学園)と山村翔馬(3年、足立学園)らが出場を控えたDB陣については「雑ですね」と課題を口にする。近年の充実した戦力と比較したとき、デプスという意味でも迫力不足が否めない。これが実情だ。

初登場のRB井上は第4Qに2TDの活躍で、大村監督の頬を緩ませた

甲子園ボウルでは例年の「強い関学」が見られるか。12月18日はファイターズのカギを握る司令塔争いに加え、新たなタレントの活躍にも注目したい。

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