ラグビー

東福岡の高木城治と報徳学園の村田大和 「花園」決勝の両SH、そろって京都産業大へ

高校日本代表候補合宿に参加した東福岡の高木(左)と報徳学園の村田(すべて撮影・斉藤健仁)

12月27日から1月7日にかけて、大阪・東大阪市花園ラグビー場で行われた全国高校ラグビー大会。決勝は東福岡(福岡)が、持ち前のアタックだけでなく、この1年間、磨いてきたディフェンスで優勢に立った。高校「3冠」がかかった報徳学園(兵庫)を41-10で下し、6シーズンぶり7回目の栄冠に輝いた。

進学前に、高校日本代表候補合宿で再会

そんな両チームのアタックの中心である「9」番を背負ったのが、身長164cmのSH高木城治(東福岡)、168cmのSH村田大和(報徳学園)の2人だ。「花園」が終わって1カ月あまり。2月4日~6日、3月に予定されているアイルランド遠征に向けて、東京・日本大学アスレティックパーク稲城で行われた高校日本代表候補合宿に参加していた2人に、話を聞いた。

モスグリーンの伝統校のアタックをリードし、プレースキッカーも務めた東福岡の高木は決勝について、「ヒガシ(東福岡)のやりたいことが全部できたなという感じです!」と笑顔を見せれば、報徳学園の村田は「相手にやりたいことやられて、僕たちがやりたいことが全くやれなかった試合でした……」と悔しい表情を見せた。

「花園」優勝を決めた瞬間、高木は両拳を突き上げた

また高木は高校3年間を振り返り、「最後に優勝できたのは、俺のおかげではなく、チームのおかげです。中学のときは花園に1年生から出たいと思ってヒガシに進みましたが、1,2年で出られなくて、3年生でやっとメンバー入りして、しっかり花園に出られて優勝して良かった」。村田は「報徳学園は自分たちで考えて行動するチームで、ラグビーも私生活も自由で楽しかった!」と破顔した。

優勝は「チームのおかげ」と振り返る

大学ラグビー界で一番厳しいチームへ

高木は4歳から兄(開地、九州共立大2年)の影響で福岡・かしいヤングラガーズで本格的に、村田は4歳から大阪・吹田ラグビースクールで競技を始めた。世代トップを争うSHの2人は、すでに中学の全国ジュニア大会でも福岡県代表と大阪府スクール代表に選ばれ、決勝で対戦していたため、顔見知りで仲が良かったという。中学時代も福岡代表が14-5で優勝しており、「僕は負け続きです」(村田)。

報徳学園は「自分たちで考えて行動するチーム」と語った村田

4月からは2人とも、関西王者の京都産業大学に進学する。昨夏ぐらいには互いにそのことを知り、驚きとともに互いに「大学ではライバルになるな」と意識していたという。

それぞれの同級生は、関東の強豪大学に進学する選手が多い中、京都産業大を進学先に選んだ理由について、高木は「SHとしてはFWの強い、波に乗っているチームから声がかかってうれしかった。関東の強豪から声はかからなかったので、関東の大学を倒せるチームだと思った」。村田は「僕は関東(の大学)にいこうと思わなかったです。関西で一番のチームに行きたかった」と話した。

京都産業大と言えば、伝統的にFWのスクラムとモールが強く、大学ラグビー界で一番厳しい練習をすることで知られている。高木は「練習がきついのは勝つためなので構わない」。村田も「練習が厳しいことは覚悟しています!」とキッパリと答えた。

高木は勝つためなら、練習がきついことは全く問題ない
村田は「関西で一番のチームに行きたかった」と京産大を進学先に選んだ

チームに求められていることを遂行

高校時代と比べて他の選手とのフィジカル差があるため、入学後はまず「しっかり体作りをしたい」と声をそろえた。
その上で高木は「パスさばきやキック、FWの選手を使うところなど、自分も持ち味を伸ばしつつ、チームに求められていることを遂行できるように技術を上げて、最初から試合に出たい」。村田も「コミュニケーションとディフェンス、そしてテンポが持ち味だと思っていますが、自分をしっかり持って、チームに求められることに応えたい」と話す。

3月中旬から、4年ぶりの海外遠征となった高校代表に高木は選ばれ、村田は落選してしまった。コロナ禍の影響で、U17日本代表の活動がなかったため、高木は初めて桜のエンブレムのついたジャージーを背負い、U19アイルランド代表に挑む。村田は悔しさをバネに、国内で研鑽(けんさん)を積んで次のステージに備える。

最後に大学での目標を聞くと、高木は「高校代表だけでなく、U20日本代表などの代表活動にも絡みたい」。村田は「スタメンを取れるように1年からアピールしたい」と語気を強めた。

2シーズン連続で大学選手権ベスト4に入っている京都産業大には、U20日本代表候補に選出されたSH土永旭(2年、光泉カトリック)ら実力のある先輩選手も多い。「2人で先輩を倒そう!」と話している高木と村田2人は、切磋琢磨(せっさたくま)しながら、赤紺ジャージーの9番を目指す。

in Additionあわせて読みたい