陸上・駅伝

特集:第102回関東学生陸上競技対校選手権

駒澤大の赤星雄斗と山川拓馬が、ハーフ2部でワンツーフィニッシュ「王者のプライド」

レース後、お互いをたたえる駒澤大の赤星(左)と山川(すべて撮影・井上翔太)

第102回関東学生陸上競技対校選手権 男子2部ハーフマラソン決勝

5月14日@相模原ギオンスタジアム(神奈川)

1位 赤星雄斗(駒澤大4年)1時間3分24秒
2位 山川拓馬(駒澤大2年)1時間3分27秒
3位 吉田凌(創価大3年)1時間3分46秒
4位 平林樹(城西大3年)1時間3分50秒
5位 近田陽路 (中央学院大2年)1時間3分50秒
6位 佐々木亮輔(神奈川大4年)1時間4分10秒
7位 高山豪起(國學院大2年)1時間4分10秒
8位 小林大晟(帝京大3年)1時間4分11秒

5月14日にあった関東インカレ最終日の男子2部ハーフマラソンは、駒澤大学勢がワンツーフィニッシュを飾り、改めて長距離種目の強さを示した。優勝した赤星雄斗(4年、洛南)が「箱根王者のプライドを持って走った」と言えば、2位に入った山川拓馬(2年、上伊那農)も「他大学には負けないという目標を持っていた」。今年の箱根駅伝優勝メンバーらしい力強い走りだった。

赤星「4年生の意地で、後輩には負けられない」

レース序盤は山川が引っ張った。「前半は控えて、後半勝負というプランを相談していたんですけど、前の方に出てしまった」と山川。一方の赤星は「ある程度スロー(ペース)になってくれたのでよかった」。通過タイムは5kmが15分5秒、10kmが30分27秒。赤星は冷静に、集団の中で勝負どころを見極めていた。

相模原ギオンスタジアムを飛び出し、女子美術大学の周りを12周して、競技場に戻ってくるコース。残り3周(1周約1.58km)付近で、並走していた1部トップの山梨学院大学の留学生ブライアン・キピエゴ(1年)のペースが上がったところで、赤星が反応した。「余裕があったのでついていった。周りもきつそうな顔をしていたので集団がばらけてくれたらと思った」と赤星。残り2周付近で一度は山川に抜き返されたというが、残り1周で再びペースアップ。山川の追走を振り切り、1時間3分24秒でゴール。続いて山川が3秒差で2位に入った。

山川の追走を振り切り「4年生の意地」を見せた赤星

レース後、山川は「1回ペースを上げていけるかなと思ったが、持久力やスピードが足りなかった。きれいに赤星さんにスパートをかけられて負けてしまいました。まだまだ実力不足です」と苦笑い。対する赤星は「山川は練習から強くて粘りもある。不安というか、負けそうだなと思ったんですけど、やっぱり4年生の意地で、後輩には負けられないなと思いました」とホッとした表情を見せた。

今季は「誰かではなく全員」

2人とも今年の箱根駅伝に出場し、悲願となる学生3大駅伝「三冠」に貢献した。山川は1年生ながら山登りの5区(20.8km)を任され、1時間10分45秒の区間4位。往路優勝のゴールテープを切った。赤星も復路の8区(21.4km)で、1時間4分37秒。こちらも区間4位と安定した走りを見せた。

実はこの日のハーフマラソンは、2人とも万全の状態で迎えたわけではなかった。山川は3月にヘルニアで腰を痛め、本格的に練習を再開したのは5月上旬からだった。赤星も4月末にOBの田澤廉(現・トヨタ自動車)らとの合宿に参加し、その疲労が抜け切れていなかったといい、「怒られるかもしれないけど、入賞をめざしていた」とレース後に打ち明けるほど。そんな状態でも結果を残せるところが、強豪校で活躍する実力者の証しと言えるだろう。

決して万全の状態でこの日を迎えられたわけではなかった

この春から赤星は最上級生となり、山川には後輩ができた。昨季は絶対的エースの田澤と主将を務めた山野力(現・九電工)に引っ張られるような形で、チームはまとまっていった。ただ、今季は赤星が「誰かではなく全員」と言うように、チーム一丸という意識が強い。さらに、篠原倖太朗(3年、富里)や佐藤圭汰(2年、洛南)がトラックで好成績を収めるなど、チーム内の競争は今季も激しい。山川は「駅伝メンバーに選ばれるために誰よりも練習して実力をアップさせないと。気持ちで負けていたらいけない」と息巻く。

山川「箱根駅伝5区にもう一度挑戦したい」

2人の目標は明確だ。ロードが得意な赤星はトラックで好タイムを出したいと考えているといい、「10000mで最低28分台、5000mで13分40秒台」を掲げた。山川も5000mで13分45秒を切りたいとしたうえで、「箱根駅伝の5区にもう一度挑戦したい。前回は区間4位だったので、区間賞と区間新記録をとりたいです」。箱根を経てひとまわり成長した彼らが、今季も第一線で常勝軍団を支えてくれるだろう。

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