陸上・駅伝

特集:第99回箱根駅伝

法政大は箱根駅伝で総合5位以内めざす 2区予定の内田隼太「チームを加速させたい」

前回の箱根駅伝で、10区最終盤の劇的な逆転で3年ぶりにシード権を獲得した法政大学。

坪田智夫駅伝監督は「ほっとしたけれど、チームの状態は非常に良かったので、総合5位という目標に届かなかった悔しさもあります」と振り返る。

8年連続83回目の出場となる今回も、目標は同じく総合5位以内。12月11日に東京・町田市の多摩キャンパスで公開練習と個別取材が開かれた。坪田監督とエントリーされた16人の選手が、今季を振り返り、箱根に向けた意気込みを力強く語った。

主力選手が育ち、選手層の厚さは前回以上

前回の箱根大会の出走メンバー8人を含め、経験者は9人いる法政大だが、今年度のチームが始動した際、坪田監督は「戦力ダウンを感じて、少し心配していた」と明かす。

「昨年度の4年生で抜けたのは2人だけでしたが、2区の鎌田航生(現・ヤクルト)と9区の清家陸という、往路と復路の大事な区間を担った選手だったからです」

とくに前半シーズンは、新型コロナウイルス感染症の対応に苦慮したり、6月の全日本大学駅伝・地区選考会では14位で惨敗したりした。

それでも、選手それぞれにレベルアップし、指揮官は「春から夏、夏から秋にかけて、主力となる選手たちが育ってくれて、選手層も昨年以上に厚くなっていますので、今は戦力的な心配はありません」ときっぱり。

故障者も夏前にはほぼ復帰し、箱根駅伝エントリー選手上位10人の10000mの平均タイムは、前回の29分05秒10を上回る28分52秒19と過去最高タイムになっている。

前回の箱根は10位でフィニッシュし、シード権を獲得した(撮影・朝日新聞社)

前回1区で9位と好走した主将の内田隼太(4年、法政二)が、チームを力強く引っ張ってきた。

「1、2年目はずっとけがで、3年目は箱根駅伝に何とか出場することが目標になっていたので、今年は練習にプラスアルファをして強化していく」と考え、主要大会や箱根でしっかり戦える選手になることを目指した。

4月に5000mで13分39秒26の自己ベストをマーク。関東インカレ前に故障で離脱した時期があったものの、10000mは9月にマークした自己記録を11月に28分16秒68まで伸ばした。

その8日後の上尾ハーフマラソンでは1時間2分12秒と、他大学のエースにも引けを取らないタイムをたたき出し、結果を出すことで自信を深めていった。

急成長の松永 雪辱に燃える松本

今年に入って存在感を高め、坪田監督が「ポイントゲッターになれる選手」と高く評価するのが松永伶(3年、専大松戸)だ。

昨年度までは学生駅伝や予選会の出場はおろか、登録メンバーに名を連ねたこともなかった。

それが3年目の今季に一気にブレーク。

13分50秒45の自己ベストで6位に食い込んだ5月の関東インカレ5000mでは、ラスト2周を前に果敢なラストスパートを仕掛け、昨年の東京オリンピック3000m障害7位の三浦龍司(順天堂大学3年、洛南)に先行する場面も作った。

「故障から復帰したのが去年の6月で、すべての練習をできなかったので、駅伝シーズンもチームに貢献できませんでした。『挑戦』を自分のテーマに掲げた今年は、体調を崩すこともなく、練習を継続してできていることで力がついたと感じています」

9月に10000mで28分台に突入し、10月の出雲駅伝で学生駅伝デビューを果たした。

11月に10000mで28分34秒33まで自己記録を伸ばすと、同じ月の上尾ハーフマラソンでは、「7、8割程度で全力では行かなかった」と言いながら1時間2分03秒の法政大タイ記録をマークし、内田に競り勝つ勝負強さも見せた。

前々回の箱根では3区を担った松本康汰(4年、愛知)は、膝蓋腱(しつがいけん)の損傷で本戦を走れなかった前回の雪辱に燃えている。

「4年生として最後の箱根駅伝。トラックシーズンから頑張りたかったのですが、けがで3月ぐらいまで走れなかったので、とにかく3大駅伝でチームの目標が達成できるように、最後は笑って終わりたいという思いでここまでやってきました」

2004年の80回大会以来となるトップ5入りを狙う(撮影・小野哲史)

その言葉通り、1区を任された出雲では6位発進。過去最高タイ7位となったチームを勢いづけた。

2年前に走った箱根を「夢の舞台だったので『自分が箱根を走れるんだ』と、ふわふわした気持ちで臨んでしまった」と振り返るが、「今回は地に足をつけて、しっかり勝ちに行きたい」と冷静な気持ちで残りの日々を過ごしている。

状態よい選手たちに監督「区間配置で悩んでいる」

10日に16人のエントリーメンバーを決めたものの、坪田監督は、「そこから誰を外して10人にし、どのように区間配置をするかで、頭を悩ませている」という。

例年以上に特徴を持つ選手がそろい、各選手の状態がすこぶる良いのだ。

その要因は、練習はもちろん、食事やケア、睡眠などを一つ一つ積み重ねた結果に他ならない。

そうした中で、「2区と5区と6区はある程度、構想を固めています」と話し、2区は内田の起用を明言した。

「出雲(3区区間4位)でしっかりした走りができましたし、間違いなく1時間7分前半の走力がある」と絶大な信頼を寄せる。

内田自身も「前回が終わってから次は1区か2区で準備してきました。2区を任されたら、高校の先輩でもある鎌田先輩が去年作った法政大記録(1時間7分11秒)を塗り替えて、チームを加速させたい」と意欲をのぞかせた。

意気込む内田隼太主将(中央)、松永伶(右)と松本康汰(撮影・小野哲史)

5区と6区は、細迫海気(3年、世羅)と武田和馬(2年、一関学院)の前回経験者が有力候補。

指揮官からは「上りと下りで総合1位を狙ってこい」と伝えられており、前回1年生ながら区間2位と健闘した武田は、「57分台で区間賞を目指したい」と力を込める。

「1区から流れに乗りたい」というプランからは、松本や松永の往路起用が見えてくるが、他にも出雲で力走した扇育(4年、松浦)や小泉樹(2年、国学院久我山)ら、安定感が持ち味の実力者が控える。

宮岡幸大(2年、宇和島東)も初ハーフだった上尾ハーフマラソンを1時間2分28秒で走破するなど、ここに来て急浮上してきた選手だ。

強豪校がひしめく箱根駅伝において、総合5位以内という目標は簡単ではない。

しかし、「そこに挑戦できるだけのチームになってきた」と坪田監督。

「前回は土壇場の逆転で驚かせたかもしれませんが、もっと上の順位で、応援してくださるみなさんに、『法政大学、頑張っているな』と思ったり、元気や勇気を持ったりしてもらえるような走りをしたいと思います」

法政大が目標を達成すると、総合4位だった2004年の80回大会以来、19年ぶりのトップ5入りとなる。戦力充実のオレンジエクスプレスは、「発車」の準備を着々と整えている。

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