日本大学・友田佑卓　村上宗隆の背中を追う新主将　「大学4冠」掲げ、プロをめざす

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日本大学は2023年度の目標に春秋の東都リーグ優勝と全日本大学選手権優勝、明治神宮大会優勝の「大学4冠」を掲げる。新主将の友田佑卓（4年、九州学院）は、二塁への送球タイムが1.8秒台の速さとフットワークのいい守備、打ってはパンチ力が魅力の捕手だ。侍ジャパンの中心打者としてWBC優勝に貢献した村上宗隆（現・東京ヤクルトスワローズ）は高校時代の2学年先輩にあたる。村上からかけてもらった言葉は、今もはっきりと記憶に残っている。

村上のアドバイスで打てたタイムリー

友田が九州学院に入学した当時、村上はクリーンアップを打ち、主将と正捕手としてチームを引っ張っていた。その村上のことを友田は「宗さん」と呼ぶ。「宗さんは、とにかく練習をする人でした。全体練習のあとも室内練習場でずっと打ってました。コミュニケーションを取るのがうまくて、自分ら1年生にもよく声をかけてくれて。そのころ、すでに全国から注目される選手でしたから、いつか自分も宗さんみたいに注目される選手になりたいなと思っていました」

夏の熊本大会で、友田は1年生ながら三塁手のレギュラーとして出場した。準決勝の文徳高校戦で村上にかけてもらった言葉を今も鮮明に覚えている。

「満塁で自分に打席が回ってきたんですけど、そのとき宗さんが自分のところに走って来て『三振でもいいから思い切り振れ』と声をかけてくれたんです。宗さんにアドバイスをもらって気持ちが楽になって、初球をしっかりと打ててタイムリーになり、試合も勝つことができました」

その年のプロ野球ドラフト会議で、村上はスワローズから1位指名を受けた。報道陣に取り囲まれ、胴上げされる先輩の姿を見て、友田も「自分もプロへ行きたい」という気持ちを強くした。

紅白戦で突然、捕手にコンバート

内野手だった友田が捕手にコンバートされたのは2年になる前、紅白戦でのことだった。「オーダー表の捕手のところに『友田』って書いてあって。間違いかなと思ったんですけど、監督に聞いたら間違いじゃなかったんです」

突然のコンバートだった。「なぜ自分が捕手なんだろう？」という戸惑いもあったが、チームメートからミットを借り、必死に捕手の役割をこなした。

吉本亮や高山久、村上らをプロの世界へと送り出してきた坂井宏安監督（現・彦根総合高校長）は友田の捕手としての適性を見抜き、コンバートのタイミングをうかがっていたのだろう。目指していた甲子園の土を踏むことはできなかったが、高3夏を迎えるころ、友田は強肩強打の捕手として注目される存在になっていた。ドラフト前に同期の遊撃手・川野涼多（埼玉西武ライオンズ）はプロ志望届を提出。友田もプロへ進みたい気持ちを持っていたが、「まだ自分は捕手としての経験が浅い。大学でもう1回捕手について勉強して、4年後、プロを目指そう」と日本大学への進学を選んだ。川野は西武から4位指名を受けた。「おめでとう。俺も4年後、行けるように頑張るから、待っとけよ」。友田は川野とプロでの再会を約束した。

個人目標は「ベストナイン」

日大では2年春に正捕手の座をつかみ、2部優勝に貢献。チームは入れ替え戦を制し、2017年秋以来となる1部復帰を果たした。3年生になった昨年は6月、12月と侍ジャパン大学日本代表合宿にも参加し、ドラフト候補としての熱視線を浴びる。友田は「フットワークと捕ってからの速さが自分の長所。二塁送球タイムが1.8を切ることを目指しています」と自身のアピールポイントを語る。

同じ大学生の捕手として強く意識するのは、大学日本代表の経験もある上武大学・進藤勇也（4年、筑陽学園）だ。「進藤はバッティングもすごくて、肩も強い。今のところ自分が勝っているところはないんですけど、これから負けないように頑張ります」とライバル心を燃やす。

大学2年の1部復帰後、日大は3季連続の5位で、なかなか上位に浮上できずにいる。今年は「圧倒」をチームスローガンに掲げ、「大学4冠」を目指してシーズンに臨む。投手陣では左腕の山内翔太（3年、習志野）、右腕の松村亮汰（3年、鳥取城北）が左右の両輪となる。打線は昨春に新人賞を獲得した星憂芽（2年、日大三）らがチャンスメイクし、昨秋ベストナインの林拓馬（4年、大垣日大）、長打力のある友田、花﨑成海（4年、広島商）、高垣広大（4年、山梨学院）らがかえす役割を担う。

友田は春に向けて、こう意気込む。「主将として、プレーや行動、態度でみんなを引っ張っていきたいと思います。打線では5、6番あたりを打つことになると思うので、打点をしっかり挙げなければいけない。守備面では投手陣をうまくリードして、点を取られたとしても最少失点で抑えていけるようにしたい。ベストナインを目標にしています」

村上の弟・慶太が加入

チームには「宗さん」の弟・村上慶太（1年、九州学院）が入って来た。慶太は兄と同じ左打ちの強打者として昨夏の甲子園で活躍。プロ志望届を出したがドラフトで指名されず、4年後のプロ入りを目指して気持ちを切り替え、日大へ進んだ。兄譲りの長打力には大きな期待が寄せられている。

「プロからの指名がなかったのは慶太にとっては残念なことでしたけれど、日大に入ってきてくれて僕はうれしいです。飛ばす力があるし、自分をしっかり持っているところなんかは、やっぱり宗さんの弟だなと思います。一緒にやれるのが楽しみです」

主将・友田佑卓と後輩・村上慶太。2人がこれから紡ぎ出す物語にも注目したい。