陸上・駅伝

東洋大・松山和希 全国都道府県男子駅伝で復帰「チームに対してなにかできる選手に」

福島県チームのアンカーを務めた松山(すべて撮影・藤井みさ)

1月22日に開催された全国都道府県対抗男子駅伝で、東洋大学の松山和希(3年、学法石川)は福島県チームのアンカーとして走った。昨年6月の全日本大学駅伝関東地区選考会以来となる公式戦。復帰途上の松山に、今の思いについて聞いた。

現在の状態は「5割程度」

福島県は陸上が盛んで、数々の名ランナーを生み出してきた県でもある。チームは4年前の第24回大会で初優勝を飾っている。今回も3000m8分11秒12の中学記録を持つ増子陽太(鏡石中3年)がエントリーされたこともあり、注目を集めていた。

だが序盤の1区から区間25位と流れに乗りきれず、徐々に順位を上げたものの、6区の増子に襷(たすき)が渡った時点では14位。増子は区間トップの8分36秒で走り順位を9位まで押し上げた。しかし増子から襷を受け取った松山は、ペースが上がりきらない。スタート時点でトップと2分27秒だった差は、5.2km地点で2分53秒に広がる。その後も徐々に順位を落とし、トップとは3分24秒差の16位でゴール。松山は39分08秒で区間39位だった。

ゴール時は苦しそうな表情を見せた

福島県チームのメンバーに選出された松山は今回、公式レースとしては半年以上ぶりに走った。高校時代お世話になった福島の人たちにも恩返しするつもりで出走を決めた。しかし復帰途上で、状態としては5割程度だった。優勝を狙えるメンバーがそろっていると考えていたが、かみ合わなかったところがあったと話す。「序盤からうまく流れに乗れなかったのもありますし、やっぱり終盤巻き返しがきかなかったところもあります。自分を含めてどこかしらミスが目立ったのが、今回の敗因だったかなと思います」と反省の言葉が出た。

3大駅伝すべてに出走できず感じたふがいなさ

松山は1年から2年連続で箱根駅伝2区を担当し、1年時は区間4位、2年時は区間5位と好走した。昨年2月の実業団ハーフマラソンで1時間00分43秒のタイムをマークすると、3月の学生ハーフマラソンでは3位で表彰台にのぼり、5月の関東インカレ10000mでも6位入賞。6月の全日本大学駅伝関東地区選考会でも、各校のエースが集まる4組で日本人トップの5位。東洋大のエースとして、駅伝シーズンでの活躍も期待された。

しかし故障の影響で、10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝はメンバー外に。故障から復帰後は、それまでの分を取り戻そうと追い込みすぎてしまい、体調を崩したために箱根駅伝のメンバーにも入れなかった。「初めて外された時は、やっぱり本来であれば走らないといけないところを後輩に任せてしまって、負担を非常にかけてしまったので、申し訳ない気持ちが大きかったです」

箱根駅伝の当日は、往路は2区の石田洸介(2年、東農大二)の給水、復路は10区の清野太雅(4年、喜多方)の給水を務めた。特に区間19位と厳しい走りとなった2区の石田には、「諦めず前を追っていこう」と声をかけたという。松山と練習をともにすることもある石田は、今シーズン思うような走りができずに苦しんでいるように見受けられる。松山は「彼なりに悩んでいるところがあると思うんですが、そこを乗り越えればもうひと段階強くなれると思うので、しっかり信じて頑張って欲しいと思います」と力のある後輩への期待も語った。

松山と練習をともにする石田(左)。2人が実力通りの走りができれば流れが変わってくる

チームは往路の戸塚中継所では19位まで沈んだものの、最終的には10位で18年連続となるシード権を確保。しかし松山の中には、「自分が走っていればもっと良い順位だったかも」という思いが残った。「まだまだ自分のふがいなさが目立った大会だったかなと思います」と口にする。

本当の「エース」になるために

4月に4年生となる松山。最終学年に向けての意気込みを尋ねると、「やっぱりまだまだエースとしてはふさわしくないと思うので、チームに対してなにかできる選手になりたいなと思っています」と答えた。行動力、発言力など、周りを引っ張っていく力がまだまだ自分に足りていないと感じている。「走りだけではなく、日頃のそういう部分から目標になれるような、そういう選手を目指していければと思います」

1学年上で今年卒業する4年生は、シーズンの序盤からチームを引っ張っていこうという意識が強かった。チーム内の競争も活発化し、関東インカレでは長距離種目全種目で入賞、全日本大学駅伝関東地区選考会では2位通過といい流れをつくり出していた。「それを見習って、自分たちもしっかりまとめていかないとと思います。まずはこの意識を学年全体、(新)4年生で守っていければいいなと思っています」。新主将や新チームの目標は、この後、学年ミーティングなどをして決めていく予定だ。

個人としては、「駅伝で区間賞などのタイトルを取れていないので、最終学年こそはしっかり優勝に貢献できる走りをしていきたい」と話す松山。東洋大の巻き返しには松山の存在が不可欠だ。完全復活し、100%の走りを見られる日を楽しみに待ちたい。

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