関西大学・亀田仁一路　昨年は10000m日本人トップ、今回12位も「収穫あった」

• ＃第92回日本学生陸上競技対校選手権大会
• ＃関西大学

日本インカレ初日の9月14日、男子10000mの決勝が行われ、昨年のこの大会で日本人トップの4位に入った関西大学のエース、亀田仁一路（4年、姫路商業）は中盤の失速が響き、29分38秒39で日本人5番手となる12位でレースを終えた。秋の駅伝シーズンに向けて不安な結果と思いきや「悔しさもあるが、収穫もあった」と悲壮感はなく、前を向いた。

腹痛を抱えながらも粘りの走り

レースは2000m付近で留学生7人がトップ集団を形成し、亀田は日本選手15人前後が集まった第2集団でレースを進めた。異変が見られたのは5000m付近。亀田の表情がゆがみ始めた。「腹痛がきてしまった」。必死に食らいつこうとしたが、体が言うことを聞かない。息が上がり、腕を振ってもなかなか前に進まない。6000m付近で約12人の集団から完全に離された。ただ、この差は走りを自分の中でコントロールしてついたものだったという。

「自分のペースに持っていけば、（腹痛が）弱まるというのはわかっていた。実際に少しずつ弱まっていった」と亀田。終盤には前との差をどんどん詰めていった。本来の調子ではなくても、対応力や粘りというレースにおいて必要不可欠なものを磨くことに切り替えた。29分38秒39の12位に「悔しさもありますが、秋の駅伝シーズンに向けて修正するべき課題がたくさん見えた」と冷静に振り返った。

実業団選手と練習して課題克服へ

レース中に起こる腹痛、いわば「差し込み」は最近の悩みでもあった。自身のコンディションの好不調にかかわらず、起きてしまう。かと言って、毎回くるわけでもない。レース前に予兆もない。改善のヒントを得たのはこの夏。大学に入って初めて実業団の選手に混じって20日間ほど練習をともにしたときだった。選手や指導者に話を聞き、「フォームの形が崩れて内臓に負担がかかっている」とアドバイスされた。

大学の指導者は過去に亀田のような10000mを28分台で走る選手をコーチングしたことがほとんどない。指導は限られる。そのため、大学の外に出て意見を聞くことによって自分に必要なものは何かを考えられた。今回のレースでも腹痛はきたが、「あそこから少し立て直せたのは今回得られたいい経験」とプラスにとらえる。

今年は出雲駅伝、そして、チームとして7大会ぶりに出場する全日本大学駅伝が控える。10000mで関西学生記録の28分25秒80の自己ベストを持つ亀田。チームのエースとしてはもちろん、関東以外の大学の選手がどこまで戦えるかという期待も背負う。一方、本人は「関東、関西、実業団の選手、高校生とかは関係ない」と話し、今回の日本インカレも「ただただレベルの高い選手がいるというだけで、そこは関西インカレとかと同じような気持ちで走った」と振り返った。

生粋の負けず嫌い、ルーキーにも闘志

10000mの2日後には5000mにも出場した。こちらは14分13秒08の日本選手3番手の6位。普段なら同じ大会のレース間は練習をせずに休養や調整にあてるというが、今回は5000mがあった前日にも1時間ほど比較的強度が高い走り込みを行った。亀田は「10000mの悔しさを忘れないためというか、体を動かしたほうがいいと思った」。5000mには注目のルーキーである順天堂大学の吉岡大翔（1年、佐久長聖）と走り、先着されたが「自分が手が届かない位置にいるとは思わない」。生粋の負けず嫌い。それは駅伝でも同じ。「どの区間に出ても区間賞をとりたい」。大学生活の集大成となる駅伝シーズンはもう目の前だ。