専修大学・介川アンソニー翔 開志国際を頂点に導いたルーキーがデビュー、成長を実感
昨年末のウインターカップで初優勝を果たした新潟・開志国際高校の中心選手だった介川アンソニー翔(1年)が、関東大学選手権(スプリングトーナメント)で専修大学の一員としてデビューを飾った。まだプレータイムは限られ、ポジションも高校時代のスモールフォワード(3番)から、今大会はパワーフォワード(4番)としてプレーしていた。その分、自身のプレースタイルの引き出しが多くなり、成長を実感する日々を送っている。
途中出場から活躍する難しさを痛感
日本大学に69-64で競り勝った7日の3位決定戦。途中出場となった介川に、試合の流れを引き寄せる大きなプレーが出た。第4クオーター(Q)の残り3分余り。オフェンスリバウンドにしっかり絡んだ結果、マイボールとなり、介川はコーナーへ。ボールを受け取ると迷いなく3ポイントシュートを放ち、沈めた。ベンチは大盛り上がりとなり、日大はたまらずタイムアウトを取った。「監督からもコートに入ったら『思いっきりやれ』と言われていたので、あそこは自信を持ってシュートを打ちました」
開志国際高校時代は、40分間ほぼフル出場することが多かった。そのため大学でプレーする現在は試合の途中から急に出場したとき、いきなり活躍を求められることに難しさを感じていた。「前日もその前も、ベンチから試合に出て、体が温まるのに時間がかかっていました。(この日は)前日よりは最初から自信を持てました」
前日の準決勝は、最終的に優勝した日本体育大学との対戦。介川は追いかける展開となった第2Q途中から出場し、通算で13分弱プレーした。「途中で流れが悪くなっているときに、リバウンド面を監督が信用してくれて出してくれました」
期待されたリバウンドは、オフェンスとディフェンスで一つずつ。得点はフリースローの1点のみで「自分でいかないといけないところで、パスしてしまった。もっと試合に慣れて自信の部分を伸ばしたい」と課題を挙げていた。それから一転、翌日の3位決定戦は終盤にダンクシュートも飛び出した。
開志国際と専修大は雰囲気が似ている
介川が昨年のウインターカップで大活躍した姿は、まだ記憶に新しい。計5試合で119得点をたたき出し、大会のベストファイブに選ばれた。決勝では夏のインターハイ決勝で試合終了間際に3ポイントを決められ、1点差負けを喫した福岡第一にリベンジ。介川は両チームを通じて最多の30得点を稼いだ。専修大へは「2時間ぐらいと短い練習時間の中で集中しているところが開志と似ていて、能力も高いチームで楽しそう」という理由から進学した。
「大学は寮と校舎(商学部)が違って、その両立は難しいところもあります。けどバスケットをする環境はすごくいいです。体育館にはいつでも行けますし、ウェートトレーニングもいつでもできます」
高校時代はインサイド、アウトサイド関係なく得点を狙うオールラウンダーだった。ただ現在求められているのは、196cmの身長を生かして主にインサイドから得点を挙げることやリバウンドを取ること。「今は得点をバンバン取るのではなくて、地味なところで頑張ってます」と介川。自分本位にオフェンスを仕掛けるだけでなく、仲間を生かすためのプレーが増え、頭を使うことが増えたと言う。
「今までは3番しかできなかった。けど、4番は3番よりもチーム全体を見て、スペーシング(他の選手との距離感)を色々考えないといけないポジションです。地味ですけど、頭を使いながらリバウンドに飛び込んだり、思い切り攻めたりしています」。今後、介川が再び3番に戻る可能性は大いにある。そのときに4番を経験したことが生かされる場面も出てくることだろう。
早くも日本学生選抜チームに選出
大学でのプレーは始まったばかりだが、フィジカルの強さは「通用できている」と自信が芽生え始めている。「あとはスピード、瞬発力がまだまだ足りないと思うので、その辺りを今は強化しています」。今大会を経て、少しずつプレータイムも増えてきており「大学でも試合にもちょっとずつ慣れてきて、今になって自分の役割もはっきりと明確になりました。あとは自分の力を発揮するだけです」。
介川はまだ1年生ながら、5月19日から韓国・ソウルで開かれる「第44回李相佰盃日韓学生バスケットボール競技大会」の日本学生選抜チームに選出された。また6月には、主力として期待される新人戦も控えている。「もっと経験を積んで、チームに貢献できるプレーヤーとして戦いたい。新人戦は自分が得点を稼ぐ役になると思うので、ディフェンスも頑張って、リバウンドも取って、たくさん動き回りたい」。世代ナンバーワンプレーヤーから、国内を代表する選手へ。まずは大学で、確実に一歩を踏み出した。