野球

元侍コーチ高代延博のWBC決勝スコア予想 サプライズ起用にも期待

準決勝のサヨナラ勝ちで喜ぶ侍ジャパンのメンバー(撮影・朝日新聞社)

 20日(日本時間21日)に米フロリダ州のローンデポ・パークで行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準決勝「日本―メキシコ」は、大方の予想通り激しい戦いになりました。驚いたのが、メキシコ代表のレベルが上がっていたこと。私が代表コーチをしていた当時は、力任せの粗い野球という印象でしたが、イメージは覆されました。

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 日本の先発・佐々木朗希(ロッテ)は打線が2巡目に入ると捉えられました。追い込んでもファウルで粘られ、簡単に凡打に仕留められませんでした。低めのフォークも見逃されはじめ、四回はフォークが高くなったところを狙われました。

 打者は、ストライク先行で淡々と投げ込むサンドバル攻略に苦しみました。メキシコは救援の力が落ちるので、日本には我慢すれば終盤に勝負できるという計算があったと思います。案の定、制球の悪い投手が次々と出てきた。得意のつなぐ攻撃でリズムをつくりやすくなりました。

 この試合、日本は全得点に四死球が絡みました。八、九回は、定石通りの代走投入で、逆転劇への流れを呼び込みました。中野拓夢(阪神)、周東佑京(ソフトバンク)は、ヒット1本で生還できる走力を持っていますから、当然の一手でしたね。

 いよいよ、14年ぶりの決勝戦です。しかも、相手は米国というこれ以上ないシチュエーション。米国は中1日、日本は連戦での試合になりますが、ここまできたら日程は関係ない。むしろ、日本は村上宗隆(ヤクルト)のサヨナラ打で、勢いづいて臨める格好になりました。

 先発投手は今永昇太(DeNA)。米国はおそらく大リーグでプレーするダルビッシュ有(パドレス)のデータを持っていると思います。それがほとんど無い今永ならば球筋もイメージされにくい。空振りを奪えるストレートも持っているし、面白いのでは。

 ズバリ、決勝が終わってみれば5―4、6―5のようなスコアになるのではないでしょうか。両チームともに、ピタッと抑え込むような試合展開がイメージできない。

 エンゼルスの大リーグの開幕戦までのプランニングは分かりませんが、1点リードで最後は大谷翔平がマウンドへ向かう――といった「サプライズ」があるかもしれません。相手にそう思わせるだけでも、重圧がかけられます。

 たかしろ・のぶひろ 2009、13年WBC日本代表内野守備走塁コーチ。日本ハム、広島で主に内野手としてプレー。引退後は中日、阪神などでコーチを務めた。野球評論家を経て、現在は大阪経済大硬式野球部監督。

=朝日新聞デジタル2023年03月22日掲載

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