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特集:第77回甲子園ボウル

7度目甲子園ボウル出場の早稲田大 関学に「4TD取られず、完封されず」挑む日本一

早稲田は笑顔で日本一を取りに行く(すべて撮影・北川直樹)

アメリカンフットボール全日本大学選手権決勝・甲子園ボウル

12月18日@阪神甲子園球場
関西学院大(関西) vs 早稲田大(関東)

アメリカンフットボールの全日本学生選手権決勝・甲子園ボウルが12月18日に行われる。試合前日の17日、早稲田大学が甲子園球場での前日練習を行い、高岡勝監督、亀井理陽主将(4年、早稲田実業)ら主力となる選手が会見に臨んだ。

高岡勝監督「3回目のチャレンジ、次につなぐ」

激戦の関東TOP8を全勝で勝ち上がり、早稲田が3年ぶりに甲子園ボウルの舞台に帰ってきた。チームとして7度目、監督として3度目の甲子園ボウル出場を果たした高岡監督は、「コロナ禍で経験値が少ない中、苦しんできた3年間の多くのメンバーの思いが詰まっている。戻って来られてうれしい」と語った。

試合の展開について聞かれると、「関学さんがおっしゃっていた『4TD』を取られず、完封されず、星野(秀太、1年、足立学園)君にMVPを取られず、と言おうと思っていましたが」と言い、「結果はわからない。(TDを)たくさん取られて負けるか、踏ん張って勝てるかもしれない。亀井のチームなので、全て出し切って結果どうなるかですね。結果よりも1プレー1プレーを見ていきたい」と続けた。

高岡監督は報道陣に生年月日を聞かれ「内緒です!」と即答し場を和ませた
5連覇狙う関西学院大学「4TD、完封で日本一に」 18日、早稲田と甲子園ボウル

関西のチームとは春に関西大学、立命館大学と戦って、レベルの高さを感じた。関学の印象については「守備のフロントがすごく注目されていますけど、攻撃も強い。かみ合ったときに爆発的な力がある。オフェンス、ディフェンス、キッキングすべてでチャレンジの気持ちを大事にしたい」と話す。

今年の早稲田はエースが不在。攻撃は花宮圭一郎(3年、足立学園)を中心にした看板のRB陣がどれだけ走れるか。WR佐久間優毅(4年、早稲田実業)がどれだけスピードに乗れるかがポイントとなる。守備はレスポンスをしっかりと守り、役割を完遂してハードヒットを浴びせられるか。全員が各々の仕事を着実にこなすことが大事だと見ている。警戒する関学の選手にRB前島仁(3年、関西学院)の名前を挙げ、「マルチプレーヤーである彼へのアジャストがカギになる」と話した。

「鳥内前監督の本を読ませていただいたり、お話させていただき、関学さんの培われてきたアイデンティティについて、勉強してきました。色々見聞きするに、総合力でどう戦うのかが、すごい大事だと考えています。監督として過去2回跳ね返された中で、3回目のチャレンジということで、新しいヒントをもらって次へと積み重ねてつないでいきたい」と決戦への意気込みを語った。

亀井理陽主将、清宮幸太郎から「絶対日本一に」

主将の亀井は、早実野球部時代を含めて3度目の甲子園となる。「3回目なのでリラックスして練習できました。芝の感覚はよく、思ったよりも影響されずに動きやすかった」と振り返った。甲子園のグラウンドに立つのは、早実野球部員として春の選抜高校野球大会に出場した2017年以来。6年分の思いがある。

早稲田大・OL亀井理陽主将「一丸」で創部初の日本一に 理想の主将は清宮幸太郎

「どんな場所でもどこが相手でも、1年間自分たちがやってきたことをやろう」と、関学うんぬんではなく、自分達の取り組みにフォーカスすることが大事だと強調してきた。その上で「関学に勝つためには、強力なDFを打ち崩さないといけない。OLがどれだけ前に奥に押せるかが大事になる。踏ん張って最後まで足をかき続け、道をこじ開けTDを取る」と力強く語った。

「日本一!」と仲間を鼓舞する亀井。吐く息は白い

亀井自身はOLの要であるLTを務める。トイメンは関西学生リーグ最優秀選手賞を受けたトゥロター・ショーン礼(3年、関西学院)が相手となる。「関学DLの中でもトゥロター君は強い印象がある。特別なことではなくやってきたことを出し切り、すべてをかける」と話した。

東日本代表決定戦の東北大学戦に向けて、チームとしてふがいない練習をしてしまった。亀井としては珍しく、仲間に厳しい言葉を浴びせたという。その結果、3、4年が前に出てリーダーシップを発揮し、日本一に向けていい雰囲気でやってこられた。悲願達成へ抜かりはない。

早実野球部の1学年先輩にあたり、プロ野球の北海道日本ハムファイターズで活躍する清宮幸太郎には「絶対日本一になってこい」と言われた。「他の早実メンバーも明日は見にきてくれる人が多いので、躍動する姿を見せたいと思う」と決意を語った。

エースQB国元孝凱「一喜一憂せずに」

エースQB2年目の国元孝凱(3年、早大学院)は、甲子園ボウルを観客席から4度観戦したことがある。実際にフィールドで練習し、「立ててうれしい。芝の感覚は思っていたより良くて、いいパフォーマンスができそうだと感じた」と話した。

関学については「自分たちが用意してきたことをしっかり出し切らないと勝てる相手ではない。そういう中でビッグプレーを引き出して、こじ開けて勝ちたいと思っている」と言い、「うちのOLも良いが関学のフロントも強いと思っている。ランだけではなく佐久間さんへのパスもしっかり決めていきたい」と話した。

明日は雨が上がる予報。国元は「雨に苦手意識はないですが、ホッとしている」と話した

3年前の甲子園ボウルを観戦し、「柴崎(哲平、現・オービック)さんがあれだけたくさんパスを決めても勝てないのか」と感じた。柴崎さんからは「甲子園の雰囲気にのまれないで、しっかり自分達のプレーをしよう」と話をされた。「(関学の選手は)リードされても焦らずにロボットみたいだと衝撃を受けた、と先輩から聞いた。取ったり取られたりがあると思うが、一喜一憂せずにやっていきたい」と考えている。

甲子園ボウルは、OBである父・孝臣さんが立てなかった舞台でもある。父からは「しっかり楽しんで自分達のプレーをフルでしてこい」と言われた。国元は「関学さんが言っていた『28得点』以上を獲得して勝ちたい」と必勝を誓った。

競技歴9年目の花宮圭一郎、初の日本一を

RBの中核を担う花宮圭一郎は、「球場に入って感動した。東京ドームや横浜スタジアムなども経験したが、雰囲気がやはり違うな」と甲子園の印象を語った。

浪人中の2019年、甲子園ボウルをテレビで見て「ブレナンさんらが追い上げたが、それでも勝てないのか」と衝撃を受けた。あのときの憧れの舞台を明日は自分が踏み、走る。

ラグビー経験者の父から「コンタクトスポーツは男が磨くぞ」と言われて始めたアメフトは、フラッグフットボールを含めて9年目。初の日本一を勝ち取るため、「ファーストタックルで倒されず、60分間足をかき続けてダメージを与えるようなプレーをしたい」と話す。

RB陣の中で一歩抜け出した存在の花宮。関学守備を切り裂けるか
早稲田大・花宮圭一郎 持ち前の負けん気で、エースRBの座と甲子園ボウルつかむ

野球部時代に憧れた甲子園、WR佐久間優毅は「ワクワク」

亀井と同様、早実野球部出身の佐久間優毅は「ずっと野球をやってきて、憧れの甲子園の舞台にこられてワクワクしている」と気持ちを表現した。野球部時代はベンチ入りできず、観客席から試合を見た。大学1年の2019年は、番号はもらえたが試合には出ていない。エースWRとして最終学年を迎え、期する思いは強い。

今年からチームに合流した宜本潤平WRコーチ(立命大卒、現・ノジマ相模原)からは、徹底してブロックの指導を受け、関西と対抗するにはどうすべきかという教えを受けてきた。「いままでの練習がぬるいと感じるくらい。WRユニットがガラリとかわった」と取り組みに手応えも感じている。

「関学のDBはプレースピードが速いと感じている。SFの中野君が勝負どころでインターセプトしてるし、ボールに対するリアクションが速い。ただ、関学どうこうではなく自分達のすべきことを全うして1対1で勝ち、ボールをキャッチする。全員でこれをやっていく」

明日は高校野球では踏めなかった甲子園のフィールドを駆けてボールを捕る

DB間瀬琢巳が守備のキーマンに

関東TOP8で最多4インターセプトを決めた間瀬琢巳(4年、早大学院)。WRユニットが充実する関学に対し、早稲田守備のキーマンとしての活躍が期待される。「自分はWRとQBの位置関係をみて間に入るのが得意。仲間を信じてビッグプレーがどれだけ出せるか」と自覚している。

甲子園のフィールドについては「スパイクの刺さりがよくて、DBとしてはやりやすい」と良い感触を持てたという。

「QBの鎌田は思い切りが昨年よりなく感じてるが、甲子園には仕上げてくると思っている。WRは誰が出てきてもすごいが、特にブロッカーとしても河原林君を警戒している」と関学の印象を話す。「星野君は思い切りが良く足も速い。鎌田君と特徴が異なるので、しっかりと意識して対応していきたい」。間瀬が関学のパス攻撃をいかに防ぐかが、早稲田守備の重要なカギを握っている。

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